第1344話 兆しが見えてきたかもしれない。的なお話
長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
ここ最近は気力が全然湧かなくて、書こうとしてもなかなか手が進みませんでした。
随分と酷い出来だが、初めてなんだしこんなもんか。
全てはここから。
「さて、それじゃあ頑張っていきましょうか。まずは全体に均一に魔力を流せるようにしましょう。浸透度合いは今は忘れてひたすらに均一に。道具はたくさん用意したので、魔力を使い切るまでやってみましょう。」
「はい? 使い切るまで?」
「はい。使い切るまで。」
「……分かりました。」
使い切るまでやらないといけないそうです。
とはいえだ、これの前の特訓みたいに限界を超えて魔力を使うわけじゃないんだし、その点はマシかな。
魔力を使い切ったことによるデメリットは無くならないけど。
というわけでひたすらに数をこなしていく。
魔力を注いで、注いで、注いで、注ぎまくるが、やはり放射状だったり木の根っこのようだったりととにかく全体に均一に魔力をとはいかない。
何がいけないのだろうか……?
一応、全体に広がるというのをイメージしてやってはいるんだけど、全然上手くいかない。
「上手くいきませんね。」
「これ、何かコツとかってないんですか?」
「ありません。」
「そんなあっさりと……。」
「そもそも魔力を扱う感覚というのは個人差が大きいものなんです。であれば、そこに他人が助言して得られるコツなんてものは存在せず、自分で扱うコツを見つけ出す以外にないんですよ。」
「そう……なんですね……。」
世の中、そう甘くはないか。
「ですが、そうですね……ちょっとしたヒントなら与えられますよ。」
「本当ですか!?」
「はい。」
「是非お願いします!」
「魔力操作のコツは先程言った通りですが、この特訓に関していえば、上手くいかないのであればイメージを変えてみることです。案外、それで簡単に出来たりするものですよ。」
「イメージ……。分かりました。色々と試してみます。」
「はい。頑張ってください。」
イメージね。
さっきまでのは全体に広がっていくイメージだったけど、それじゃあダメなんだろう。
まずは一からじっくりと……時間をかけてもいい。
ゆっくりでいいから確実に魔力を操作して……そして広げていく……どうだ?
駄目か。
さっきまでよりかは良さそうだけど、それはゆっくりと確実に広げていったからだ。
時間をかければそれなりには出来てもおかしくはないが、それでもこの体たらく。
なら別のイメージだ。
さっきのはゆっくりと確実に広げていくイメージだったけど、次は……そうだな。
全体を覆ってそこから侵食していくイメージでどうだろうか?
侵食っていうとなんか悪いイメージがあるけど、満遍なく全体を覆うことが出来ればまだらになったり、放射線状に広がるようなことにはならないかもしれない。
覆う……覆う……。
くっ、これも駄目か。
真ん中付近はてんで反応していない。
このイメージも失敗か。
というか、そもそもイメージでどうにかなるものなのか?
今までだって俺は魔法発動も基本的なの以外は全部詠唱と重唱によるゴリ押しだった。
断罪炎覇も煌炎剣も結局は炎を放出して剣の形に押し固めただけに過ぎない。
だからこそ魔力操作が甘くなっているんだろうけど、ここらでしっかりと魔力操作を意識した方がいいんじゃないか?
魔力操作がしっかりしてればイメージ通りに出来るはずだろうし、やはり魔力操作か……。
謎の板を置き、その場で座禅をして体内の魔力の流れをより強く感じるように意識を集中させる。
魔力は分かる。
これを動かす……いや、体内を巡らせて循環させる。
遅い……もっとだ……もっと、もっと速く!
そうして意識を集中させていると、魔力の感じ方が変わっているのに気付いた。
これまではドロっとした液体みたいなものだったのに対して、今の魔力はサラサラの水のような液体な感じだ。
魔力の循環を止めて板を手に取る。
そして魔力で覆って内側へと染み込ませていくイメージで流す。
するとどうだろう?
さっきまでよりも魔力の流れが良くなっているではないか。
完全にとはいかないが、それでも変化のない部分がかなり減っている。
これは、兆しが見えてきたかもしれはい。