第1309話 改めて思わされるな。的なお話
遅れてすみません。
人いっぱい、大変。
でもそれも終わった。
次はどうしようかな……
ユキノとの出会いの話とか、冒険者活動をしていてどんな依頼が大変だったかとか、楽しかった事はあったかとかそういう定番話なんかを聞かれたり、逆にこっちがユキノの幼少の頃の話なんかを聞き出そうとしてそれをユキノにインターセプトされたりといった談笑の時間を過ごしていたが、どうやらいつの間にかかなりの時間が経っていたようだ。
「む、もうこんな時間か。本来ならばここで夕食を我が家で……と誘うべきなんだろうが、残念な事にこの後は宴席に誘われていてな、断る事ができないんだよ。申し訳ないが今日はこれでお開きにさせてくれ。」
「予定があるのなら仕方ないですよ。」
「お父様、それはもしかして……?」
「いや、今回のは関係ない。」
「そうですか。」
「安心しろ。ちゃんと断るさ。」
「お願いします。」
なんの話かいまいち分からないが、断ると言ってるしきっと婚約話に関係しているんだろう。
「さて、それでは帰るとしようか。」
「えー! せめて夕食を一緒に食べたい。」
「どうせリセは夕食以外も考えているのであろう?」
「当然。」
「ならば却下に決まっておろうが!」
「いや、そもそもリセも呼ばれておるから一緒には無理だよ。」
「欠席する。」
「今更出来るか!」
あ、あはは……なんか、めっちゃ懐かれてるなぁ。
「妹にはよく言っておくよ。と言っても、どの程度効果があるかは分からないけどね。」
「すみません、テンマさん……。」
「気にしないで。これから義弟になるんだからもっと気楽に接してくれて構わないよ。」
「分かったよ、テンマ義兄さん。」
「うん。」
キサラギ家の人達に見送られながらキサラギ邸を後にして宿に向かうその道中、話の流れでちょっとした質問をする事に。
「そういえば前に封竜祭前に家族の前に顔を出すとゲンマさんに怒られるみたいに言ってなかったっけ? 今日会ってみた感じだととてもそんな風には見えなかったんだけど。」
「お父様はまあ、真面目な人だからな。仕事をきっちりとしなさいくらいは言われただろうな。お父様だけならば、だが。」
「え、あー……リンネさんか。」
「ああ。英雄演舞の話になれば誰もリンネ義母さんには勝てないからな。リンネ義母さんの前で私を叱らないわけにはいかないだろう。」
「まだ会って数時間だけど、容易に想像がつくよ……。」
あの人からはオタクの気配を感じた。
好きな事のためなら猪突猛進、全力全壊って人なんだろう。
「後、俺最初リンネさんを見た時はあの人がユキノの実母だと思ったけど、違ったんだな。」
「そうなのか?」
「いや、勇者関連の話をしてる時のユキノに似てたからそれでな。」
「あー、言われてみればそうかも。ユキノちゃんと同じくらい目がキラキラしてたね。」
「ん。似たもの親子。」
「そ、そうか?」
「でもミゾレさんもユキノさんに似てましたね。髪質とか目の感じとか特に。」
「まあ、血の繋がった親子だからな。」
「誇らしげ。」
「べ、別にいいではないか!」
「カスミさんとはどこか共通点とかあったりするのか? リンネさんは趣味に関する反応が、ミゾレさんとは見た目が、アヤカさんとは好みというかクノイチ関連で共通点があるけど、カスミさんとは特にないなって思ってさ。」
「そうだなぁ……強いて言うのならば食の好みか? と、そうだ。1つあったな。物事の考え方とかは少し似てるところがあるな。」
「「「「え?」」」」
「む? 何だその反応は?」
「いやだって、なぁ……?」
「う、うん。なんていうかその〜……おっとりしているというか……。」
「えろい。」
「真面目なユキノさんとはちょっと反対方向かなって……。」
「そういう事ではなくて、好きな物の優先順位の付け方とかがな。楽しみな物は最後に取っておく派とか、そういう感じのだ。」
「「「「あ、そういう事。」」」」
人は周りの環境とかに影響を受けて育つというし、義母達は色々とユキノのルーツになっているんだな。
となると俺もどこかで蒼井の影響を受けてたりするのだろうか?
子供の頃はほぼほぼ一緒に居たし。
そう考えると人の縁ってのは大きな力を持ってるんだと、改めて思わされるな。




