第百十三話 新居を掃除的なお話
さてと。
夕飯も食べ終わった事だし、レイダさんの寝るところはどうしよう。
今までは二人用のベッドと一人用のベッドをくっつけて寝ていた。
リリンもルリエも小さいからそれでも普通に寝れたけど流石に同じところにというわけにもいかないし、かといって一人用のベッドに寝てもらって俺たちが二人用のにというのも無理がある。
レイダさんは床でいいと言っていたけど当然のように無視した。
だから新しく買ったレイダさんのベッドを出した。
ルリエちゃんの部屋で寝てもらうという意見もあったが、ハブにしているみたいでなんか嫌だったから却下した。
まあ、結構狭いが寝るだけなら問題ないだろう。
そう。
寝るだけだ。
だからリリン。服を脱がなくていいし、レイダさんを剥くのは止めてくれ。
◇
なんとかレイダさんの貞操を守って寝た翌日。
朝食を食べた俺たちは今度こそ新居に引越しだ。
鍵を受け取って新居に赴く。
荷物は全部ストレージに入っているしこの辺は便利だな。
引越し業者になれそうどけど、冒険者の方が稼げるだろうからなるつもりはないけどね。
そして家の中へと入っていく。
うん。
一応掃除をしてあるみたいだ。
でも、プロの目にはまだまだと映っているようでリリンとルリエが掃除の仕方が甘いって言っている。
これは掃除する事になりそうだな。
今……思った通り掃除しています。
リリンはスキル持ちだし、なんでスキルが無いのか不思議だがルリエは長い事家の宿で掃除しているからね。
まあ、俺もどうせ住むなら綺麗な方がいいから別にいいんだけどね。
俺は掃除しているみんなの為にお昼の買い出しをしている。
一番役に立ってなかったしね。
そしてギルドのあのスープを購入した。
保存用の奴は弁償する余裕が無いけど幸い手元に食器があるから普通に買える……ちょっと割高だけどね。
それとスープに合うようにパンとか主菜になる物とかを買っていく。
ルリエやレイダさんは食べた事無いだろうから驚くぞー。
そう思って家に小走りで向かうと顔見知りの人がナンパされてた……クルトに。
ナンパされているのはアレクシアさんだ。
あいつ、振られたばっかだろうに何やってんだ。
当たって砕けろというアベルさんの助言は実践できているだろうけど……あ、引っ叩かれた。
「何やってんだ? 三人共。」
「あ、レント。何やってるって…このナンパ男と知り合いなの!?」
「まあ、ちょっとね。というかクルト。お前は振られたばっかだろうに何やってんだ?」
「振られたからだよ!なんか兄貴はそろそろ俺も結婚しようとか言ってて、お前もなんか三人も嫁がいるから俺もと思ったんだよ。」
「あ、うん。なんか、すまん。まあ、あれだ。元気出せよ。きっといい人が見つかるよ。」
「ああ。そうだといいな……。」
「じゃあ、俺はこれで。あ、アレクシアさん達も来ない?」
「どこに? まあ、いいけど。でも彼はいいの?」
「まあ、そっとしといた方がいいと思って。俺がいても…ね。」
「それもそうね。」
◇
「それで、どこに連れて行くの? 奥さん達はいいの?」
「いや、新居に引っ越して今掃除してて、それで俺はお昼の買い出ししてたの。だから一緒にどうかなって。」
「それじゃ、ご相伴に預からせてもらうわ。それにどんな所に住むのかちょっと興味があったからね。」
「こくこく。」
どうやらエルナさんも新居に興味がるようで首を縦に振っている。
それじゃ新居にご案内しますか。
あ、レイダさんの事どう説明しよう。
アカネにも説明してないんだよね。
うーん。
なるようになるか。
そんな事を思いながら、俺はアレクシアさん達を連れて新居への帰路につく。