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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第七章】封竜祭に参加します
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第1226話 俺にはどうしようもないから。的なお話

ユキノに案内されて食べた竜田揚げだけど、普通に美味しかったな。

普通に。

まあ、竜田揚げだからめちゃくちゃ美味い!

みたいな事はないけど。

頻繁に食べるようなものではないし、どちらかと言えばそうそうこれこれ。

竜田揚げはこうだよなって感じだった。


「うーん……。」

「どうしたんだセフィア。」

「いや、唐揚げとの違いが分からなくて……何がどう違うの?」

「それは俺にも分からない。唐揚げにしたって小麦粉を使ったり片栗粉を使ったり、その両方を使ったりするし。まあ、そういうものと考えるしかないな。ここじゃそれを知る方法も無いし。」

「そうだね。でもやっぱりモヤモヤするよ。」


気持ちは分かるけどなー。

でも俺にはどうする事もできない。

料理に詳しくないから。

一人暮らしとかしてたらまだ分かったかもしれないけど、こっちに来たのはまだ高一の時でこうなるとは思ってなかったからね。

普通の男子高校生が料理が得意なんてそうそうないさ。


「で、この後はどうする?」

「そうだな……折角だしできるだけ色々見て回りたいかな。」

「でもそうするとまた嫌な物を見ることになるんじゃない?」

「それはまあ……薄い本みたいな本当にヤバいやつ以外は我慢するよ。俺は祭り本番も半分くらいしか回れなさそうなのにあんまりわがままも言ってられないしさ。」

「そっか。それじゃあ色々回ろうか。」


そうして街の中を見ていく。

ま、流石にそこら中に俺のグッズがあるわけじゃなく、ちゃんと別の物もある。

これまでの英雄役のグッズとかヒサギさんやキリハさんのグッズとか……という冗談は置いといて。

いや、ちゃんと売ってるけど。


それよりも、国をあげてのお祭りだからと村で作ってる特産品とか工芸品や、アクセサリー、どこかの遺跡で発掘された謎のオブジェと言った様々な物を売る露店に射的や輪投げ、くじ引きに型抜きと言ったど定番の屋台もしっかりとやっている。

これこれ。

こういうのがいいんだよ。

封竜祭ならではの物と祭りのど定番の物。

この2つがあってこそだ。

特別な祭りなのにどちらかしか無かったら物足りないだろう。

2つあるからこそ、特別な祭りだと実感出来るんだ。


そんなわけで午前中は封竜祭ならではの物が多かったから、午後はど定番の露店を巡って行こうと思う。

さてさて。

まずは何から……お、ここは手作り魔道具の露店か。

今は露店しか出来ないけどゆくゆくは自分のお店をって感じがする。

売ってるのは若い男の人だしね。


「ちょっと見せてもらっていいですか?」

「勿論です! 是非見てってください!」


これが欲しい!

っていう物があるわけじゃないけど、こういうのは見て回るのが楽しいんだ。

ん?

これ、何に使うんだ?

照明やただ風を起こすだけの棒に簡単に着火が出来る棒、水が出る棒みたいに何処にでもある物の中で一際異彩を放つ品がある。

見た目からして異質だし……聞くしかないよな。


「これなんですか?」

「あー、これは試作品でして……一応風を起こしてその力で空を飛ぶ道具なんですけど……。」

「なにそれ、凄いじゃないですか!」


空を自由に飛びたいなって事だよね?

そういうのやっぱ憧れるよね!

俺、火魔法の威力で吹っ飛ぶ事は出来るけど、ただ吹っ飛んでるだけで自由に飛んでるわけじゃないから、そういうのは欲しい。


「まだ研究途中でして、その、風を起こすだけで全然進まないんですよ。というか浮くことすら出来ません。」

「それって、ただ風を出す魔道具じゃないですか……。」

「ああ、いや、こうして車輪を着ければ一応進みますから!」

「それじゃ意味ないですよね?」

「うっ……はい。でも、魔道具の試作は本当にお金がかかるんですよ……。簡単な道具ならそこまでお金はかかりませんけど、強い効果を引き出そうとすると術式を書き込む素材にも拘る必要がありますし、道具や消耗品の値段も跳ね上がりますから僕みたいな駆け出しじゃなかなか手が出ないんですよ。」

「あー、やりたい事が分かりましたよ。露店をやって、資金援助してくれる人を探したいんですよね。全然使えない試作品を見せるくらいですし。」

「……はい。その通りです。」

「なら自分で……は無理そうですね。」

「はい。昔からどうも運動は苦手でして……。」


めっちゃひょろひょろだもんな。


「えーと、援助してくれる人が見つかるといいですね。」

「はい。」


俺が援助する事は出来ないし買いたい物があるわけでもない以上はあまり長居するのも良くない。

というわけで会話を切り上げて露店から離れる。

ちょっと罪悪感を感じなくもないけど、俺にはどうしようもないから。

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