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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第七章】封竜祭に参加します
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第1222話 答えを知るのが怖い。的なお話

昨日はすみません。

ちょっと体調が優れなくて……。

朝起きて、稽古して、昼には紅白巫女と弁当を奪い合い、午後もまた稽古して、終わったら宿に帰って食事をして寝る。

そんな毎日を繰り返してきて、今日で稽古開始から3週間経つ。

つまり、明後日が本番となるわけだな。

そう意識したらなんかこう……落ち着かない。

緊張してはいるんだろうけど、緊張感よりも何ていうか……戸惑い?

そんな感じが強い。

本当によく分からない。


「どうしたんですかレントさん?」

「あ、キリハさん。いやね、明後日本番だって思ったらさ……。」

「緊張してるんですか?」

「緊張もあるんだけど、落ち着かない感じでなんか戸惑っているんだよ。」

「もしかして、高揚してるとか?」

「あ、それもあるかも。こういうのって経験ないからワクワクしてたのかもね。」

「その気持ちわかります。私も今までの成果を見せられると思うと、緊張もあるんですけどそれ以上に楽しみなんです。」


この3週間の間に随分と打ち解けた。

やはりあの飲み会でベロンベロンに酔ったところを見たのが影響しているんだろう。

あんな姿見せたら今更他人行儀ってのも違うと思うしね。


「おーい、話すのもいいがそろそろ始めるぞ〜。」

「「はーい。」」


ケンゾウさんに声を掛けられたので話を切り上げて集合する。

ケンゾウさん達とも気軽に話せるようになったもんだ。

やっぱりあの飲み会がきっかけなんだと思う。


「さて、それじゃあ分かってるとは思うが、今日が稽古の最終日だ。明日は祭り前日だから疲れを残さないように休みだから悔いがないように……と言っても演舞の完成度は過去最高と言って差し支えないものになってるしそう気にする程でもないからな。特に気にする事なく最後の確認程度に考えてくれればいい。それじゃ、始めるぞ。」


過去最高なのかは分からないが、出来るだけの事はやって来た。

完成度もかなりのものだと思うし。

思い返してみればかなり上達したよな。

最初は力加減に苦戦していたけど、中盤以降はそれにも慣れて演技する余裕も出来た。


そして、ケンゾウさん達からの観客に出来るだけ背を向けるな、観客にどう見られているのか、観客に何を見せて何を見せるべきでないか、などなどの注意を受けたりもした。

要するにもっと視野を広く持ち観客のことを意識しろって事だね。

その全部を実践できているとは思えないけど、それでもそれなりに出来るようになった。

演劇スキルなんてもんも覚えた事だしね。


そんなわけで今日の午前は各種動作の最終調整、お昼を食べて午後は最後の通し稽古となった。

その通し稽古もこれまでに何度も繰り返して来た事だから問題はない。

微妙に動きすぎたりとちょっとしたズレがあってもアイコンタクトでお互いに調節できるようになっている。


「よし! これで全ての稽古は終了だ。後は明後日からの祭り本番で演じるのみだ。3人とも頑張れよ。」

「「「はい!」」」


全部の稽古が終了した。

実際にやっている時はかなり長いように感じたのに振り返ってみればあっという間だったと感じる。

このメンバーと顔を合わせるのも後は祭り本番と祭りが終わった後の打ち上げのみか。

そう考えると寂しくなるな。

アルフレッドはアザミとどうなるかによって変わるかもしれないけど、キリハさん、ヒサギさん、ケンゾウさん、トウゴさん、クニタツさん、ゴジョウさんとは会わないだろう。

そういえば、ユキノは?

ユキノは、どうするんだろうか……?

使命を終えた後、あいつは……。

考えるのが、怖い。

もしも、ここでお別れだった時、俺は笑って見送れるのだろうか?

ちゃんと別れられるだろうか……?

分からない。

分からないけど、答えを知るのが怖い。

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