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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第二章】結婚したい。
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番外編 アレクシアとエルナ

今までで一番長いかも。

私はアレクシア。

誇り高き森の民エルフ……なんて名乗っていたのは140年くらい前まで。

あ、私が140過ぎってわけじゃないわよ!エルフがそう名乗っていたのが140年くらい前までって話で私はまだ15なんだから。

それで、エルフである私は世界を見てみたいと思い里を見送られて出てきた。

エルフの寿命は大体5〜600年くらいだから結構のんびり屋な人も多いけど、最近の若いエルフはみんな100年くらい世界を見て帰ってくるそうで私も例に漏れず外の世界を見たいと里を出た。


とりあえず棒切れを倒した方向に進んでいくが一向に森から出ない。

まあ、別に急ぐわけではないし蛇行していこうとちゃんとした街に着けるなら問題ないんだけどね。

でも、流石に鳥やウサギは飽きたわね。そろそろ、本気で街を探そうかしら。

そう思っていたら森から出た。

そして目の前には街道が。

ずっと使っていた棒切れを使って最後の道決めをして、その通りに街道を進んでいく。

そうして歩いていると小さな村に辿り着いた……んだけど、何アレ?

なんか魔族の子が木に隠れながら見張りの人を睨んでるんだけど。

あまりにも怪しかったから父さんが作ってくれた愛弓を手にして警戒していることを分かるようにしながら声を掛けてみる。


「そこで何をしているの?」


するとその魔族の子はビクッと思いきり跳ね上がった後、隠れていた木の裏側に回り私から隠れる。

え〜。


そのあまりにもな行動に毒気を抜かれた私はその子に普通に話しかける。

辛抱強く声をかけることでなんとか話を聞くことが出来た。

要するにこの子はエルナという名前の魔族で、人見知りを治す為に旅に出されたけど見張りがいた所為で立ち往生してたってことらしい。

旅に出た意味ないじゃない、それ。


それでも熱心に話しかけたことと同性であることが効いたのか私にはそれなりに慣れたようで、一緒に村に入る。

私がいなかったら野宿するつもりだったのかしら?


それから私はこの子と一緒に村の中に入り、一軒だけある宿に泊まる。

お金はまとまった金額をお父さんから貰っている。

私のお父さんは里一番の弓職人で定期的に武器を扱っているお店に卸していて超高級品として売れてるらしい。

流石お父さん。

そのお金で泊まったんだけど……お父さん、お金持たせ過ぎでしょう。

だって一泊の値段が貰ったお金の二千分の一なんだもの。

まったく、お父さんったら。


そうして部屋で休むんだけど、何故か魔族の子も一緒の部屋なのよね。

懐かれたのかしら? まあ、いいけどね。

で・も。一つ気になる事があるのよね。

この子の胸元から魔法の気配がするって私の契約精霊が言うのよね。

その事を聞いてみようかなと思っていると…


「魔物の群れが現れたぞー!誰か戦える人はいないかー!?」


宿の前で村の人と思しき男性が叫んでいた。

それを聞いた私は愛弓を手に窓から飛び出した。

森の民である私にはこの程度の高さなんでもない。

それに今は一分一秒が惜しい。

そうして音が聞こえて魔物がいると思われるところに辿り着く。

そこでは村の男達が大量のゴブリン相手に武器を持って戦っているが、かなりの劣勢だ。

なのでまずは広範囲の敵にダメージを与えれる魔法弓技、エアショックアローを放つ。

これは矢に風の塊を纏わせて放ち、着弾した周囲に空気を炸裂させて吹き飛ばすというものだ。

ちなみに敵に当たるとかなりエグい事になるので私は地面に向けてしか使わない。

狙い通りに地面に刺さった矢は空気を炸裂させて周囲にいたゴブリンを吹き飛ばす。

それでも群れのほんの一部でしかなくまだ沢山いる。

百はいそうだし、これはヤバイかも。

時間を掛けていいなら私一人でも倒せるだろうけど、そういう訳にもいかないしどうしよう……と思っていると突然ゴブリンが炎に包まれた。

何事かと思って辺りを見回すと杖を持った魔族の子が後ろに立っていた。

どうやら彼女が火魔法を使ったようだ。

改めてゴブリンの方を見てみると八匹くらいのゴブリンが炎に包まれていた。

これならなんとかなるかな。


それからは魔族の子が火魔法を使い、そこへエアショックアローを撃ち込んで火を拡散したり、ウインドブロウで火力を上げたりして、ゴブリンを殲滅した。


「あんた達凄いね!ひょっとして高ランク冒険者かい?」

「冒険者?」

「なんだ。知らないのか。冒険者っていうのは魔物を倒してお金を得たりしながら世界を飛び回る仕事の事だよ。」


世界を飛び回る。

それって私が望んでいた事じゃない。

決めた。

私は冒険者になる。


「ねぇ。その冒険者っていうのはどうやったらなれるの?」

「そうだなぁ。この辺ならカインの街に行けばいいんじゃないか?あそこなら大きな冒険者ギルドがあったはずだから。」

「どう行けばいいの?」


私は近くにいた男性に行き方を教えてもらった後宿へと戻る。

ゴブリンの遺体は全部燃えてるし処理しなくていいよね。


そして宿の部屋に入って改めて魔族の子に礼を言う。

彼女がいたから死人も出さずに済んだんだから。


「私こそ、ありがとう。いろいろ、助けて、くれて。」


小さいけど、確かにそう言っていた。

そして続けてこう言った。


「それで、わ、私と、一緒に、冒険者になってください。」


私は目をパチクリさせる。

ちょっとびっくりしたけど私は微笑みを浮かべてこう返す。


「フフッ。これからよろしくね。私はアレクシア。あなたは?」

「わ、私はエルナ。よ、よろしく、お願いします。」


そうして握手する。

初めての異種族の仲間だ。

嬉しい。


それから話をしたり、一緒にご飯を食べたりして過ごしたけど、身体を拭くときになって驚いた。

だってエルナってば、胸が凄く大きいんだもの。

咄嗟に変な呪詛を吐いてしまったくらい。

その事について問い詰め……コホン。聞いてみると、彼女はその胸の大きさ故に周囲から見られ続けて人見知りになったそうだ。

そして驚いた事に、この子まだ14歳だそうでちょっとだけ神様を呪ってしまった。



そうして翌日。

私とエルナは村を後にし、カインへと向かう。

村を出る際に多くの人が見送りに来てくれた。

村を救ってくれてありがとう…と感謝の言葉と共にお礼だと言って色々な餞別の品をくれた。

畑で採れた野菜とか使っていない食器類とか。

宿の人は村のお礼と言って宿泊費を返してくれてそれと一緒にお弁当を作ってくれて、一緒に戦った冒険者について教えてくれた人は昔自分が使ってたと言ってアイテムバッグという道具をくれた。

なんでも沢山ものが入るとかいうマジックアイテムらしい。

一通り挨拶が終わったので今度こそ街に向かおう。


道中に出てくる魔物は連携を確認する意味も兼ねて倒していく。

でも同時展開を使えばもっと簡単にいくのにと思うけどあの胸を見ると人見知りも仕方ないと思うし、どうしたもんかね。

まあ、なんとかなるよね。


そんな感じで野宿したり、立ち寄った村で宿に泊まったりしながら一週間。

街まであと少しというところで私達は目撃する。

人族のパーティがタイラントフレアレックスと戦っているところを。

なんでこんな所にいるのかとか思わなくもないが、私じゃどうしようもないので遠くから眺めるしかないけど、本当に凄い。

亜竜の中でも空のワイバーン、陸のレックスと称されるくらいの魔物なのにそれをたったの六人で圧倒するなんて。

その姿に…見惚れてしまった。


そんな事があったけど私達は無事にカインの街に着くことが出来た。

通行証を発行してもらい、そのまま冒険者ギルドに向かい登録する。

その際にさっき戦っていたのが黄昏の獅子という冒険者パーティでこの街でも上位のパーティだと教えられた。

しかし、説明を聞いた時に思ったけどよく間違えずに言えるわね。

私なら間違えそうね。


一通り終えたので門番の人が絶賛していた紅の帽子亭という所に向かったんだけど、満室だって言われてしまった。

うーん。どうしよう。

そう思っていると受付をしている赤髪の女の子が他の宿を幾つか教えてくれた。

その中の一つである浮雲亭という宿に泊まる事にした。

この浮雲亭というのは寝具が自慢でその寝具が汚れないようにカップル禁止、異性への声かけ禁止という決まりがあってエルナには丁度いいと思ったから。


ふぅ。

それにしても黄昏の獅子か。

夕食をおえて自慢の寝具とやらに腰掛けながら私はさっき見たパーティのことを思い出していた。

一人一人の練度は勿論、連携も素晴らしくてとてもカッコよかった。

それはエルナも同じようで、あんなパーティになれるように頑張ろうと誓いあったあとに眠りにつく。

それにしても、このベッドは本当に…気持ち……いいわ……ね。


この後冒険者として活動する私達。

二ヶ月後に運命の出会いをするのだが、それはまた別の話。

まだ読み返すのが半分くらいまでなのでもうしばらくゆっくりやらせてもらいます。

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