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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第七章】封竜祭に参加します
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番外編 七夕if 〜日本編〜

前話で七夕の為1日休みますとお知らせするのを忘れてしまい申し訳ありません。

今回は季節ネタ番外編となっています。

本編については明日からまた投稿します。

ーーピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ

ーーバシッ!


「うぅ〜ん……あと5分〜……。」


時計、うるさい……今はとにかく……眠い……


「こぉらっ! 唯! いつまで寝てんの! さっさと降りてらっしゃい!」


うるさいなぁ……でも起きないと、更にまずい事になるし……ふぁ……仕方ない。

起きますか。


「おふぁよぉ〜。」

「おはよう。」

「全く……唯は偶に寝坊をするんだから……起こす側の身にもなってよね。」

「ごめんなさい。」

「まずは顔を洗ってこい。」

「うん、そうするよ、お兄ちゃん……お兄ちゃん!? え、うそ、なんで!? 死んだはずじゃ……?」

「勝手に殺すな! ったく……いいからさっさと顔を洗ってその寝ぼけた頭を覚ましてこい。」


飛びついて、抱きついて、クンカクンカしたい衝動に駆られたけどグッと我慢して顔を洗ってくる。

そうして冷たい水で顔を洗うと次第に記憶が鮮明になってきた。

そうだ。

お兄ちゃんは死んでなんかいない。

なんで死んだなんて思っちゃったんだろう。

あの事故だって、一時期意識不明の重体だった時もあったけど、今はこうして普通に生活出来ている。

よく覚えてないけど、きっと変な夢でも見てその影響があったんだろう。


「ほら唯、お弁当。それと朝ご飯出来てるから早く食べなさいね。」

「うん。」

「それじゃあ、私は仕事に行くから後戸締りよろしくね。」

「分かってる。いってらっしゃーい。」


お母さんを見送り、朝食を食べて登校の準備も終え、後は出発するのみ。


「唯、急がないと置いてくぞ。」

「今行くー。」


ふふふ。

お兄ちゃんと一緒に登校だー。

いつもやってる事なのに、なんでかな?

こうして一緒に学校に行けるのが凄く嬉しい。


「おい、離れろって。って匂い嗅ぐなよ!」

「えー、兄妹なんだし別にこれくらいいいじゃん!」

「普通の兄妹は腕を絡ませたりしないし、匂いも嗅ぎません。ほら、離れろって。」

「ちぇー。」


そして学校に着き分かれる。


「お兄ちゃん、また後でねー。」


お兄ちゃんと分かれて教室に行くと、一緒に登校していた所を見ていたらしい友人の楓ちゃんがニヤニヤしながら声を掛けてくる。


「見てたよ〜唯ちゃん。」

「えっと、1時間目は……」

「無視しないでよ!」

「だって、それいつも言ってるじゃない。もう聞き飽きたよ。」

「えー、でもあの蓮斗先輩なんだよ! そりゃ言いたくもなるよ! スポーツ万能で努力家で人柄もよく、更にイケメン! 誰だって言うよ〜。」

「自慢のお兄ちゃんだからね。所で楓ちゃん? ひょっとして、貴方もお兄ちゃんを狙う有象無象の1人だったりしないよね……?」

「ゆ、唯ちゃん……あの、近いよ……? それに、女の子がしちゃいけない顔をしているんだけど……なんか、後ろに般若とか見えるんだけど!?」


ーーキーンコーンカーンコーン!


「おーい、席に着けー。」


楓ちゃんに詰め寄っているとタイミングよくチャイムが鳴ってしまった。


「それじゃあ楓ちゃん、この話はまた後でね?」

「いや、忘れてくれていいというか、忘れて欲しいんだけど……。」


HRが終わった後、もちろん楓ちゃんとはきっちりとOHANASHIした。



授業も終わり、普段ならこの後は部活の助っ人をしていたりするんだけど、今日は一身上の都合で助っ人活動はお休みさせてもらってる。

元々私はただの助っ人で部活に参加してるのも練習相手としてだから毎日通う義務は無い。

試合に出る事もあるけど、平日の今日はたった1つの部活を除いて練習試合はない。

そして、そのたった1つの部活に私は用があるのだ。


「お兄ちゃーーん! 頑張ってーー!! フレーフレーお兄ちゃん! 頑張れ頑張れお兄ちゃーん!!」


私が今いるのは体育館。

今日はこれからここでバスケ部の練習試合がある。

そしてお兄ちゃんはそのバスケ部のエースでスタメン。

お兄ちゃんは私の一個上で本来なら大会には出られない年齢。

でも、お兄ちゃんは交通事故が原因で3ヶ月もの間寝たきりでその後のリハビリなんかもあって普通の人より1年遅れている。

当然大会規定で試合には出られないんだけど、お兄ちゃんの事故は人助けをした結果だという事、そしてお父さんとお母さんが署名活動を行なって大会委員会に直訴した結果特例で認められたのだ。

そしてこの練習試合はもうすぐ行われるインターハイ本戦前の追い込み練習の一環なのだ。


試合は順調に進んでいき、ウチのチームが優勢のまま終盤戦に差し掛かろうとしている。

既にお兄ちゃん1人で30得点という凄まじい成績を叩き出していて、執拗にマークされている。

しかし、そのマークもなんのその、トリプルチームで囲まれている隙間を縫って包囲から抜け出し、そのままパスを受けてゴール下へ向かう。

相手チームのセンターがお兄ちゃんの前に立ちはだかるも、ダブルクラッチで躱しそのままシュート。

お兄ちゃんの手からボールが離れた瞬間ブザーが鳴り試合終了。

お兄ちゃんの放ったボールはパツッとネットに触れた小さな音だけを立ててノータッチでゴールとなる。

ブザービーターだ。


「「「ワァァァァァァァァ!!!」」」

「キャーーー、お兄ちゃんかっこいいーーー!!」


観客が沸き立ち、歓声が上がる。

私も最後のかっこいいシュートを見て興奮してしまい黄色い声を出してしまった。

でもしょうがないよね。

だって、本当にかっこよかったんだから。


練習試合を終えて、部室から出てくるお兄ちゃんを待って合流してから帰る。


「やったね、お兄ちゃん。すっごくかっこよかったよ!」

「まあ、最後のシュートは出来過ぎだったけどな。でもこれでチームに勢いがついたし本番もいい線行けそうだ。」

「何言ってるの! いい線じゃなくて、優勝でしょ?」

「はは、そうだな。」

「それじゃあ、今日買ったお祝いに私が何かご馳走するよ。」

「そうか? それじゃあ……あそこのハンバーガー屋でいいか?」

「もちろん!」


お兄ちゃんのお祝いの為、ハンバーガー屋に向かう途中赤信号で足を止める。

お兄ちゃんは隣で何を食べようかスマホでメニューを眺めていて、その横顔がすごく嬉しそうで、それを眺めているだけで私も幸せな気分に……


『…ちゃん……唯ちゃ…ってば……起き…』


え、誰?

頭の中で声が……それに、世界が霞んで……



「あ、起きた?」

「あれ……楓ちゃん? あ、そうか……私寝ちゃってたんだ。」

「そうだよ。はいこれ、短冊。これに願い事を書いて駅前のハンバーガーショップに持っていくとSサイズのドリンクがタダになるって、今朝学校に来るときに配ってたんだ。ちゃんと唯ちゃんの分もあるから早く書いて行こう。」

「あー、私は書かなくていいや。」

「なんで? ドリンクタダになるんだよ?」

「だって、夢とはいえ、もう私の願いは叶っちゃったから。」


今日は夢だけで十分。

でも、いつか絶対、また会おうね、お兄ちゃん。

今回の番外編シリーズのテーマは「もしも日本で…」となっております。

もしもの話なので今後も夢オチか想像の話をしているって形になると思います。


ちなみに、レント君がバスケ部な理由ですが作中では野球、サッカー、バスケ、バレーであみだくじをした結果という設定です。

作者的にはバスケは経験あるものの、野球はメジャーシリーズ、サッカーはイナズマイレブン、バレーはハイキュー!!をたまに読む程度でバスケ以外まともな知識がなくてバスケ一択だったという理由だったりします。

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