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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第七章】封竜祭に参加します
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番外編 受付嬢は囮捜査員

〜セラ視点〜


私は今、面倒ごとに直面している。


「いや本当なんだって。何にもしないからさ、1回だけまずはお試しで一緒に組んでみよ? な? いいだろ?」


一見するとただのパーティの勧誘だけれど、目的は別のことにあるというのは丸わかり。

誘ってくるこいつも、そのパーティメンバーも全員が下心を隠していないのだ。

こんなのはどう考えてもそういう目的で仲間に引き入れるつもりでしょうに。

そして出掛けた先で薬を盛るなり、野営の際に襲ってきたりするつもり。

実際にそういった噂がこのパーティにはある。

だけど、それはあくまでも噂で被害届が出されているわけでもないし、その現場を目撃した者もいない。

このパーティのメンバーは全員見た目が整っているからやっかみからそういう噂を流しているかもしれない。


真実を突き止めるべきなのかもしれないけど、残念な事にギルドはこの件に対して消極的。

それというのも、このパーティが全員がまだ19歳でありながら既にCランクであり、ゆくゆくはBランク、あるいはAランクにも到達しうるとギルドから目されているから。

いずれはギルドの顔として活動するかもしれないからと表立って行動出来ていない。


「今依頼終えたばかりだから……。」


とりあえず仕事をばかりという理由でこの場を立ち去る。

はぁ〜……誰かなんとかしてくれないかな?

このままだとますます調子に乗りそう。



「はい? え、それ本気ですか?」

「もちろんです。今現在ギルド内での男女間の雰囲気が悪くなってるです。このままなのは良くないですから原因である噂の検証をしたいと思うです。」


件のパーティは他所の街からの流れ者で幸いなのかどうかは知らないけど、まだ私が受付をしている時に鉢合わせしたことはない。

だからといって囮捜査はどうかと思うんですけど!?

というか、だからここ最近は受付はしなくていいと言ってくれたんですね……囮にするために。


「ちゃんとサポートメンバーも用意しているです。」


紹介されたのは私も良く知っている面々。

要するに黄昏の獅子だ。

Aランクにも協力要請しているということは少なくともそれだけ本気ということで、一職員でもある私には断りようがなかった。

その後軽く打ち合わせをし、私1人が件のパーティに参加し、その後ろを黄昏の獅子が付いてきてそのまま何もなければよし、何かしでかした場合は即座に捕縛という事になった。

いつ依頼を受けるかは向こうの都合もあるからその間も受付業務はしなくていいとの事だけど、素直に喜べない。


そして当日。

1泊2日の距離の依頼を受ける。

働きぶりはまあ、そこそこ?

Cランクとしては十分な実力は持っているようだし、Bランクパーティとして昇格出来ないこともないとは思う。

でも私はこいつら以上に素質があって若い子を知っている。

そしてやる気も、その心根もよく知っている。

だからこそ、こういう下心満載の連中には何一つ惹かれない。

いやまあ、彼はモテてるしパーティメンバー全員が女の子だけど自分から引っかけに行ってるわけじゃないしそこは置いておく。


「どうだい、俺達の実力は? これからも一緒のパーティを組まないか?」

「私、あの街を離れる気がないから。」


取りつく島もないといった感じを出してあっさりと断る。

種は撒いた。

後はなるようになる。


その後は特に問題もなく、依頼にあった素材の確保も済み野営となる。

私が女だからという理由で野営の際の見張りはしなくていいというのでその言葉に甘える。

囮という観点からもそっちの方が都合がいい。


そして、私がぐっすりと寝ている時に案の定というかなんというか……私が寝ていたテントに忍び込もうとした所をリィナが確保したそうだ。

どうも遅効性の睡眠薬を盛られたみたいで夜が明けるまで気づかなかった。


「こいつら、噂通りだったみたいだ。」

「そうみたいね。でも、まさか薬まで盛ってくるとは思わなかったわ。」

「それくらい気づいて欲しかったな。お陰でこっちはずっと見張りで徹夜だよ。」

「そこはほら、信頼していたから。」

「物はいいようだな。だがまあ、現行犯で確保したからもう安心だろ。」

「そうね。しかし、どんだけ強いの使ったのよ……まだ少し頭がぼーっとするわ。」

「そんなになのか……。」


ちなみに、この時のがきっかけにして薬物の密造及び密売をしている裏組織の存在を知り潰す事になったのだけれど、それは別の話。

迷宮都市に行くためにセラとリィナがそれぞれ手を回すという予定だったはずなのに……何故こうなった?

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