第1013話 とは思わなかった。的なお話
明日はホワイトデーネタの準備のため休ませてもらいます
〜また時を遡ってのアカネ視点〜
たった3人でBランクを相手にするのは大変だけど、まあ、なんとかなるでしょ。
幸い、警戒すべき事は既に分かっているし、その対処もこの3人でなら多分問題ないはず。
「セフィアは風でも土でもなんでもいいから雷撃砲を防いで。私は水魔法を火炎魔法で相殺する。リリンは好きに動いて、隙が出来たらきっちり決めてね。」
「分かったよ。」
「ん。」
簡単な指示しか出せてないけど、それで十分だろう。
なんだかんだで、ウチのメンバーの中でもトップクラスのメンツなのだから。
レントは意識してそう采配したわけじゃないとは思うけど、期せずしてそういうメンツになってる。
だからさっさと終わらせてみんなのフォローに回ろう。
「来た。雷撃砲よ。」
「うん。アースウォール!」
セフィアが壁を作って雷撃砲を防ぐ。
雷撃砲が治まったタイミングでリリンが飛び出す。
持ち前のスピードであっという間に距離を詰める。
それを見たからか、雷撃砲から水魔法での迎撃に変えてきたが、私がそれを相殺する。
カノンボルトイールの水魔法と私の火炎魔法がぶつかり、そして相殺される事で辺り一体に蒸気が充満してくる。
こうなってくると視界が悪くて狙い辛い。
私1人なら、ね。
「セフィア、蒸気を散らしてくれる?」
「任せてよ。」
セフィアが風魔法で蒸気を散らす。
そうしてまた相殺していく。
どうやらこのカノンボルトイールという魔物は魔法と物理攻撃を同時に行えないようで、リリンに好き放題攻撃されている。
それがまずいと思ったのか、魔法から肉弾戦に変えてくる。
ついでにさっきの粘液を出して傷を塞ごうとしている。
リリンが接近して攻撃しようとするのを防ぐかのように尾鰭を振り薙ぎ払う。
リリンはそれを跳んで躱す。
そこを狙って口を開くカノンボルトイールだけど、そうはさせないよ。
私が放った炎が弾け、その衝撃によってカノンボルトイールが姿勢を崩す。
その瞬間、リリンの目が光る。
「流水斬・裂太刀」
水を纏わせる流水斬が研ぎ澄まされ、長く鋭い一振りの刀となる。
その一太刀によってカノンボルトイールの首と胴体が永遠の別れを迎えた。
「ふぅ。これで終わりかな。後は皆の所に援護に…「追加来た。」…援護は後回しか。」
リリンが指差した先には湖から顔を出し、そのまま陸地へと上がってくる新しいカノンボルトイールの姿が。
流石に3匹を相手にしていては騒がしいか。
そしてその騒がしさに引かれて出てきたと。
はぁ……。
まあ、いいや。
また来たならまた倒せばいいだけ。
「2人とも、さっきと同じようにやるよ。」
「分かった。」
「ん。」
新手のカノンボルトイールと戦っている内に皆の方も片付いたようで、こっちの方に参戦してくれる。
そうしてカノンボルトイールと戦っていき、最終的には9匹のカノンボルトイールを仕留める事になった。
リリンが何匹もいるって言っていたけど、まさか9匹ものカノンボルトイールの相手をする事になるとは思わなかった。




