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微ユニークから始まる異世界生活  作者: 椎茸大使
【第七章】封竜祭に参加します
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第940話 ホットドッグ、食べるのを忘れちゃってた。的なお話

「例え世界が〜残酷だとしても〜私は〜生きる事を〜「「あ〜き〜ら〜め〜な〜い〜♪」」」


どうやら孤児の少女が過酷なスラム生活をめげずに生き抜いていくお話らしい。

この後はどうなるのだろうか?

定番だと困難がありつつも最終的には裕福な家に養女に行くとかだよな?

ア◯ーってそんな感じの話だったっけ?

いや、観たことないから分からないけど、もしやこの話も奴らが!?


「ルル……俺は、もうダメみたいだ……悪いな、みんなを守るって、約束……したのに……な……。」

「あんちゃん……あんちゃーーーん!!」


とか思ってたら孤児達のリーダーがいきなり死んだんだけど?

え、マジで?

この後の展開読めないんだけど。


「ぐすっ……私がこの中で1番の年上になった……今まであんちゃんが私達を守ってくれた! 助けてくれた! だから、今度は私がみんなを守るんだ!」


悲しみを背負いながらも、自分が子供達を守るんだと決意する少女。

そして少女は剣を取る。

あんちゃんの形見の、錆びていて刃こぼれもしているボロボロの剣を。

スラムだからそんなのしか無いんだ……。

斬れ味も悪いはずのそれを持って少女は冒険者になった。

大好きなあんちゃんがやっていた冒険者に。


ここで暗転、第一幕完。


第二幕では幾らか時間が経っているようで、少女の役者が変わってる。

さっきまでのは10歳くらいの子だったのが13歳くらいになっている。

どうやら月日が経ちある程度ランクが上がってちゃんとした武器は買えたようだが、それでも形見の剣は持ち続けている。

そんな少女は3人組のおっさんと森を歩いている。

一緒に依頼を受けた模様。

でも様子が変だ……少女の後ろを歩き、少女の動向ばかり気にしている。

……まさか!?

そう思った矢先に、周囲から武器を持った男達が現れる。

人攫いだ。

多勢に無勢勝ち目なんてあるはずもない。


「ただで捕まってやるもんか! 真っ先に襲ってきた奴だけは絶対に殺してやる!」


せめてもの抵抗に1人くらいは殺してやると、叫んでいる。

しかし、そうはならなかった。

ここで音楽が流れイケメンが颯爽と現れたからだ。


「女の子1人が襲われている! 助けなきゃ!」


そして歌い、踊りながらの殺陣。

1人、また1人と倒していき、歌が終わる頃には人攫いどもは這々の体で逃げ出していた。


「大丈夫かい?」

「助けてくれなんて、言ってないからね。」

「分かってるよ。僕がしたくてそうしただけさ。」

「でも、一応礼は言っておくわね。……その、ありがと。」

「どういたしまして。」


その後何があったのかを聞く男とそれに答える少女。

情報のすり合わせを行った後は衛兵に伝えようと言う男だったが、それを少女が切り捨てる。


「そんなことしても無駄よ……スラムの人間が1人拐われかけた程度で動いてくれるわけない。動いてくれるなら、あんちゃんは……。」

「そう……でも人攫いが居た事は由々しき事態だからね。衛兵には伝えるよ。」

「好きにすれば。」

「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はクリフ。よろしくね。」

「私はルル。もう会うこともないだろうけど。」


少女は、それだけ言うともう用はないだろうと男から離れてそのまま立ち去ってしまった。

そして暗転。

舞台のセットが変わり寝床にしているスラムに戻った少女。

スラムの子達も幾分か大きくなったようで、何人かは駆け出し冒険者をショボくしたような格好をしている。

スラムでは装備を整える事が出来なかったのだろう。


「これで46万リム……やっと半分まで来たね。」

「そうね。もう少し頑張れば家が買える。そうすればもう、こんな生活からはおさらば出来る……あんちゃんとの約束を守る事ができる……。」


そしてスラムの子達みんなで希望を持ち明日を夢見るような歌を歌った。

その歌が終わると何処からともなく怪しげな男達が現れる。

よく見れば逃げ出した男達だ。


「残念ながら、その夢は儚く散るんだよなぁ……。ま、安心しろ、別に殺しゃしねぇからよ。もっとも死んだ方がマシって目に遭うかもしれねーけどな。」

「そうはさせないよ。」

「あんたは!?」

「こうなる気がしていたからね。見張っていて正解だった。」


人攫いだけでなくクリフと名乗っていた男も現れた。

どうやらクライマックスのようだ。

勝手知ったるスラム街。

孤児達はスラムを寝ぐらを駆け回り、人攫い達を翻弄し、クリフと少女は背中合わせにして戦う。

もちろん歌いながら。


見事倒しきった孤児達は勝鬨を上げる。

自分達は勝ったのだと、仲間を守ったのだと、叫ぶように。


「また助けてくれて、ありがとう。」

「いいんだ。ヤクサとの……君達のあんちゃんとの約束だから。僕はヤクサと一緒にパーティを組んでいた事があってね。その時に言われたんだ。もしも自分に何かあれば、君達を守ってくれってね。だから普段からそれとなく様子を見ていたんだ。」

「あんちゃんが……。」

「今までよく頑張ったね。これからは僕が君達を守るから。」


その後、クリフは孤児達のリーダーとなり、目標であった家を買い、みんな幸せに暮らしたとさ。


「ふー、日本には無い感じで、面白かったな。」

「レント、それ。」

「あ!」


劇に見入ってしまい、ホットドッグ、食べるのを忘れちゃってた。

本当はあっさりと流すつもりだったのに、ガッツリと書いてしまった……。

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