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変な学校  作者: akaoni0026
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其の四

 騒ぎはおさまり、授業は事なきを得て再開。被害者ゼロと言う数字はもはやお約束であった。

「ねねー、アレ食いたい」

 下校中のことだ。屋台は珍しくはないのだが、そこには『メドルカ』と言う名のやきそば屋台があって、律佳はそこを指差し、僕の腕を強烈な勢いでミシミシと潰し、猫なで声でそう要求していた。本人には、きっと僕の腕をへし折るつもりはないんだろうが、このままでは絶対右腕が死ぬ。

 そもそも何故食いたい等とコイツがほざくかと言うと、珍しいモノ好きだからだ。普通そこには、クレープ屋か、アイスクリーム屋、またドーナツ屋があるはずなのだが、今日はやきそば屋。よりにもよってやきそば屋…!クレープとか売ってた方が売れるだろうが!!

 とにかく、珍しいと言うことだけで買わされるハメになるとは、全く頭に来る話だ。恨む、やきそば屋

 屋台の前まで来ると、店主はにこり笑いながら、注文を聞いてくる。

「へい、らっしゃい。なににいたしやしょう?」

「やきそば二つー」

「いや、僕はいいよ」

「いいから〜」

 なにやらわくわくしている律佳。一体何を企んでるんだ!

 しばらく待っていると、おまちどーと言いながら、店主は透明のプラスチックトレイと箸をゴムに巻いて、律佳にやきそばを手渡した。

「ハイ、お代だよ」

 ってえぇ!?

 驚くことに、律佳がお代を払ってしまった。

 店主はにこやかに微笑みながらも、暗黒のオーラで僕の目をギラリと見た。恐ろしい誤解を招いているようだ。女に払わせるのが相当キライな性質なのだろう。

「い、いや!これは違うんですよ!ワザトじゃないっ」

 必死に弁解している耕輔の隣では、右手と左手に一つずつ、出来立てのやきそばを持って、はてなマークを頭に植え付けている律佳が、ぼけーっとその様子を眺めていた。

「なにやってんの?帰るよ」

 突然律佳が耕輔にタックルし、器用に彼をおぶると、びゅんと言う風の音共に消えて行った。


 机に向かい合って、耕輔と律佳は、やきそばを食べていた。いや、食っているのは律佳だけで、耕輔はまだ手をつけていない。

「おいしいね〜」

「うちに帰って食うもんなのか…?屋台ものって…」

 にこにこ笑いながら食うコイツの耳には、届いていないようだ。

「まあ…そんなことより…なんで金払ったんだ?」

 理由もわからないし、第一そのおかげで店主には恐ろしい目で睨まれた。

 律佳はやきそばをずーずーと吸いながら、キョトンとした。

「いっつもお世話になってるし、それに、お金のことになると、こうすけえらい顔になるでしょ?」

 そんな顔、してたか?しかし、そうだとしたら、結構人の顔見てんだな。……。いや、いっつも見てるな。コイツは。

 どっちにしろ、ここは素直に礼を言ってもいいか。

「…まあ、ありがとう」

「どういたしまして。あ、いらないんなら食うよ!」

 そうゆう魂胆かいっ!

「頂きます」

「ちっ」

 とりあえず余分な出費が出なかったから、良いとするか。

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