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初恋  作者:
5/14

幸福

私が、1番安らげる場所はヒロさん以外に考えられなっかた。でも、秋祭りが終わればそれもおしまい。メール交換や電話はできるけど、逢えない・・・。

学校でのイジメはまだ続いていた。最近は前よりひどくなってるような気がした。前はムシだけだったのに、最近私の教科書やノートが無くなっている。

「(どうしよう。新しい教科書買わないといけなくなっちゃう。ヒロさんに逢いたい。逢いたいよっ!)」

そんな時だった。

「ハイっ。これ」

いきなり、クラスメイトの女子が私に手紙を渡してきた。

「あっ。あたしに?」

「そうだよ!?開けてみて?」

そう言われ、私はもしかしたら仲直りにの手紙かも。と思って急いで開けた。中にはこう書かれていた。

「死ね」

たった2文字で、人は人を殺せる・・・。心が死んでいくのがわっかた。

気づいた時には私は、教室を飛び出していた。もう死のう、死のう、心の中で何度もつぶやいた。

「ヒ・・ロ・・さ・ん。」

そして最後に思ったのは、ヒロさんのことで、自分が死ぬ前にもう一度声が聞きたっかった。

『トゥルルルトゥルルルトゥルル』

電話音が耳に響いた。

「もしもし?」

「奈央子?どうした?」

「ヒロさんの声が聞きたくなったんです・・・。」

「俺の声でいいなら、なんべんも聞かしてやるけど♪それにしても何かあったのか?声暗いぞ??」

「あのね?聞いてもいい?」

「うん。何でも話してみ。」

「よく、人は意味を持って生まれてくるって言うけど、私・・・間違って生まれてきたみたい!私生まれてきた意味なんてないっ!!もう・・・生きるのに・・疲れた。」

本音をぶつけた。ヒロさんには全然関係ないことなのに、つい、声を荒げてしまった。涙が止まらなかった。

「じゃー聞くけど、奈央子はこの町で、あの公園で、あの日あの時、俺に出会ったことにも意味がナイのか?笑って、怒って、そんな楽しい思いでも、俺との思い出も奈央子は全部否定するんだな!!?」

「ちっ違う。そう言うんじゃなくて・・・」

「違わないよ。奈央子が言ってるのはそう言うことだよ。」

「・・・・。」

「・・・・・・。」

沈黙が続いた。先に口が開いたのはヒロさんだった。

「公園に来てみな?」

「公園?」

「そう。奈央子と初めて逢った時の公園。」

「わかった。」

気がついたら学校の授業は終わっていて、掃除の時間になっていた。

私は、掃除の時間をサボり、校門から走り去るようにして出ていった。私のいる学校から公園までは、歩いて20分ぐらいの所にある。公園に何で行かなきゃいけないんだろう?!いったって何にもないのに!!

そう思いながら、ゆっくりゆっくり歩いて行った。20分の所にあるのにゆっくり行ったせいで倍の40分かかってしまった。歩いている間に、手紙の事を思い出して悔しくて悔しくて、私の顔は涙と鼻水でグシャグシャになっていた。

入り口を通りぬけたら回転シーソーが見えてきた。そこに人が立っていた。

「どう・・し・・て・・・。」

ヒロさんだった。

「コラッ!!遅いぞっ。何十分待たせるつもりだ!?」

「えっ!?どうして・・仕事なのに・・・。」

「おいでっ。」

ヒロさんは、優しくそう言うと、両手を広げてにっこり笑った。私は、おもいっきり抱きついた。

そしておもいっきり泣いた。

「よしよし。奈央子は今まで一人で良く頑張りましたっ!!偉かったよ♪でもこれからは我慢しないで俺の所においで?」

その瞬間、これ以上にないかっていうぐらいの涙がでた。そしてヒロさんは優しく抱きしめてくれた。

きっと、この人には言わなくても全部おみとうしなんだっ。私が今、学校でどんな目にあっているのかも。全部、全部わかってるんだ。イジメられて独りぼっちな私なのに、そうわかっていながらもヒロさんだけは、私に手を差し伸べてくれた。

温かくて、優しくて、ホントに太陽みたいな人だった。

私はそのまま眠ってしまったらしく、起きた時にはもう夜になっていた。ベンチでヒロさんに膝枕されながら眠っていた。そんな時でもヒロさんは文句もいわず。ずっとそばにいてくれた。

「ごっ!!ごめんなさい!!あたし、つい、眠ってしまったみたいで。」

「全然平気だよ♪」

『チャリラッチャリラッ』

ヒロさんのポケットから携帯の着信音がなりだした。ヒロさんは携帯を取り出し、サブ画面をみてバツが悪そうな顔をしていた。

「あっ!!やっべ!仕事先からだ。ちょっとでてくるね。」

そう言うとちょっと離れた所にいき電話にでていた。私は心配になって近づいてみると。

『どうもすいませんでしたっ』とひたすらペコペコ謝っている姿が見えて、心が痛くなった。

そして、電話を切るとまた笑顔で私のもとに帰ってきた。

「あの・・私なんかのために、仕事サボらせちゃってごめんなさい」

「いいのっ!!奈央子は悪くないよ!俺が勝手にしたことだからっ。じゃっそろそろ帰りますか。」

「はいっ!!」

帰りは二人で手を繋いで帰った。途中で自動販売機で温かいレモネードを買って二人でまわし飲みしながら行った。家の近くまで来た所で立ち止まった。

「あの、ここまでで大丈夫ですから♪送ってもらっちゃって今日はホントにありがとうございました!!」

「ここまででいいの?」

「はいっ。もう十分です。私、明日から頑張りますっ!!おやすみなさい」

そういって私は後ろをむいて行こうとした時に、呼びとめられた。

「ちょっと待って。奈央子目つぶって」

「えっ?何でですか??」

「いいからっ!早く」

「こっ。こうですか?」

「はいっ♪おやすみのキスッ☆」

『チュッ』

温かくて柔らかいものが、私の唇に触れた。

それがキスだと、頭が理解したのは、数分たってからだった。

それは、私にとって初めてのちゃんとしたキスだった。

「えっ!あっ!あの」

みるみるうちに顔が真っ赤になって、私は挙動不審になっていた。

「じゃ〜なぁ〜♪おやすみ〜」

そういいながらヒロさんは帰っていってしまった。

「どっ。どうしよう!!!!!」

戸惑って、歩いて、ボーっとして、電柱にぶつかったけど無事に家に帰ることができた。

そして、何だか元気が出てきた。

「もう負けない!!強くなってみせる!二度と泣いたりしない!!」

私はそう心に誓い、明日から本気で頑張ろうと思った。

ベットに入って今日1日を振り返ってみた。今日私が1番に思ったこと・・・それは・・・

「初めてのキスはレモンの味って、あれホントだったんだ♪」

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