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初恋  作者:
12/14

悪夢

二人はホテルから出て、駐車場に止めてあった車に乗りこんだ。

ヒロさんは私を家まで送ってくれた。車を私の家の近くの駐車場にとめて

窓ごしに話をした。

「奈央子、今日学校は?」

「今日は、家庭学習日だから学校はお休みだよ」

笑顔で私が答えると、ヒロさんは真剣な顔つきになり数秒の沈黙のあと

重たい口をひらいた。

「そっか・・・。俺、今日遅番だから帰りは夜中になるんだけど彼女に話すわ」

あたしの中は複雑だった。ヒロさんのことは大好きで一緒になりたいけど・・

そしたら今まで一緒にいた彼女は・・・。

そう考えると素直に喜べない自分がいた

「う・・・うん。ヒロさん彼女のことホンとにもういいの?」

「アホかっ!!何言ってんだよ!?奈央子は俺と付き合いたくないのか?」

「ちっ。違うよ・・・。そう言うんじゃなくて・・・。」

「心配するなっ!!俺が今1番愛してるのは奈央子だけだ!だから俺はアイツとは別れる

。今日夜中になっちゃうけど、ちゃんとお前に報告するから待っててなっ♪」

「うんっ。わかった。」

そう言うと、車にエンジンをかけ行ってしまった。

不安でいっぱいだった。家に帰っても私はずっと携帯をにぎりしめていた

その日1日はご飯が喉にとおらなくて、携帯を開けては閉め開けては閉めの繰り返し・・・。

そんな中時間はどんどんすぎていき時計は夜の12時をまわっていた。

「まだかなぁ〜。ヒロさん大丈夫かな・・・。」

待っていてもいっこうに返事がこないので私はお風呂に入ることにした。

お風呂に浸かりながらヒロさんを考えていた。そしてそのまま私の意識がとうのいていった。

『バシャッ』

気がつくとお風呂のお湯は水にちかくなっていて時計を見ると早朝の4時だった。

「わっ!!どうしよう!!」

急いでお風呂を出て洋服を着て、携帯の置いてある自分の部屋にいった。

携帯をみると青く光っていた。

「あっ!!メールだ。きっとヒロさんからだ」

携帯を開けると、そこには新着メッセージとかかれてあり中を開くとやっぱり

ヒロさんからのメールだった。時間は1時半。私がお風呂で寝ていた時間だった。

メールを見るとそれは短いメールだった。

「やっぱりお前とは付き合えない。短い時間だったけどありがと。もう逢うこともないと思う

けど楽しかったよ。さようなら」

『ガタンッ』

まるで壊れた玩具のように私は床に崩れおちた。

「(こんなの嘘だ・・・。嘘に決まってる。だって私のこと愛してるっていったもん。

1番だって・・・。ゥ・・・・ソ・・だよ!!)」

心の中で何度も思った。あのヒロさんが帰り際にアタシに言った言葉。

「1番愛してる」

私は急いで電話をした。

『・・・ただいま電波の届かないとこにおられるか電源が・・・』

電源を切っていた。

ますます不安がよぎった。でも震える手を動かしながらメールをうった。

「嘘だよね?ちゃんと話ききたいです。返事待ってます。」

そして送信ボタンを押して、送信完了しましたの文字が見えると携帯を閉じた。

「(お願いっ!ちゃんと見て)」

祈るように携帯をギュッと握った。

その日は、ひたすらメールを送った。

結局、その日ヒロさんから返事が来る事はなかった・・・。


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