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D-JOKER  作者: カラクリ/あわぞー
魔族への切り札編
9/16

第八話『半年』

「霊人君!」

「どうしたんだ?仁科サン。そんな大声を出しタラ耳に響くダローが」

「そうだな。お前ともあろう者が珍しい」


 霊人の後ろから現れたのは、背の高い、長い赤髪の男、九龍院颯痲。


「珍しいのはそっちだろ。引きこもりの霊人が外に出てきてるし、更に言うとお前等が二人一緒に居るなんてよ」

「コノ赤髪バカが勝手にオレの家に来やがったンだよ」

「そんな事はどうでも良いんですよ……」


 ノアと霊人が、仁科の声を聞いてビクッと肩を震わせる。

 颯痲は相変わらずの無表情。


「九龍院さん、彼……閃牙君を治して頂けますか?」

「それは……」

「本部長の命令だと思って下さい」


 颯痲は仕方ない、という風に手から青色の炎を出す。

 そして、それを倒れている閃牙に飛ばし、閃牙を燃やした。

 これを初めて見た者なら、確実に止めを刺した、と思うだろう。

 しかし、炎が消えた時、閃牙の傷は殆ど治っていた。


「ありがとうございます。さて、霊人君、君は何故彼に……というより私達に攻撃をしたのですか?」

「暇潰―――――」


 全て言い終わる前に、霊人は地面に顔面から叩きつけられた。

 仁科が一瞬で接近して脳天にチョップを喰らわせたのだ。


「今回のお仕置きはこの位にしておきます」

「ヒヒッ、何がこの位ダよ」


 いつのまにか霊人はノアの真横に移動していた。

 霊人の傷どころか、床に入った罅すら消えている。


「ナァ、もう帰ロウぜ。アノ青髪は仁科サンに任セルよ」

「ふむ、それは良いのですが魔族達はどうしました?」

「それならオレが全て燃やした」


 颯痲が言う。

 それを聞いた仁科は、今度こそ解散にした。

 三人は部屋を出て行った後、仁科が振り返って閃牙に目を向ける。


「さて、彼を本部長の下へ連れて行かないといけませんね……」











 翌日。

 昨日の事件の後の事は、語るまでもない事だ。

 あの後、三人でノアの家に向かっていたのだが、途中で颯痲が何処かへ行ってしまったのだ。

 結局ノアと霊人の二人だけでノアの家に行く事になったのだった。

 そして、晩御飯を食べるだけ食べて霊人は帰った。

 これで終わり。

 なので、翌日。

 欧領高校1年B組。


「ねぇ、ノア君、何で昨日早退したの?」

「腹痛で眼科行ってた」

「それ医者困るよね!?」

「あぁ、間違った。頭痛で眼科行ってたんだ」

「大事な所変わってないけど!?」

「お前等何の話してんだよ……」

「仲良いよねー」


 ノア、修也、竜樹、時雨の屋上での会話。

 今は昼休みで、決してサボっているわけではない。

 その時、バンッ、と大きな音を立てて扉が開け放たれる。


「……何だ?」

「節操のねぇ開け方だな」

「誰が節操がねぇって?」


 そう言って屋上に入ってきた(出てきた?)のは閃牙だった。

 制服を着崩している上に、釣り目が相まって、不良に見えてしまう。

 いや、実際に不良に近いのだが。


「お前が節操がねぇんだよ。えーっと、ひゃくめおに君だっけ」

「それで百目鬼どうめきって読むんだよ。つーか、わざと間違えたろ」

「わざとな訳ねーだろ。閃牙君」

「ルビ振ってねぇから読者に伝わらねぇけど、お前今"せんきば"って呼んだろ」

「聞き間違いだ。タツキ君」

「それ完全に俺だろ!つーかタツキじゃねぇよ!」

「じゃあタヌキ君?」

「リュウキだ!この前から思ってたけど完全にわざとだよな!」

「アンタ等百目鬼君放っといて何してんのよ……」


 時雨が呆れて言う。

 閃牙はというと、普段しないようなジト目でノアを睨んでいる。


「何だよ気持ち悪ぃ。そんな見つめるな」

「睨んでんだ」

「同じようなもんだろーが」

「違ぇよ!」

「いつの間にそんな仲悪くなったの……?」


 完全にノアがボケに回ってしまっている。

 別に良いのだが。


「まぁ、良い。お前と口げんかする為に来たわけじゃねぇ」

「じゃあ、何の用だよ、ひゃくめおに」

「……実はな」


 訂正するのはやめたようだ。


「オレも『D-JOKER』に入る事になった」

「ちょっ、おまっ、バカ!」

「あぁ?」


 今この状況でそんな事を言ってしまうと……。


「『D-JOKER』って何?」


 こうなってしまうのだ。

 時雨は『D-JOKER』を知らない。


「何だコイツ、知らねぇのか」

「おいっ、お前っ」

「『D-JOKER』っつうのはな―――――」

「あ、悪からこの街の平和を守る、正義の味方だ!」


 竜樹が閃牙を遮るように言う。

 実際遮っているが。

『D-JOKER』の事は公にしてはならない。


「そうだよな!」


 そう言って二人に同意を求める。

 勿論ノアは素早く頷く。

 しかし、閃牙は少し考える。


「……まぁ、間違っちゃいねぇ……か?」


 閃牙も同意する。

 とりあえず、閃牙がバカで助かった。


「ふぅん……まぁ良いわ」


 時雨は苦笑して言う。

 その後、竜樹が時雨と話している間に、ノアは閃牙の肩に腕を回し、後ろを向く。


「バカヤロー、『D-JOKER』の事を一般人に言うな」

「あ?ダメなのか?」

「そうだよ!そう言われたろ!」

「いや、全然」

「あのバカ女!」


 ノアの頭の中には、ごめんごめんと笑いながら謝る佳弥のイメージが鮮明に出来ている。


「わーった。誰にも言わねぇよ。ただな……」


 閃牙はノアを突き離す。


「お前はいつか殺す。ちゃんと稲瀬さんからも許可を貰ってる」

(何で部下を殺させる許可出してんの!?)

「半年後だ」

「半年?」

「本部に来た時。お前を殺してやる」


 それだけ言うと閃牙は帰って行った。

 そう、最初から本部に入れるわけではないのだ。

 地方の支部で一年間・・・魔族退治を続け、生きていた(・・・・・)者が本部へと来られる権利を得るのだ。

 その一年の間に辛くて辞めてしまう、もしくは殉職してしまう者が多い。

 しかし、閃牙ははっきりと言った。

 半年、と。


「……どういう事だ?」


 少し考えてみたが、面倒になったのですぐにやめた。


「それにしても、まだ俺が仇だと思ってんのかよ……」


 ノアは面倒そうに頭を掻いて、また会話の輪の中に入った。

 とりあえず、半年の間は平和……なのかもしれない。

(竜樹)

「更新早いな……」

(雪龍)

「そうだね。二日連続投稿はしないって言ったのにやっちゃった」

(竜樹)

「嘘つきは絶望の始まりって言うぞ」

(雪龍)

「泥棒だよ!絶望の始まりって怖いわ!!」

(竜樹)

「こんな泥棒作者だが、これからもよろしく」

(雪龍)

「してないからな!?」

(竜樹)

「そう言えば、既に次話が出来てるらしいな」

(雪龍)

「え?うん。ていうか、次の話ができてから投稿するから、毎回次話は出来てるよ」

(竜樹)

「しかもそれこの小説だけだろ?何でだ?」

(雪龍)

「タイトルコールをさせるためさ!」


(竜樹)

「次回、第九話『要するに』。次回もお楽しみに」

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