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D-JOKER  作者: カラクリ/あわぞー
魔族への切り札編
8/16

第七話『人間ではない者達』

 時間を指定されたからとはいえ、無策でノアは敵地に乗り込んでしまった。

 もちろんここにいる魔族程度なら簡単に倒せるだろう。

 問題は目の前にいる百目鬼閃牙だ。

 

「何だよ、ビビってんのか?」

 

 先程からこの様に言ってくるのだが自分から来ようとはしない。

 こうやって挑発し、まんまと懐に入っていった所で攻撃を喰らわせようと思っているのだろうか。

 

(自分から行けない、もしくは来られた方が良い?それがアイツの力と何か関係してるのか?)

「それとも、ゆっくり作戦でも練ってんのか?」

 

 閃牙は大剣を地面に突き刺し、目を閉じ手を横に開く。

 

「別にオレはそれでも構わねぇ。時間がただ過ぎていってあの高校の生徒達が死ぬだけだしな」

 

 閃牙が目を開く。

 その時にはノアが目の前にいた。

 

「なっ―――――」

「やかましぃんだよ」

 

 ノアは思い切り閃牙を殴り飛ばす。

 閃牙は数メートル吹き飛ばされ壁に激突する。

 そして、ノアは手に闇を纏わせる。

 

「『D-JOKER』の掟その2、《人間にとっての害悪を滅す為だけに我々は存在する。故に我々の力は、人間ではない者達にしか使ってはならない》……だったかな」

「………?」

「まぁ、この掟がある限り、俺は人間に対しては力を使えないというわけだ」

「ハッ、何言ってんだ。ならお前の手に纏われてるソレは何だよ」

「いやいや、お前こそ何言ってんだ?」

 

 閃牙はノアの目を見て驚愕する。

 

「俺達みてぇな力を持った奴等が、人間だとでも思ってんのか?」

 

 何故なら

 

「地獄に堕ちな」

 

 ノアの目が、人間の者とは思えない位に、冷たかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とあるビルの屋上。

 そこで仁科は携帯で誰かと話していた。

 

「ノア君は一体どうするつもりなんでしょうかね」

『さぁねぇ……。相手は人間だもんねぇ』

「おや、ノア君は力を持つ者を人間ではない、と考えていますが」

『うーん……それはダメだよねー』

 

 声からして話し相手は佳弥だ。

 

「一度見に行ったのですが、結界の様なものがありましてね。恐らく魔族が関係しています」

『え?緋寿君ならそんな物簡単に壊せるでしょ』

「壊してしまうと気付かれるかもしれませんから」

 

 仁科は笑顔で言う。

 その笑顔は爽やかながらどこか黒かった。

 

『緋寿君、一個頼みたいんだけど』

「何でしょうか」

『ノア君もさ、まだまだガキなんだよね。これで言いたい事分かる?』

「はい、もちろん」

『じゃ、頼まれてくれる?』

「トップからの頼みは断れませんからねぇ」

『ハハハッ、いつもごめんね』

「いえ、慣れてますから」

 

 そう言うと仁科は電話を切った。

 そして溜め息を一つ。

 

「あの方は人使いが荒いのが難点ですね」

 

 仁科はその場で姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノアの本格的な攻撃が始まった。

 

「くっ……」(何だコイツ…。さっきまでの奴と同じ人間か…!?)

「さっさと地獄に堕ちろ」

 

 ノアは閃牙を蹴り飛ばす。

 ただの蹴りだがそこそこの威力はある。

 

「ちぃっ!」(落ち着け……)

 

 閃牙は一度深呼吸をしてノアを見据えた。

 ノアから来る攻撃を躱していく。

 その度に大剣の光が大きくなっていく。

 

「そろそろ良いか」

「闇葬壊針!」

 

 閃牙の立っている地面から闇の針が幾つも出てくる。

 しかし、閃牙は全てを最小限の動きで躱した。

 

「……終わりだ」

 

 そう言うと大剣が形を変え、大砲になる。

 

「……お前の力は武器を変形させる力ってか?」

「半分正解だがそれじゃ足りてねぇよ」

 

 閃牙が引き金を引くと辺り一体が光に包まれたような錯覚に陥った。

 実際は途轍もない大きさのレーザーがノアに向かって放たれたのだ。

 

「これは…!!」

 

 レーザーにノアが呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとやりすぎたか?これじゃ欠片も残ってねぇよ」

「何の欠片が残ってないって……?」

 

 閃牙は声のした方を振り返る。

 そこには右腕に大きな傷を負ったノアが平然と立っていた。

 

「テメェ、何で……」

「闇でレーザーを少しだが呑み込んで防御した。そのおかげで右腕はこんなになっちまった」

 

 そう言って右腕を見せつける。

 服はズタボロになっていて、至る所から血が出ている。

 

「お前の力の足りねぇ部分ってのを考えてみたんだけどよ」

「……………」

「最初の斬撃は大したことなかったのに、二発目のレーザーはあの威力。つまりあの間に何かがあったって事だ」

 

 ノアはまだ続ける。

 

「そして俺の攻撃を躱す度に大剣の光は大きくなっていった。つまり、『肉を切らせず骨を断つデンジャー・デッド・センス』の能力。それはお前が攻撃を躱せば躱すほど、武器の力が上がるというもの、違うか?」

「……そうだ。良く解ったな。まぁ、解った所で何も変わらねぇけどな!」

 

 閃牙は武器を大剣に戻し、ノアに向かって走り出す。

 その時、閃牙の足に激痛が奔る。

 見てみると闇の針が地面から突き出し、足を貫いていた。

 

「さーて、お遊びも終わりにしてやようかな」

「そこまでですよ、ノア君」

 

 広い空間に響き渡る男の声。

 ここには誰も入って来れない筈なのだが。

 

「この程度で私を締め出せると思っていたのですか?」

「仁科……」

 

 仁科がノアの横まで歩いて来る。

 

「おい、何でここに入れたんだ?つーか、テメェ誰だよ」

「私は仁科緋寿と申します。以後お見知りおきを」

「どうやって入ってきた……?」

「ふむ、どうやって、ですか。普通に、魔族達を全て殺してきたんですけどね」

 

 仁科は笑って言う。

 黒い笑みだ。

 

「お前……俺以外の人間がここ来ちまったら、あの高校の生徒達が襲われるんだぞ?知ってる?」

「その対策もばっちりして来ているでしょう?ノア君?」

「何だと……?」

 

 閃牙が驚きの声を上げる。

 空中に映像が浮かび上がった。

 そこには切り刻まれた魔族達と、その中心に立っている竜樹が写されていた。

 

「お前、俺の事は調べたのかもしれねぇけど他は何も知らねぇのな」

「お前等……何なんだよ……!!」

「対魔族専門征伐組織『D-JOKER』。ま、これから地獄に堕ちる奴に教えても意味ねぇけど」

 

 そう言って、ノアが手に闇を纏わせた瞬間、三人の視界が歪みだす。

 そして、三人は地面から突き出てきた岩の槍で足を貫かれた。

 

「なっ……!」

「これは……アイツか……?」

「何故彼が……」

「何故ってよ、こんな面白ソウナ事に何で混ぜてくんねーンだよ」

「霊人……!!」

 

 いつのまにか岩の槍は消えており、傷も消えている。

 だが、閃牙の傷だけ消えていない。

 その時、霊人がニィッと笑った。

 

「霊人君!いけません!」

「『悲しき虚空の藁人形アメイジング・ドールマン』」

 

 仁科の叫びも虚しく、地面から突き出した岩の槍が、閃牙の腹を貫いた。

(ノア)

「月2回投稿じゃなかったのか?」

(雪龍)

「いやぁ、書いてて楽しくなってさぁ。特に霊人が良いよね」

(ノア)

「いや、知らねぇけど」

(雪龍)

「霊人の力、『悲しき虚空の藁人形アメイジング・ドールマン』。どんな能力だと思う?」

(ノア)

「え?俺は知ってるんだが……言って良いのか?」

(雪龍)

「ダメだよ」

(ノア)

「だよな」

(霊人)

「ならオレが説明してヤロウか?」

(雪龍)

「まさかのご本人登場!?」

(霊人)

「因みに、オレ達の力の名前に特に意味はネェぞ」

(雪龍)

「ちょっ!?」

(ノア)

「まぁ、そうだな。俺と竜樹は普通に考えてたらしいが、他は『中二っぽい名前にする』ことだけ考えてたそうだ」

(雪龍)

「ちょっ、もう喋るな!霊人!?タイトルコール!」

(霊人)

「ヒヒッ、これからが面白い所だったンだけどな」


(霊人)

「次回、第八話『半年』。次回も楽しみにシテな」

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