表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
D-JOKER  作者: カラクリ/あわぞー
魔族への切り札編
7/16

第六話『肉を斬らせず骨を断つ』

 とある廃ビル。

 ノアは言われた通り一人でそこに来ていた。

 まぁ、言われなくても一人で来ただろうが。

 

「ったく、何だってん―――――っ!!」

 

 ノアの視界が歪む。

 最初は罠だと思い、身構えたがすぐに視界は元に戻った。

 周りを見渡す。

 先程まで廃ビルにいたのだが、いつの間にか大きな真っ黒い部屋にいた。

 

「どこだ?ここは」

 

 部屋には壁、床、天井と窓しかなく、窓から光が差し込んでいる為、なんとか部屋を見渡せる。

 基本的には暗い。

 

「まさか、これは……」

「お前の思っている通りだぜ」

 

 声のする方を見ると閃牙が一人立っていた。

 手には閃牙の背丈ほどある大剣が握られている。

 

「領域……いや、空間を作り出したのか」

「これで一対一で闘えるぜ」

「……一つ聞いて良いか?」

 

 ノアは閃牙を指差して尋ねた。

 

「何故俺と闘いたいんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは欧領おうれい高校の体育館。

 その中心辺りに竜樹は立っていた。

 

「後20分か……それまでにいくらか数を減らしたいところだな」

 

 竜樹は気配を読む事が出来る。(正確には風を操っているのだが)

 と言ってもここは学校なので人が多過ぎる為、識別するのには時間がかかる。

 

「どれだけ減らせるか……てか出てこいよ」

 

 何もない所から突然仁科が現れる。

 

「隠れても君に対しては無駄ですね」

「そう思うなら止めろよ。いい加減気持ち悪いんだよ」

 

 仁科はこんな事を言われても平然と笑っている。

 

「どうします?他のメンバー、例えばそうですね……嵐城さんでも呼びます?」

「忙しくて来れねぇだろ」

「では霊人君はどうでしょう?」

「俺アイツ嫌いなんだよ。それに滅多な事じゃ出てこねぇだろうし」

 

『D-JOKER』の半分以上のメンバーは仕事の時しか出てこない。

 他人の手助けなどもっての外だ。

 ……というか仕事の時も出てこない場合がある。

 

「仕方ないですねぇ……。一人で頑張ってください」

「おい!お前は何もしねぇのかよ!」

「今月のノルマも達成してますし、私は雑魚とは戦いたくないんですよね」

「ちょっとくらい良いだろ」

「私は傍観に徹する事にします」

「おいおい!」

 

 そう言うと仁科は体育館を後にした。

 竜樹も仁科を口で言い負かせる事が出来ないのは知っているので、これ以上は何も言わなかった。

 

「……まぁ良いか。俺だけでも充分だろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレが何故お前と闘いたいか?お前がオレの兄貴を殺したからだ」

「俺がお前の兄貴を殺した?」(まさか……)

 

 ノアは過去を思い出す。

 人を殺したと言えばあの時しかない。

 八年前の、あの時しか。

 

「それはいつだ?」

「あ?何言ってんだ。二年前だろうが」

「二年前……?」

 

 二年前にノアは人を殺してなどいない。

 因みに、その時には既に『D-JOKER』の一員だった。

 

「多分それ別人だぞ?」

「んな訳ねぇだろ。オレは覚えてる。お前の使う闇を」

 

 閃牙が大剣を構える。

 それに対してノアは手をポケットに入れたまま。

 

「覚悟しろよ。お前は生かして帰さねぇ…!!」

「はぁ……まぁ良いや。言っとくが正々堂々とか考えんなよ?」

「あぁ?」

「俺は力を使うつもりはねぇからな」

「……じゃあお前は何しに来たんだ?」

「俺がここに来た理由?そんなの決まってんだろ」

 

 ノアはポケットから手を出し後ろを指差す。

 

「そこらへんにウジャウジャいる魔族退治だ」

 

 周りには魔族達が大量に隠れている。

 隠れているのだが、ノアにはバレバレだった。

 

「……オレなんて眼中にねえってか?」

「はぁ?自惚れんな。眼中に入ってると思ってたのか?」

 

 ノアはこの闘いで、閃牙に対して力を使う気はない。

 ある約束と掟があるから。

 閃牙も自分から攻撃する気はない。

 

「早く来ねぇと魔族共全員地獄に送っちまうぜ?」

「ッ……上等だ」

 

 閃牙はノアに向かって駆け出す。

 そして大剣をノアに振り下ろす。

 しかしノアは簡単に避ける。

 

「おいおい、この程度で俺を倒そうと思ってたのか?」

 

 ノアは閃牙の足を狙って蹴りを繰り出す。

 それは簡単に避けられる。

 そして閃牙の大剣が光る。

 

「最初は挨拶代わりだ!!」

 

 閃牙は大剣を振り下ろす。

 すると斬撃が地を奔る。

 

「っ!!」

 

 ノアはその斬撃をギリギリの所で躱す。

 閃牙は大剣を地面に突き刺す。

 

「オレの力の名は『肉を斬らせず骨を断つデンジャー・デッド・センス』。死ぬ前に名前だけでも教えといてやるよ!」

「……親切にどーも」

 

 正直名前だけ聞いてどんな能力か判断するのは無理だ。

 ノアは闘いながらも、慎重に、冷静に判断するだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある建物の、とある部屋。

 そこに二人の男が居た。

 白髪の男はソファに体を預け、もう一人の長い赤い髪の男は椅子に腰かけている。

 

「最近歯ごたえのある魔族がイネェよなー」

「だがお前は既にノルマを達成しているじゃないか」

「ヒヒッ、そんな事言ってんじゃネェンだよ。オレは暇を持て余し過ぎて死んじまいそうナンだ」

「何かと闘いたいという事か?」

「ヒヒッ、人をソンナ戦闘狂ミテェに言ってんじゃネェよ」

 

 白髪の男が立ち上がり、歩き出す。

 

「……どこへ行くんだ?」

「どこに行こうと俺の勝手ダローが。てか今更だけど、何で勝手にオレの部屋に入り込んでンだよ」

「金を全て使い切ってしまったんだ。次の支給金が出るまで泊めてくれ」

「アァ!?一ヶ月50万貰ってどうやったら使いキレンだよ!ツーカ、ソレで何でオレん所に来たんだ!泊めるわけネーだろ!ノアの所行け!アイツの所なら食いもんもウメェし………ん、ソーだ」

 

 白髪の男は赤髪の男の襟を掴んで引き摺って行く。

 

「おい、オレをどこに連れていく気だ?オレを売って金にしようとしているのか?」

「ンな訳あるか!ノアの所に行くンだよ!」

「冥星の所に?何故だ」

「暇潰しダよ」

「そうか……だが何故オレを連れて行くんだ?」

「逆にテメェは何で人の家に一人で居ようとシテンだよ。ツーカさっさと経って歩け!」

 

 二人を見ると、明らかに赤髪の男の方が大きい。

 10cm差があるだろう。

 自分より10cm程背の高い男を引きずるのは疲れるのだ。

 

「ったく、九龍院くりゅういん!やっぱテメェは苦手だ!」

「オレは別に冥星も諏佐すさ、お前も苦手ではないのだが」

「テメェの感想は聞いてネェよ!!」

 

 二人の男、諏佐霊人(れいと)と九龍院颯痲(そうま)が、戦場へと歩き出した。

(ノア)

「皆久し振り、冥星ノアだ」

(修也)

「加西修也です」

(竜樹)

「赤間谷竜樹だ」

(ノア)

「いやぁ、予定より9日も早く復活できて良かったな」

(竜樹)

「何で他人事なんだよ」

(修也)

「でも本当に良かったよ!」

(竜樹)

「いやいや、10月から放っとかれたんだぞ?何が良かったんだよ」

(ノア)

「それについては同感だ。作者とよーく話し合わねぇとな」

(修也)

「そう言えば作者は?」

(ノア)

「ん?そこにいるだろ」

(雪龍)

「ンー!ンーッ!!」

(修也)

(何で縛られてるの!?)

(竜樹)

「さぁ、ゆっくりじっくり話をしようか……」

(修也)

「え、えーっと……」


(修也)

「次回は第七話『人間ではない者達』です。次回もお楽しみに」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ