第二話『D-JOKER本部』
修也は考えている。
今日目が覚めたらいつの間にか家のベッドの上だった。
夢だったかと思ったが学校に来てから夢ではない事がわかった。
「今日からこのクラスで一緒に勉強する事になった―――――」
「冥星ノアだ。よろしく」
修也のクラスに転入してきたからだ。
「いやー、奇遇奇遇。まさか修也君がいるとはー」
棒読みでパンを食べているノア。
それを隣で修也と竜樹が見ている。
今三人は屋上にいる。
「……知り合いなのか?」
「知り合いって言うか……」
「えー…あー…そうそう、タツキ君だっけ」
「リュウキだ」
「まぁそんな事はどうでも良いわけだ」
竜樹はよくねぇと言ったがノアは聞いてなかった。
というより無視した。
「あ、修也と竜樹じゃん。君は……ノア君だっけ」
そう言って近付いて来たのは榎並時雨。
黒髪のロングヘアーの美少女で、大抵修也、竜樹と一緒にいる。
「こんな所で何やってんの?」
「ちょっと世間話してただけだ」
「ふーん、じゃあ私も混ぜてよ」
という事で時雨も加え、四人で世間話を再開した。
時間は過ぎて放課後。
今日は時雨は部活、竜樹は生徒会に入っていて(因みに書記)そっちに行っていているので、ノアと二人で帰っている。
「ノア君……昨日の事なんだけど……」
修也は小さく頷く。
今日の朝からずっと聞きたかった。
しかし、竜樹や時雨には聞かせてはいけないと思った。
だから二人になるのを待っていた。
「昨日の奴は何なの?君は何者なの?」
「一度に聞くな。とりあえずこれからお前をある所に連れて行かなきゃならない。一緒に来て貰うぞ」
「えっ、一体どこに!?」
「質問は向こうに着いてからだ」
「ちょっと――――――」
ノアは振り向いて言い放った。
「ごちゃごちゃやかましい」
その言葉と同時に放った威圧感のせいで修也は喋るのを止めた。
仕方なくノアの後を着いて行く。
しばらく着いて行くととても高いビルに来た。
「ここ、なの…?」
「ああ」
二人はビルの中に入る。
するといきなり武装して銃を構えている集団に囲まれた。
「ちょっ、あっ、ノ、ノア君!!?」
「やかましい。ノアだ。稲瀬に用があって来た」
「ノア様でしたか……これは失礼。今佳弥様に確認を取った。佳弥様は最上階にいる」
「どーも」
そう言ってノアはエレベーターに向けて歩き出す。
修也もびくびくしながら着いて行く。
「ね、ねぇ、大丈夫なの?」
「別に襲ってきやしねぇよ」
「それでもさぁ……」
「文句があるなら稲瀬に直接言えよ」
(あんな人達従えてる人に言えるわけないでしょ…)
二人はエレベーターに乗り、最上階に向かう。
ノアが少し苦しそうな表情をする。
「大丈夫?」
「ああ、この浮遊感が嫌いなだけだ……」
かなり高いビルだったが15秒ほどで最上階に着いた。
エレベーターのドアが開くといきなり部屋だった。
図書館の様に壁一面に本があり、窓の近くに机がある。
その横には外を眺めている人がいる。
「おっ、来た?やっと見つけたかぁ」
外を眺めていた人が振り返る。
その人は女性で、目は青く、時雨と同じ位長い金髪だった。
「この子が加西修也君?」
「ああ、っていうか毎回の事ながらここに来た時に囲むの止めてくんない?」
「私が止めても意味無いんだよねぇ。それより学校は楽しい?」
「さぁな、てかアンタ……無理矢理俺を転入させたろ。おかげで教師が俺を変な目で見るんだけど」
ノアは溜め息をついて頭を掻く。
それを見て女性は笑う。
「あの……」
「ああ、ごめんごめん。私は稲瀬佳弥。『D-JOKER』の本部長。つまり一番偉い人だよ」
「おいおい……」
「『D-…JOKER』?」
「あれ?まだ言ってなかったの?」
ノアはまた頭を掻く。
どうやら癖の様だ。
「まぁ良いじゃん♪どうせいつかは言うんだし」
「アンタが良いなら俺は別に良いけど」
「じゃあ言っちゃおうか」
佳弥は一度咳払いして言った。
「私達は対魔族専門征伐組織。通称『D-JOKER』」
「魔族……?それって昨日の……」
「ああそうだ」
「魔族ってのは色んなのがいるんだけどさ。一番上のランクに魔神が3体いるの。それ以外にも魔王とか強いのはいるけど……ま、大抵はザコなんだけどね」
佳弥は急にノアを引き寄せた。
「私達は力を持っている。今の所本部には私とノア君を含めて9人しかいないけどね」
「力……?」
「俺のは昨日見ただろ?名前は『地獄への冥府の闇』」
そう言ってノアは右手を出して闇を右手に纏わせた。
この闇で昨日魔族を呑み込んで消滅させた。
「まぁ、昨日のは魔族の中でも最弱の部類に入る奴だ」
「今のノア君じゃ魔王と戦っても簡単にやられちゃうんじゃない?」
「やかましい」
そう言って佳弥から離れる。
「そういや、何でコイツをここに連れて来るよう頼んだんだ?」
「そうそれ!忘れるトコだった!」
修也は思った。
こんな人が本部長で大丈夫なのだろうかと。
「ズバリ!修也君にも私達と同じように力があります」
「……え?」
「……コイツに力があんの?何でそう言う事を先に言わないの?」
「えへへ、修也君の力を知らなかったからさぁ」
(僕に……ノア君の様な力……?)
ノアは何かを思い出したかのように「そうだ」と言った。
「あそこに『エノク』がいるなんて聞いてなかったぞ」
そう言った時ノアは気付いた。
自分が殆どの情報を聞かされてなかった事に。
「ごめんごめん、言うの忘れてた」
「……別に。今度からは監視はアイツに任せりゃいいよな」
そう言ってノアはエレベーターに向かう。
それを佳弥が引き留める。
「ノア君には引き続き学校に通って貰うよ」
「はぁ!?何でだよ!」
「君の考え方が少しでも治るようにね」
「……冗談じゃねぇ。俺は……」
「他人に興味が無い?」
ノアは肩をピクッと振るわせ反応する。
それを見て佳弥は冷たい目でノアを見る。
「そんなんじゃいつまでたってもガキのまんまだよ」
「っ!……わかったよ。行きゃ良いんだろ」
「分かればよろしい」
ノアは何も言わずにエレベーターに乗り込んだ。
修也も佳弥に一礼しノアを追いかけた。
「修也君、またね」
「はい」
その会話を最後にエレベーターのドアが閉まった。
(ノア)
「今回はキャラ放出回だったな」
(雪龍)
「って言うほど出してないよね?」
(ノア)
「そうだったか?忘れたな」
(雪龍)
「もう!?」
(修也)
「ねぇ、僕に力があるってどういう事?」
(雪龍)
「それはここでは言えないよ」
(修也)
「それもそうだね」
(雪龍)
「ではタイトルコォール!!修也君どうぞ!」
(修也)
「次回は第三話『空を裂く断末魔』です。次回もお楽しみに」