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D-JOKER  作者: カラクリ/あわぞー
魔族への切り札編
2/16

第一話『地獄への冥府の闇』

 とあるビルの屋上。

 そこに少年がいた。

 白髪のツンツン頭に、お世辞にも良いとは言えない目付きの瞳、端正な顔立ちで、黒いロングコートを着ている。


「………ここどこだ?」


 少年はしゃがみ込んでポケットからケータイを取り出し、誰かにかける。

 どうやら道に迷ってこんなビルの屋上まで来たらしい。

 方向音痴という次元を遥かに越えている。


『もしもし、仁科にしなです』

「ん、ああ、俺だ」

『オレオレ詐欺ならお断りですよ』

「違ぇよ」


 少年は冷静に突っ込む。

 電話の相手―――仁科は声からして男のようだ。


『冗談ですよ。それより彼は見つかったんですか?』

「そんな奴どころか俺自体を見失ってる」

『また迷子ですか?』


 随分と難解な言い回しだ。

 そして、"また"と言われていることから、今回が初めてではない事が解る。


「正直な所、顔写真だけでこんな無駄に人が多い街中から人一人見つけるなんて、俺には向いてねぇよ」

『仕方ないじゃないですか。霊人君は外に出たがらない。九龍院さんは消息不明』

「アイツが良いだろ。風使ったら人捜しとかお手の物だろ」

『流石に風では人捜しは無理でしょう』


 そんな事は少年にも解っていた。

 ただ言ってみただけ。


『仕方ありません。先程私が仕入れた情報を差し上げます。なので、夜が明けたらそこへ行ってみてください』

「何?情報とかあんの?早く言えよ」(つーか、場所解ってんなら自分で行けや)


 仁科はフフッと笑い、場所を告げると電話を切った。

 少年はケータイを閉じてポケットに戻す。


「……欧領おうれい高校か」











 白髪の少年は欧領高校の校門の前に来ていた。

 目付きは悪いが、整った顔立ち。

 黒いロングコートではなく、家に居るある人物からコーディネートしてもらったお洒落な服装(作者にファッションセンスがない為詳しくは書く事が出来ない)。

 その為、どこかのモデルだと思っているのか、周りに人が集まり、写メを撮られたりしている。


「……こんなに人が居たらコイツ捜せねぇじゃねぇか」


 そう呟くと少年はその場を立ち去った。

 しかし、周りの人々が付いて来るので、結局は走って逃げた。


「どうしたの?」

「お、加西か」


 経った今校門から出てきた黒髪、黒縁眼鏡の少年が、一人の生徒に尋ねる。

 彼の名前は加西かさい修也しゅうや

 1年B組所属、出席番号4番。


「いやぁ、惜しかったな。もうちょっとでモデル見れたのに」

「モデル?ここに居たの?」

「ああ、さっきまでな」

「何してたの?」

「さぁ……人待ってるみたいだったけどすぐ帰ったよ」

「あ、修也」


 修也の背後から話しかけてきたのは、赤髪赤目の少年。

 彼の名前は赤間谷あかまや竜樹りゅうき

 彼もまた、整った顔立ちで、欧領高校のアイドル的存在となっている。


「今日生徒会があるから先帰っててくんない?」

「え、うん、解った」


 とは言ったが、昼休みの間にその事は聞いていた。

 たまたま見かけたのならもう一度確認の為に言うかもしれないが、ここは校門の前。

 たまたま見かけたと言う可能性は低い。

 竜樹は少し周りを見てから再度修也に向きなおした。


「修也、帰り道気を付けろよ」

「うん、ありがとう」


 モデルの事が少し気になっていたが、気にしていてもどうにもならないので、別れの言葉を竜樹に告げ、修也はその場を後にした。

 その様子を物陰から見ていた影が一つ。

 というか、先程の白髪の少年。


「加西修也、見ーっけ」











「何で……何で……!!」


 修也は精一杯走っていた。

 あるものから逃げる為に。


『逃げんじゃねぇよぉ……!』


 後ろから追ってきているのは二本の角を生やした3m程の緑色の鬼。

 何故追われているか解らない。

 最初はただ、自然に不自然だと感じただけだった。

 いつもの帰り道を通っている筈なのに、帰れなかった。

 それどころか、同じ場所を何度も何度も通っていた。

 そして、立ち止まった瞬間、コレが現れたのだ。


「な、何のために追いかけて来るんだよ……!!」(あれ……?)


 そう言いながら修也は鬼から逃げる。

 幸いなのか、不幸なのか、周りに人がいない。


『テメェを食う為だぁ……!』


 修也は角を右に曲がった。

 その後の風景を見て驚愕する。

 しかし、そこは行き止まりだった。


「そ、そんな……」

『やーっと追いつめたぜ』


 鬼はニタァと笑って修也に歩みよる。

 修也はここから逃げる為の打開策を必死に考えるが、全く考えがまとまらない。

 いや、打開策など、存在する筈が無い。

 こんな異形な化け物を前にして、無力な人間が打開策を考える事自体が無謀なのだ。

 だが、救世主が現れる。


「そいつに……」

『あぁん?何だぁ、この声は……?』


 どこからともなく響く声。

 そして、鬼と修也の間に白髪の少年が飛び降りてきた。

 何処かの家の屋根の上にでもいたのだろうか。

 そして、もしそこから飛び降りたなら足は痛くないのだろうか、等と考えられるほど修也は冷静ではなかった。


「手出そうとすんな。コイツは俺が狙ってたんだっつーの」

『……誰だお前?どうやって入って来た?』

「お前に教える気は無い。つーか、お前と話をするつもり自体ない」


 そう言うと少年は振り返って修也を見る。


「悪かったな。ココに入ってくるのに時間がかかった」

「え?あ……」

「まぁ、コイツは俺に任せとけ」


 そう言って、少年は再度鬼の方に向き直る。

 次の瞬間、鬼の足元から黒い槍が飛び出し、足を縫い付ける。

 尾にはバランスがとれずに前に倒れ込んだ。


『な、何だぁぁっ!?』

「やかましい。静かにしろ」


 いつの間にか、少年は鬼の頭を掴んでいた。


「冥府の闇に―――――」


 鬼が黒い靄―――闇に呑み込まれる。

 最初は抵抗していたが、段々と動かなくなった。


「呑まれて堕ちろ」


 闇が消えたと同時に、鬼の姿も消えていた。

 この少年が、鬼を追い払ったのだ。


「えーっと、大丈夫か?」

「き、き、君は………?」

「俺?俺の名前は冥星みょうじょうノアだ」


 この出会いが、これからの物語の始まりだった。

(ノア)

「これが初めましてだな。俺はノアだ」

(修也)

「僕は加西修也。よろしくね」

(雪龍)

「一応二人とも主人公です。正確に言うとノアが主人公で修也が準主人公かな」

(ノア)

「そんな事はどうでも良い」

(修也)

「えっと、アドバイス、批評など何でも良いので感想待ってます」

(ノア)

「だがただ単に『面白くない』とか言われても作者の心が折れるだけだから、どの辺りが面白くないのかという事を言ってくれると助かる」

(雪龍)

「言う事は言ったかな。では今回はノア!次回のタイトルコールをどうぞ!」


(ノア)

「次回、第二話『D-JOKER本部』。お楽しみに」

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