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D-JOKER  作者: カラクリ/あわぞー
魔族への切り札編
11/16

第十話『学校案内』side修也

 突然だが、今は放課後。

 未来の登場した日の翌日


「勉強って難しいね。要するに全然分からなかったよ」

「「「……………」」」


 放課後の教室の一番後ろの席。

 水色の髪の少女、凛堂未来はそこにいた。

 半袖でこれもまた寸が足りていないシャツに、短いスカート。

 要するに、学生の格好。


「で、皆どうしたの?そ、その、アタシは、修也君……だけで……良いん………」


 最後の方は声が小さ過ぎて全く聞こえなかった。

 未来の他に居るのは、ノア、修也、竜樹の三人。

 他の全員は部活や帰宅をしている。


「えーっとさ……何で居んの?」

「そりゃ、アタシがこの学校に来たからに決まってるでしょ。要するに転校だよね」

「……うん、色々ツッコミ所はあるんだけどさ」

「とりあえず、何故お前この学校に来たんだ?修也の見張りなら俺達二人でお釣りが来るくらいだぞ」

「え!?僕見張られてたの!?」


 少し違う気はするが、別に問題は無い。

 もしそうだとしたら、一昨日一人で帰っていた事はどうなるのだろう。

 案外放任主義なのかもしれない。

 全く以って意味無いが。


「ア、アタシだって勉強したい!要するに修也君の近くに居たい!」

「それはイコール関係にはならねぇぞ!?」

「……イ、イコール?な、なるよ!要するにイコールって何?」

「イコールより先に"要するに"の使い方学べよ、バカネコ」

「にゃん、って違う!要するにネコじゃない!」


 この場合の"要するに"の用法は合っているのに……。


「未来ちゃんも勉強したいんだよね?」

「う、うん……だから、アタシもこのクラスに明日から来るから」

「今日から居ただろ!」

「今日はリハーサルよ!要するに予行演習ね!」

「授業に予行演習もクソもねぇよ!」

「勘違いしないでよねっ!」

「何で突然ツンデレに!?」


 あのノアが防戦一方である。

 竜樹に至っては関わる事をやめようとしている。


「だ、だから、その……ね?修也君に……この学校を、案内して……欲しいんだけど……良いかな?」

「僕?うん、良いよ」


 修也の笑顔で未来は沸騰する。


(昨日から思ってたけどもしかしてこのバカネコ……)

(修也の事好き……だよな?)


 しかし、当の本人である修也は全く気付いていない。

 鈍感とは常に恐ろしいものなのだ。

 ……知らないけれども。


「修也に学校案内してもらうんなら俺は帰るぞ」

「え!?待ってよ!どっちか残ってよ!要するに修也君と二人っきりって緊張するじゃない!」

「お前、そんな大胆に公言していて緊張も何もねぇだろ」


 未来は"要するに"の後は、本音を言う物だと思っているのかもしれない。

 それにしても、用法を間違えている時もあるのだけれども。











 ノアと竜樹の、帰宅を掛けた大勝負(じゃんけん)は、ノアの勝利に終わった。

 要するに、竜樹が学校案内に同席する事となった。

 ……今の"要するに"の使い方が、合っているのかどうか分からなくなってきてしまった。


「えっと、まずはここが体育館ね」

「今はバスケ部が使ってるな」

「ジャンプ力低いねー。要するに大した事ないね」


 移動。


「このフロアは理科室ね」

「科学部とかが使ってるな」

「科学!科学!」

「……いや、何なんだよ」


 移動。

 因みに、この移動の間も多少話はしている。


「ここは職員室だよ」

「教師達の部屋だ。俺達が授業とかで使う事はまずない」

「キョンシー?要するに中国の妖怪?」

「違う。教師」

殭屍きょうし?要するに中国の妖怪?」

「違う!てか、どっちも一緒だ!」

「それにしても難しい漢字知ってるんだね」


 移動。

 そろそろ面倒になってきたので早送り、ではなくスキップ。


「と、この位だけど他には……」

「プールは?」


 この高校にはプールがあるが、授業では使われず、部活でしか使われない。

 水泳部は勿論のこと、水球部まであるのだ。


「プ、プールなんて良いよ!あり、がとね!」


 未来は青褪めて言う。


「具合悪くなったの?」

「違うよ!要するにプールは良いよ!」

「あぁ、そう言えばお前……」

「な、何でもない!要するに何でもない!」

「前後で言ってる事変わってねぇぞ」

「飛びたい!要するに鳥になりたい!」


 未来が叫ぶと昨日と同様に、手が翼になり、何処かに飛んで行ってしまった。

 所要時間およそ3秒。


「……どうしたのかな……?」

「アイツ、水に濡れたら性格変わるんだよ」

「えっと……どういう事?」

「普段はあんな感じだけど、水に濡れたら小心者になって人見知りになる」


 だから修也が未来と初めて会った日、何も喋らなかったし、俯いていたのだ。

 あの日は雨が降っていた。


「ま、俺的にはどうでも良いんだけどな」


 竜樹が言ったその瞬間。

 二人の後ろにある噴水に何かが凄い勢いで落ちて来た。


「刀が欲しい。要するにコイツを斬りたい」


 落ちて来たのは傷だらけのノアと未来、更に白銀の毛の三つの頭を持つ巨大な犬、ケルベロスの様な魔族だった。

 魔族の方も片足が無く、腹から血が溢れ出ているというボロボロの状態。


「行け!ネコッ!!」

「にゃん、って違う!要するに―――――」


 未来が魔族に向かって跳ぶ。

 ノアの闇葬壊針で、ケルベロスの足を固定している為、逃げられない。


「ネコじゃないッ!!」


 未来は刀で魔族を一刀両断した。

 魔族は血を噴き出し、体の半分がそれぞれ左右に倒れる。

 そして、段々粒子のようになって消えていく。

 魔族は死んだらああいう風に消えるらしい。


「ノア君……?未来ちゃん……?」

「ん?修也?まさか学校まで戻って来ちまったのか?」

「何やってんだ。学校壊してんじゃねぇよ。俺まで罰金喰らったらどーすんだ」

「罰金?」

「器物損壊で罰金。人殺したら地方支部行き。またまた一年頑張ってー」


 随分軽い感じに言っているが、よくよく内容を聞くととんでもない。

 普通に"人殺したら"等と言っている。


「つーか、お前帰ったんじゃなかったのかよ。何でここに居んだ?」

「んー…………詳しくは次回」

「次回とか言っちゃ駄目でしょ!!」


 次回に続く。

(颯痲)

「次回はノア側の話なのか?」

(風見燈環)

「うん、そうなるね」

(颯痲)

「オレの出番は無いのか?」

(風見燈環)

「無いね」

(颯痲)

「オレはまだ自分の力の名前すら出ていない」

(風見燈環)

「あー、確かに。青い炎出しただけだね」

(颯痲)

「……なるべく早く頼むぞ」

(風見燈環)

(結構がっつく奴だな……)


(颯痲)

「じかい第十話(裏)『学校案内』sideノアだ。次回も楽しみに待っていろ」

(風見燈環)

「何で命令形!?」

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