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貴方と背中を合わせる理由。(仮)  作者: はつい
第伍縁:加速しない想いは恋じゃない・・・・・・?
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第Ⅶ十Ⅵ話:運命のデュエル?!

「はい、征樹くん。」


 夕食を終えた部屋に帰ると、皆でゆっくりとお茶で落ち着く事になった。


「どうも。」


 静流から手渡された湯飲みを慎重に持ち、ふぅふぅと息を吹きかける征樹。

実は少々猫舌なのである。

誰も声には出さないが、心の中で彼の仕草を可愛いと呟いている中で、征樹は別の事を思い出していた。

それは、夕食の光景。

例の罰ゲームのことではなく、大広間の光景だった。

浴場の外で会った少女がいないかと。

あれだけ目立つ外見だ、大広間にいたとしても、他の衆人に埋もれるわけがない。


(全員があそこで食事をとるとは限らないか。)


 何故、そんな事が気になっているのかもわからないまま、征樹はそう思って、それ以上の思考を終了しようとする。


「じゃあ、そうしましょうか?」


「全員参加ね?征樹も。」


「ん?」


 相変わらず、思考を深めようとすると他の一切が入らなくなる。


「人の話はちゃんと聞かないとめーよ?」


 わざとらしく大仰な顔をして注意をするい琴音。


「ごめん、何?」


「トランプです。」


「トランプ?」


 団体での旅行の定番ではある。

そういえばと、小学校の修学旅行で征樹もやったのを思い出す。


「そ、一番になった人が最下位の人に質問出来る罰ゲーム付き♪」


「ろ・・・。」


 ロクなものじゃないと突っ込もうとした息を呑む。

命令ではなく、質問ならそこまでの被害はない。

ましてや、今は旅行中。

それくらいハメを外してもいいし、乗ってもいいだろう。

それに誰も文句がないのならば、征樹自身が反対する理由もない。

だったら、これも旅行の醍醐味と受け入れた方がいいという結論に達する。


「わかった。じゃあ、何からする?僕は・・・ブ」 「ブラックジャック以外で!」


 何時も怯えたり、会話のテンポについていけない事が多い奏が、物凄い勢いで割り込んでくる。

彼女は、そういう時があるというのは、もはや征樹にも周りの皆にも認識されつつあるのだが・・・。


「葵くん、ブラックジャック得意だから・・・そ、それ以外で。」


(チッ・・・。)


 確かに征樹はブラックジャックを提示しようとしていたのだが・・・。

以前の修学旅行中になんとなくやったブラックジャック。

これが連戦連勝で、ガッツリとクラスメートのお菓子を頂いた事があるのだ。

まさに奏の指摘通り。


「なるほど、じゃそれ以外で!」


 心の中で思わず悪態をついてしまった征樹をよそに、杏奈は決定の声とともにトランプをシャッフルしてゆく。

何故、それ程までに征樹に関して詳しいのか?

毎回、奏の発言を訝しげに考えてしまう杏奈ではあったが、今回だけは例外とした。

今、この場の図式は征樹VS女性陣なのである。

つまり、"征樹をなんとかして最下位にしてやろう"という構図。

そして、あわよくば自分が1位をとろうと考えている女性陣内の戦い。

勿論、そんな女性陣の内情はよそに、征樹もやるからには1位をとろうと思っている。

意外と自分が負けず嫌いなんだと自覚しながら・・・。

だが、このルールは征樹にとって、一つの問題を孕んでいて・・・。


(僕は・・・勝ったら何を質問したらいいんだ?)


 勝って1位になったとしても、どんな質問をすれば皆目見当もつかない。

最下位になる人間次第なのかも知れないが、それを踏まえたとしても、だ。

誰もが微妙なテンションの中で、このルールの穴に気づかないまま・・・。


「じゃ、最初はババ抜きで。」


 杏奈の宣言。


「あら、何か最初から勝てる気がしなくなっちゃいそう。」


 どうにもリアクションの取りづらい琴音の反応は黙殺されたまま、トランプは静かに各自に配られていく。

琴音の方も自虐的なネタを振ったという自覚もなく平然と笑顔のままで、特に何かを言って欲しかったというわけではないようだ。

トランプが全て配られると・・・いざ、戦いの夜の幕が上がる!

誰もが、何だコレ?と突っ込みたくなる空気の中で・・・。

ちなみに作者も一番得意なのはブラックジャックです。

昔は、トランプ1セット分なら既出済みのカードを記憶出来てたもので(苦笑)

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