第ⅩⅩⅩⅩⅩⅣ話:質問の意図はしっかりと掴みましょうという教訓。
もう少し細かく気持ちの描写をして書き分けが出来るようになれば、タイトルの(仮)が取れそうな気がします(苦笑)
「はい、食後のお茶。」
「ありがとう、静流さん。」
食後のお茶を渡される征樹。
同じようにお茶を渡された奏はチラチラと征樹を見ながら、飲んでいる。
残りの杏奈といえば、今は洗い物を片付けている最中だ。
食後の会話も気にはなるのだが、夕飯を作るという重要なポジションを奏に奪われてしまった分、何か家事をしなければと考えたからだ。
とりあえず、静流は残ったままだから、会話の内容はあとで聞けばいい。
と、いっても大きな声で会話されれば台所でも聞こえるのだが。
ちなみに余談だが、静流にはこの後にお風呂掃除という家事が控えている。
「そういえば、相談ってどうなったの?」
「ふぇ?」
相談がどんな内容で、どんな結末に至ったか。
多少は気になる征樹。
「出なかった?」
あまり参考にならなかったのだろうか?
(でも・・・。)
チラリと静流を見る。
どう見ても静流はモテる。
きっと恋の数は相当のものだろう。と、勝手に思い込んでいる征樹には静流に答えられない事はないくらに思っていたのだ。
これもまた思い込みなのだが。
「あ、あのね、色々と聞いたんだけど、まだ考えがまとまらなくて。」
「そうか。」
下手をしたら、この会話だけで征樹はこの件に関しては興味を失っていただろう。
元々、そういう輩なのだ。
「あ、あの、葵くんはどうなのかなっ?」
「僕?」
自分がどうだというのだろう?
恋愛に関する事はもう喋ったはずだ。
同じ事を二回も説明するのは、どうも面倒に感じてダメだった。
「僕は彼女とかいないよ?」
どうしても敬語が話せないのはもう仕方ないと思って放棄する事にして。
「好きな人とかは?」
「へ?」 「あっ。」
便乗して突っ込んでしまった口を押さえる静流。
「ど、同世代の男の子って参考になるかも知れないから・・・私にも教えて下さい。気になる人とか、そういう感じとかって・・・。」
好きな人・・・ふと考え込む征樹。
瀬戸やあのクラブにいる人達は好きな方だ。
なんだかんだで、"葵 征樹本人"を見てくれる。
でも、今の質問の内容とは違う。
では、気になる人・・・最近、一番気になる人は・・・真っ先に浮かぶ"琴音"だ。
が、これも質問の意図と少し違う。
「う~ん・・・。」
ただでさえ、人間関係自体が希薄だというのに、恋愛とまでいくと・・・唸るしかない。
「こ、こぅ、ドキドキする女性とかっ!」
ひたすらに唸り続ける征樹に痺れを切らした奏が、更に突っ込んでしまう。
それくらいの長考。
ドキドキといえば・・・と、再び征樹は再考する。
「う~ん・・・ドキドキなら・・・。」 「なら?」
息を呑んで見つめる奏。
「最近なら、静流さんかなぁ。」
今現在、一番近くにいるだろう女性は静流だったし、それ以外の女性という存在がまずいない。
冬子は既に思考の外に廃棄処理した。
放射能マークつきのコンクリート詰めで。
プラス、征樹は以前のキスを思い出して・・・思い出すとやっぱりドキドキする。
うん、間違ってないと再認識して、自分では気づかないがほんのり頬を赤らめたまま静流を見ようとしたのだが・・・。
「え。えぇーッ!!」 「えぇっ?!」
奏が声を上げ、台所から杏奈も転がり出て来て声を上げる。
当の静流はぽっかりと口を開けたまま固まったままだ。
どうやら、何かを言おうとした結果、何も言葉にならず固まってしまったらしい。
マバタキまで止まった状態といえば、静流にとっての衝撃はいか程だったかわかるだろう。
明日は祝日だとォォッ!(訳:翌日も更新致します。)




