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貴方と背中を合わせる理由。(仮)  作者: はつい
第肆縁:出会いは化学反応のように・・・・・・?
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第ⅩⅩⅩⅩⅡ話:そのジレンマは複雑で?

お気に入りと感想が少なくても頑張るもんっ(トオイメ)

 征樹が倒れてから、数週間が過ぎた。

今は征樹も完全に回復して、登校している。

あれから、彼の周囲の環境は何が変わったというわけではない。

いや、変化はしたのだろう。

琴音はいなくなり、静流が家にいるようになり、そして杏奈が合い鍵を持った事により、ちょくちょく遊びに来るようになった。

合い鍵を持ったのだが、実際は事前に通達。

一方的な宣言なので通達だろう。

それをしてから、杏奈は征樹の家に行くようにしているので、合い鍵を使って我が物顔であがりこむという事はなかった。

変化といえば、杏奈は隣の席に座る征樹を眺める時間が多くなっている。


「弱ったなぁ・・・。」


 思わず杏奈は呟く。

以前より征樹の顔を見る回数の増加量は、圧倒的な上昇の一途を辿っている。

変なところで、杏奈は自分が現実的だと思っていた。

つまり、この行動が自分の感情の何に直結しているのかを。


(独占欲か・・・。)


もっとこっちを向いて欲しいと考えてしまう、想ってしまう。

それが、ダメだと歯止めをかけようとしていても。


「どうした?」


「え?いや、なんで?」


 こっちを向いて欲しいと思った瞬間、征樹が杏奈を見る。


「また何か言いたい事があるのか?」


 自分を見る征樹。

征樹が見てくれている。


「何か・・・。」


「何か?」


「気にくわない。」


「はぁ?」


 何だそれは?と、可哀想な子とでも言いげな征樹。

今、自分を見ている事、それは征樹が確実に変わったと言える事だ。

今までの征樹なら、杏奈の視線・言葉、その全て。

気に入らなかったり、興味がなければ全部スルーだ。

歯牙にかけないというより、見る事すらしない。

それが今、自分から話を聞いたり、見たりと・・・。


「確かにアタシが言ったんだけどさぁ。」


 関われ、興味を持て。

それが征樹にとって良い事だと思ったのは、今も変わらないが。


「葵くん、おはよう。」


「あぁ、おはよう。」


 あれから少し物腰が柔らかくなったような印象のある征樹は、こうやってたまに他の人間にも挨拶程度ならかわすようになった。

あくまでも、以前よりではあるが。

問題なのは、その男女比率が圧倒的に女子側に傾いているのが、杏奈の気がかりだった。

今も、挨拶をかわした女子は、征樹と挨拶できた事をきゃっきゃと友人達と話している。

かといって、今更になって杏奈は自分の発言を撤回するワケにもいかない。

いかないが、この現象は面白くない。

ジレンマの中で、酷く自分が情けなくなっての発言。

インディーズのバンドを熱狂的に追いかけていたら、そのバンドがメジャーデビューして、大人気になり手が届かなくなってしまうような気分。

でも・・・。


(最初に声をかけたのはアタシなのに・・・。)


 そういう心理。


「何を怒っているのか知らないけれど。言いたい事があるなら言えばいい。」


 埒があかない事をいい加減うんざりしてくる征樹。


「・・・あのさ。」


 意気消沈気味に呟く。


「ん?」


「んなコト言えるくわぁーっっ!」


 突然に立ち上がり、ぐばぁっと座っている征樹に後ろから抱きつくと杏奈はすかさずチョークスリーパーの体勢に入る。


「うぐぉっ。」


 また首か。

何かこだわりがあるのだろうか?

そう思う征樹と、全部征樹が悪いと思って力をこめる杏奈。


「どうだ!参ったかっ。」


 だが。


「うぐぅ・・・なんというか・・・痛気持ちいい・・・。」


 感想の内容がすぐには理解出来なかった杏奈だったが、ゆっくりと自分の胸を見る。

征樹の背中に押し付けられた胸を。


「え、エロ征樹!」


 教室に響き渡る叫びと、クラスメートの大爆笑。

クール(なように)見える征樹に"エロ属性"がつき、とっつき易さ増した彼の人気は杏奈の意に反して更に上がるのだった。

ごめんなさい、励ましの便りボシュウチュウデス・・・(泣

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