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貴方と背中を合わせる理由。(仮)  作者: はつい
第弐縁:灯台下を照らしてみたら・・・・・・?
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第ⅩⅩⅩⅠ話:幼馴染はブッ飛んでた。

人気がなくても書くどーw

最低10人くらいは読んでくれてる、大丈夫だ、自分(謎)

「はぁ・・・。」


 杏奈は征樹に送ってもらっている道中、溜め息をついた。


「何?」


 何時もは他の人間の事など、完全にスルーな征樹も流石に二人だけでいる時は反応してくれるらしい。


「う~ん、いやさぁ~静流さん美人だったなぁって。」


 理知的でクールでキャリアウーマンで、スタイルまで抜群の女性。

あんなスーパーウーマンが征樹の傍にいるのでは、そりゃあ自分なって見向きもされないわ。

それが杏奈の感想。


「そぉ?」


 だからなんだ?と、特段気にした様子のない征樹。


「だって凄くない?!というか・・・なんでそんなにさっぱりとした反応なのよ?」


 もう既に完全に毒されたか?と杏奈は突っ込みたい。


「んむぅ、美人なのは認めるけど・・・だからナニ?って感じ。」


「はぁっ?!」


 大声をあげて征樹に食って掛かる。


「美人だから、何かあるのかなって。そりゃあ、一番に視界に入るから、第一印象はいいとは思うけど・・・。」


 けど。で止まる。

他に思いつかないらしい。


「だって、美人で知的でスタイル良くて・・・アタシとは月とスッポンだよ。」


 悔しいけれど、負けを認めざるを得ない。


「そういうものなのかな?」


「はぁ・・・ま、征樹の観点がわからないわ。」


 まだ呼び慣れない征樹の名前を呼ぶと、征樹はひとしきり首を傾げ言葉を続ける。


「美人だとして、杏奈だって可愛いじゃない?」


「そ、それとこれとは・・・別でしょ・・・。」


 唐突に可愛いと言われて顔が真っ赤になる。

また火が出そうな杏奈。


「違わないと思うな。美人と可愛いじゃなかったら、静流さんは理知的でクールだけれど、杏奈は明るくて優しい。僕にでさえ。これって単純に比較出来る事じゃないでしょう?」


 正論過ぎる程、正論だ。

だって、比較基準が違うのだから。

それに征樹は一つ間違っている。

"僕にでさえ"ではなく、"僕にだけ"だ。


「何か、それってズルくない?」


 どう考えても屁理屈にしか感じられない。


「ズルいって言うか、比較出来ないものを比較する必要ないし、基準がないなら、どっちがいいなんて見る側の好みだけだと思う。」


 じゃあ、征樹はどっちが好み?と聞こうと杏奈は思ったが、口には出す事は出来なかった。

何時もの軽い口調で、冗談混じりにさらりと聞けばいいだけなのに。


「流石に静流さんと杏奈のどっちが好みとか聞かれると困るけどね。」


 杏奈が脳内からこぼれかかった質問の答えが、あっさりと征樹の口から出てきた。

困るという事は、どちらか選べないという事だ。

勝てなかった事を悔しがるべきか、負けなかった事を喜ぶべきか。

とても複雑。

どちらにしろ、比べられないと既に本人が断言している時点で、この様になるのは仕方がないが。


「でも・・・やっぱりズルいなぁ。」


「自分でもそう思う。というか、正直、そんなに急に言われてもってのが大きいな。」


 征樹にだって、度惑いはあるのだ。


「急にって・・・そう言えばさ、どうするの?静流さんと一緒に暮らすの?」


 今日の杏奈の目標は達成されたが、気になる懸案ではあった。


「んむぅ・・・杏奈はさ、僕はもっと人と関わるべきだと思う?」


「え?」


「ほら、今日も学校でそんな事言ってただろう?」


 それは、自分に対してという意味の話だと突っ込みたかった。

今日は我慢してばかりである。


「・・・かな・・・征樹は人と関わらなさ過ぎカモ。大体、学校でアタシ以外に親しい人いる?」


「・・・いない。」


 そうだろう。

征樹の傍にいるのは私だけ。

中学に入ってからもずっとそうだったのだから。


「ま、好きにしなよ。ずっと"友達"でいてアゲルからさ!」


 欲張りそうな自分への戒めも込めて。


「あれ?」


 何故か不満気な顔をする征樹。


「何?」


「・・・友達なの?」


 意外な反応。

意外な指摘。

杏奈的に鈍感な征樹は、その意味にきっと気づかないと思っていたのに。

それとも、自分は征樹にとって友達ですらないのだろうか?


「友達じゃないでしょ?僕等。」


「え?」


 やっぱり友達ですら・・・ない?


「"幼馴染"は"友達"より上じゃないの?僕はそうだと思っていたんだけど?」


 不敵な(杏奈にはそう見えた)笑みで、征樹は杏奈を見詰める。


(うわぁ・・・。)


 昔、たった一度だけ見せた事のある征樹の自信に満ちた、それでいて悪戯っぽい笑顔。

この笑顔の前では、杏奈は何も言い返せなくなる。


「で、でも、なんか幼馴染の二人って、不幸になりそうなイメージない?」


「少女漫画の見過ぎじゃない?もしくはドラマ。」


「そんなコトないってば。」


「大丈夫。絶対大丈夫。」


 もう一度、さっきと同じ笑顔で言い切った征樹に、やっぱり杏奈は何も言い返せないのだった。

「幼馴染だからって、無条件で一歩リードだと思うなよォ!」(by天の声)

次回の更新は予定を変更して、4/10(日)明日の更新になります。

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