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プロローグ。
「お疲れ様、頑張ったね。」
言葉と顔を見て、全身の疲れが和らぐのを感じる。
「うん、ありがとう。見てくれた?」
小さなアクリルの箱の中の、更に小さな小さな・・・。
「あぁ、全体的に君に似ている。それと名前はどうしようか?」
一人で勝手に慌てるのを見て、微笑みながら。
「実はね、考えてるのが一つあるの。」
意外な言葉にきょとんとしてから、口を開く。
「ん?どんな名前?」
どんな名前が出てこようとも、特に反対するつもりはなかった。
というより、この件に関しては全面的に大変だったのは自分ではないのだし。
「征樹。樹木の根がどんな固い岩盤も障害も越えて、何処へでも征けるように・・・。」
「征樹、か・・・良い名前だ。」
今宵産まれた、小さいけれども輝く・・・
「征樹、お母さんとお父さんの子供に産まれてきてくれてありがとう。」
「ありがとう。」
それは、命。
以上、全210話、お読み下さってありがとうございました。
それではいつもの反省会と次回作予告をお楽しみ下さい。




