第C&Ⅸ十Ⅶ話:5度あるからと6度目は許されるのか?
なんとか最終章です。
よろしくお願いします。
「ん・・・。」
身体が痛い。
それもあちこち。
骨がバキバキと鳴りそうな・・・。
そんな硬さを感じて征樹は目を覚ました。
(何時の間にか・・・落ちてた?)
身体の悲鳴の原因は、現在の体勢にある。
どうやら昨日、布団に入る事なく机についたまま、突っ伏して寝てしまったらしい。
「ってて・・・。」
身体を起こして伸びをすると本当に骨がぺきって音を立てた。
ここのところ、夏の旅行だの、デート企画(?)だので遊び歩いたせいで、杏奈ではないが宿題が進んでいなかった。
それを少しでも進めようとして、それ今朝はこんな事になってしまった。
ある意味、自業自得とも言えなくもない。
(僕も若くないのかなぁ・・・?)
およそ10代の思う事でもない。
伸びをし終わり、ほっと溜め息をついたところで、征樹は自分の机の上にあるモノを見る。
「でも・・・まぁ・・・。」
机の上には、ようやく完成した夏休み最後の宿題、昨日の成果がある。
そのお陰で、最悪な関節の状況でも満足げに微笑む事が出来た。
と、部屋の扉をノックする音と共に声がする。
「征樹くん?起きてる?」
「あ、はい。」
「朝ご飯出来たわよ?」
完全に日常に溶け込み始めたやり取り。
「今、行きます。」
お決まりのやりとり。
そして今日で例のデート企画も最後になる。
声の主、静流の番を以って。
宿題も終わり、イベントも終わり、そして夏休みも終わる。
こんなに忙しくて、大変だった夏休みは征樹にとって初めてだった。
終わるのが寂しいと思った夏休みも。
「うん・・・。」
何に関して頷いたのか、肯定したのか自分でも解らないまま、宿題を再度眺めてから席を立つ。
「あたたた・・・足も棒みたいだ。」
首、背中、腰、膝と、上から下までダメージがきていたらしい。
軽く、ゆっくりと屈伸をする。
(今日はどんなトコへ行って、何するんだろう。)
6回目になっても変わらない。
行き先を征樹が決めるわけではないから。
しかし、意外とネタは尽きてきたのではないだろうか?
もう6回目。
5回のデートで近場も日帰り圏内も結構行っている。
行き先が被らないようにはしてくれてはいるが、流石に候補も少ないのでは?
いらぬお世話かも知れないが。
まず征樹自体が、同世代の行くような場所を好まない。
騒がしい場もだ。
まぁ、そうだとしても、静流と一緒に何処かへ行こうという事が大変な事なんだと征樹にも解るようになってきた。
「征樹くーん?」
居間からもう一度、征樹を呼ぶ声に慌てて着替えを済ませて居間へ向かう。
征樹は知らない。
ぼんやりとしか今日一日の事を考えていない征樹に比べ、静流がどんなに必死に今日の事を考えていたか。
そりゃもう考えて、考えて、考え抜いて。
時折『何で6番目になったの!もうっ、私のバカッ!!』と、自分の運の無さを呪ったりして、他の5人(正確には6人だが)より、少しでも征樹が喜べるようなプランを考えた。
勿論、何度もそのプランを却下しては考えての繰り返し。
しかも、これにしようと決めても、それで征樹が喜んでくれるという自信が浮かんでこない。
結局、当たり障りのない案ばかりが残ってしまう。
本来なら、好きな男性とのデートなんてドキドキで悶絶しそうなものなのに。
いや、ドキドキはしてはいる。
それも常に。
普段の生活の中で。
「二人きりか・・・。」
一緒に暮らしているのだけれど、それとはまた違う二人きり。
静流は一体これから自分がどうなってしまうのか、自分でも解らなかった。
次回作も構想ちぅ(ぇ