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貴方と背中を合わせる理由。(仮)  作者: はつい
第漆縁:新たな道を模索してみたら・・・・・・?
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第C&ⅩⅩⅣ話:負う者の責任。

なんとか、この鬱展開が終わったー(苦笑)

 完全に失神した男を冷たい目で見下ろす征樹。

力が一気に抜けた征樹はペタリとその場に座り込んだ。


「"トーニャ"、警察に電話を。」 「待って!」


 征樹がすぐさま声を上げる。

鈴村がニアの名前を知っている事に関してではない。

男を警察に突き出そうとする行為にだ。


「・・・以前、私は貴方が母君に似ていると申し上げましたが・・・。」


 少しの間を空けて、小さく溜め息をつき鈴村は喋り出す。

その声は先程までの口調とは全く違ったもので、どことなく温かみのある喋り方だ。


「それは訂正致しましょう。」


「え?」


 鈴村は倒れた男を一瞥すると、その手を離し征樹へと手を伸ばす。


「確かに貴方は、お母様に似てお優しい。しかし、お母様の優しさには厳しさと責任がありました。」


 征樹へと伸ばされた手は、彼の傷ついた頬に。


「貴方が、この赤の他人の為に傷つく必要はないのです。」


 触れるか触れないかの柔らかさで、征樹の頬に触れたまま微笑む。


「でも・・・。」


「酷い言い方ですが、こうなったのも、この男の責任、自業自得。それがこの男の人生だったのです。しかし、それは貴方の人生とはまた別の人生です。貴方がこの男の人生に責任を感じる必要は何処にもないのですよ?」


 鈴村の言う事はもっともではある。

だが、何故か征樹は釈然としなかった。

本当は誰にも傷ついて欲しくはないのに・・・。


「・・・生きていくって・・・大人になるって難しいです。」


 自分で言っておいて、少し的外れだなと思いはしたが、きっとそういうのも大人になるという事なのだろう。

人生の責任を持つという事で。


「それが解っただけでも、大人に近づいたのではないでしょうか?」


(やっぱりハンサムというか・・・。)


 自分の目の前で微笑む鈴村への感想だ。

鈴村としては、そんな感想を漏らす征樹が可愛くて仕方が無かった。


「鈴村さんて・・・綺麗ですね。」


 不謹慎極まりない発言だ。


「え?あ?そ、そうですか?綺麗と言えば、傷でしょう。お顔にこんな傷をつけて・・・痕が残らないと良いのですが・・・。」


 心の底から心配しているようで、鈴村は征樹の傷を様々な角度から眺める。

すると遠方から微かにサイレンの音が・・・どうやら、ニアが呼んだ警察が来たようだ。


「で、そうだ。ニア、大丈ブッ?!」


 グキリ。

そんな音がしそうな勢いで、征樹の首が力任せに回される。


「マサキ・・・。」


 鈴村と同じように心配そうなニアの顔。


「傷・・・。」


「大丈夫、大丈夫。」


 ペロッ。


「に、ニア?!」


「消毒。日本では、傷は唾つけレバ、治ルッテ、姉サンが・・・。」


 ニアが唐突に征樹の頬を舐めたのだ。


「いや、それは日本とかがどういうのは関係なくて、というか、キルシェさん、一体何を教えて・・・。」


 案外、ニアの間違った知識は、キルシェのせいという部分が多いのではないだろうか?

征樹としては、ほとほと疑問である。


「よく、そう言いますものね。」


「鈴村さんまで・・・。」


 一人冷静に事の成り行きを見守っていた鈴村は、これまた一人で頷く。


「では、僭越ながら、私も失礼して。」


 グキッ。

また力強く征樹の首が回され、征樹を抱え込むようにして頬を軽く舐める。


「あぁ・・・。」


 もうされるがままだ。


「応急処置ですよ、応急処置。それとも、やはり私よりトーニャさんの方が宜しかったですか?」


 完全にからかっていると解る笑顔で鈴村がしれっと聞き返す。


「・・・そういう問題ではなくて・・・もういいです・・・。」


 どんどんと近づいて来るサイレンに脱力する征樹。

その征樹をサンドイッチするような形で、前に鈴村、後ろにニア。

そこから少し離れた所に気を失って倒れる男。

全く以ってカオス過ぎる光景にますます脱力し、征樹はどっと疲労がこみ上げて来た。

次回で我慢の今章ラストです。

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