第ⅩⅠ話:お泊りって単語の破壊力。
「え゛っ・・・。」
言われた方の征樹は逆に脳ミソがフルパワーで回転した。
そもそも、何でこうなったのだろうと。
確か、家政婦のような話の件は断った。
なのに、彼女はここに居て、尚且つお風呂に入って、今度は泊まるとまで言う。
何故?
いや、家政婦の件は別としても泊まるのに関しては、大して断る理由はないのだが。
(いや、でも、許可する理由もないぞ。)
「ダメかな?」
更に静流が念を押してくる。
心なしか、瞳が潤んでいるようないないような・・・。
別に断って追い出す程でも確かにない。
(嫌いじゃないし・・・。)
嫌いというか、どちらかと言えば好きだ。
理知的でクールかと思えば優しいし、そういえば皿洗いだってしてくれた。
それに美人で、今だって風呂上りの彼女は綺麗で、そこはかとなくエロくみえて、スタイルだって・・・。
(いかん!脱線してる、アホか僕はっ!)
思考の流れは極めて健全な方向ではあるが。
「あぁ・・・その僕の大きめのジャージとかでいいなら。」
と、何で返事をした自分!と叱咤したところで、後の祭り。
咄嗟に母のお古と言わなかっただけマシだ。と思い直した。
そこまでいくと、もうアブノーマルの世界に入ってしまう。
とか、どうでもいいくらいに頭は混乱してショートしていたのだが、数分後には征樹の頭は更に爆発寸前になって、先程の自分を激しく呪う事になった。