第Ⅰ話:クールな彼女がキレる理由(ワケ)。
ちょっとした練習書きです。
恐らく、どう頑張ってもご都合主義的なところに落ち着いてしまう気がするので、
そこまで期待しないで下さい、いや、本当に。
「あの、クソジジィ!」
バンっと大きな音を立てて書類の束を投げつけた。
そんな女性の行動を周りの人間達は一瞬大きな驚きの眼差しで迎えたが、すぐに巻き込まれてはかなわんとばかりにすぐ目線を逸らす。
事の原因は数時間前。
この女性の黒のタイトスカートに包まれた魅惑的なお尻にセクハラをした顧客がいたのが始まりだった。
タイトスカートにぴっちりと包まれた尻、そして閉めたボタンから早く解放されたいとばかりに主張している胸は、確かに男だったら色々と生唾を飲んだり、手をわきわきと握ったりしたくなりそうだ。
ただここで更に問題だったのは、この女性、村迫 静流は、そんなセクハラに泣いたりする女性ではなかったというコトだ。
そうでなければ、この男女比率の差が激しい職場で、"弁護士"なんてやっていられない。
静流は結局クラインアントをブッ叩き、顧問弁護の契約を台無しにしてしまったのだ。
幸い、彼女の所属している弁護士事務所は、多大に彼女を評価していたのでクビになるような事は無かった。
無かったが・・・クビにならないのは、それはそれで問題ではあった。
主に現在の居心地等々。
「それでも大人気無かったわね・・・。」
それも理解しているつもりだった。
この強気な自分の態度は、人に誤解されやすいのは自分でも把握している。
本当は自分だって、もっと女らしくありたい。
そして、恋の一つくらいしてみたい。
そういうのを夢見たっていいじゃないか。
別段、家事が苦手でもない。
寧ろ、得意な方。
小さい頃の夢だって、本当にそのまんま"お嫁さん"だったくらいだ。
でも、この仕事をしてから言い寄る男といえば、さっきの様なセクハラオヤジくらいだった。
今では、"女らしく"の"らしく"って何だろう?とすら思うくらい。
「別に好きでこんなスタイルになったわけじゃないのに・・・。」
周りの女性に聞かれたら、一気に敵を作る発言である。
それくらい静流のスタイルは、モデル体型だった。
だが、彼女にとってこの体型は、変な男ばかりを引き寄せる。
セクハラオヤジしかり、電車の痴漢しかり、外でストーカーみたいなのに跡をつけられた事すらある。
「まぁ、それでこの仕事に興味を持てたのだけれど。」
意外と普段の生活でも法律は役に立つ。
言い方がアレだが、知っているとお得なお婆ちゃんの知恵袋的存在だ。
「でも・・・ねぇ・・・ん?」
ふと自分のデスクに一通の封書があるのに気がついた。
宛名は、当然に自分宛。
差出人は、この法律事務所の所長。
内心、【クビ】という単語が頭に過ぎりつつも、とりあえず中身を取り出す。
書かれている内容に目を走らせていくうちに、彼女は身体をわなわな震えさせる。
「あの、クソジジィ!」
その叫びは再び事務所中にこだました。
なるべく、【花束と笑顔を皇子達に。】の連載を邪魔しないように書きますので、ご安心ください。
尚、他にも投稿していますので、興味がある方はどうぞ。