【プロットタイプ】遊んでやんよ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
マジモンなので、苦手な方はご注意下さい。
台詞、全部無表情で言ってんだろうな。
鏡花と俺が交わしたのは口約束。其れでもどんな契約書より効果があると思っている。俺はお前で、お前は俺。だから持ち掛けられた要望に全くやる気が無くても、どれだけ嫌であったとしても、心から抵抗したとしても、相手が納得しない限り、其れは戯れに過ぎない。
だからこんな無意味な行いに流されるのも、約束の範疇だ。
拙い誘い文句の後に、鏡花は俺に馬乗りになった。持ち掛けるのは何時も鏡花の方。だから最初に生肌に触れるのは何時も鏡花の方だった。ぺたぺたと腹回りを中心に触れた後、羅を剥がす。そうして素肌を晒した後、決まって頬を擦り寄せる。
「んっんっん〜。ふふふ……はぁ……。ねぇ瑠衣たん」
高揚した頬。とろけた瞳。荒くなる吐息。普通の男が見たら、欲を燃やして仕方がない案件なのだろう。それでも何一つ変わらない俺は、やはり欠陥品なのかも知れにない。
鏡花は俺の腹を伝って、首周りに指先を押し付けると、そのまま吐息混じりに問い掛ける。
「ドッグタグ付けよ?」
「何故?」
必要ないだろ。俺の作品こそがドッグタグの様なものなのだから。しかし鏡花は少しだけムッとした顔をして、鳩尾にトンと突く。
「瑠衣たん、貴方に伝えたい事があります。装飾品というのは、自分の見て欲しい部分に付けます。髪飾りなら髪型、イヤリングなら耳、ネックレスなら首周り、胸元。何故なら必然的にそこに意識が向くから。何も付けてない部分より遥かに目立つから」
自分の言った言葉に信憑性を持たせる為、理由付けを行いながら、顔を覗き込む。ギラギラとした瞳が此方に向く。
「胸元に目が向くようにしたいのか」
「だって助平じゃない?」
思い切り自分の好みの話を展開している。こうなると全て終わるまで駄々を捏ねる。其れは何時もの鏡花に戻るまで。役に魅入られ、役に全てを捧げた此奴だからこそ、統括する役が居ないと直ぐに僕に成り下がる。だからさっさと終わらせる事にした。
「おわっ」
首周りに悪戯をしていた仕置をする事にした。体の半分を拗らせ、そのまま回転させる。そうして立場を逆転させたあと、何時もの様に顔を近付ける。
お前の性癖、胸元じゃなくて何方かと言えば目だろ?
見られるのが大好き。何をされても、何を言われても、視線が伴ってないと昂らない。そうした意味ではやはり、淫乱なのだ。被虐趣味なのだ。
「で、どうされたい? 遊んでやるよ、発情犬」
鏡花は自分というものが存在しない。常に沢山の駒を従え、其れを操ることで役を演じる。潔癖な優等生も、淫乱な娼婦もある。ただこの肉体的感度の良さは、きっと生まれつきのものだろう。
「へぇ〜珍しい。マグロ好きな猫ちゃんな癖に」
「相変わらず口だけはデカイんだな。最終的には四足にも成れないくせに」
互いが互いに体力がある方ではない。だから何時もギリギリの駆け引きを楽しんだ後に、解放するのが常だった。今日も一度で頂上を見せるのではなく、幾度かの漣を与え津波へと変化させていく。
「ふぇっ……ぅう」
そろそろかも知れない。腹の表面が脈打つ。内腿が張り詰める。だから左耳を適当に弄り回して、吐息を浴びせかせる。
「相変わらずお早い事で」
「アンタが……遅い……だけ……でしょ!!」
此奴本当に、よく泣いて、鳴いて、啼くなぁ。そしてその涙は潔癖から来るものなのか、淫乱だからなのか、俺には分からない。
誘い文句は『当てたくないの? 作品に』だと思います。
其れが罠だとしても、作品に当てる気でいるので、非常に振り切ってる。
頭おかしい事は瑠衣も分かってる。でも辞められない。
そうした意味では鏡花と似てる。
あ、年齢指定したのか。じゃあ好きなだけいけるね。
瑠衣視線だから分かりにくいですが、無表情で声のトーンもフラットです。
普通の人の『へー』みたいな声のトーン。
こんなバッチバチな生々しい事やってますが、ブレない揺らがない。それが瑠衣。
でもその裏では鏡花に対する好奇心とか、興味とか、愛とかでぐちゃぐちゃしてそう。
だから口調に反して物言いが込み入ってる。欲が滲んでるって事です。
『マグロ好きな猫ちゃん』の返しに、『四足にも成れない癖に』を選んだ場面が好きです。
『アンタ自分から何かした事ある?』に対して、『お前、最終的に四つん這いにさえ成れねぇだろ?』という回答。
難しいんだよなぁ。鏡花。
好き嫌いとか、愛憎とか、人格と気分の比重によって、入れ替わるから。
作者も分からない。きっと鏡花自身もっと良く分からない。