表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全無欠の悪役令嬢はポンコツヒロインをほうっておけない  作者: Kei
第八章 運命の時! グランドナイトガラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/178

【ゼノ】神

 学園中に張り巡らせた影から集めた情報を、一通り確認し終える。

 私は静かに息を吐いた。


 現時点で、学園に異常はない。

 学園祭も順調に進み、空気はどこまでも穏やかだ。

 このままいけば、明日のグランドナイトガラ──“運命の時”も、何事もなく終わるだろう。


 ──表面上は。


 研究室の暗がりの中、机に広げた学園の地図を、ランタンの淡い灯りが照らしている。

 シリルが張った結界は完璧だ。あれがある限り、魔物が侵入を試みても、指先ひとつ結界の内には入り込めまい。


 だが。


 肌をかすめる微かなざわめきが、私に警告を与えている。

 「王家の影」として積み重ねてきた経験から来る“勘”が、静かに、しかし確実に警鐘を鳴らし続けていた。


 ──油断するな、と。


 理屈だけで言えば、クラリスの話は信じるに足らない。

 「封印の鍵」の存在がなければ、妄言として切り捨てただろう。


 それでも──

 学園祭の最終日、グランドナイトガラの夜に現れる“何か”を、私は確かに感じ取っている。


 「古代の神」──


 “神”とは、この世界を創造した存在──そう伝えられている。

 神に名はなく、ただ創造主として人々に敬われてきた。


 国によっては神の権威を政治に利用するところもあるが、エルデンローゼ王国は違う。政情は安定し、神にすがらずとも国は回っている。ただし、創造の神として礼拝堂で祈りを捧げる風習は根付いており、それを禁じる法もない。


 では──「古代の神」とは何者なのか。


 ……おそらく、私たちの知らぬ歴史が、その背後にある。


 いずれにせよ、この国を脅かす存在であるならば、たとえ神であろうと──私は容赦しない。


 ランタンの灯を吹き消し、闇に目を慣らすように静かに瞼を閉じる。


 影から集めた情報の中には、当然、学園祭での出来事も含まれていた。

 ……どうやらクラリスは、相変わらず厄介な騒動に巻き込まれていたらしい。その末に、王太子との距離を縮めたようにも見える。

 彼女がそれを望んだのかは分からない。

 だが、周囲の目には──確かに未来の王太子妃として映ったはずだ。


 胸の奥で、じり、と焦げつくような感覚が走る。

 ……気づかなかったふりをした。


 明日は最終日。騎士団の精鋭は学園近くで訓練を行う予定になっている。

 もちろん、この事態に備えての布陣だ。早馬を飛ばせば、学園に到着するまで時間はかからない。

 王と騎士団長、宮廷魔術師団は城に残す。万が一、城に「古代の神」が現れたとしても、即応できるように。


 ──すべての準備は整った。あとは、その時を待つだけ。


 それを確認して、私は夜の闇に音もなく身を沈めた。


当初入れる予定のなかったゼノ視点のお話です。

静かな夜の中で、彼が何を感じ、何を備えているのか──少しだけ覗いていただきました。


ゼノさんの本格的な出番はもう少し先です。もう少々お待ち下さい!


次回ep.129は、とうとう学園祭最終日。

本日9月16日(火) 19:10(10分後!)更新予定です。お楽しみに!


感想・ブクマ・ポイントで応援いただけると、とても励みになります!

どうぞよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


◆YouTubeショート公開中!◆
 https://youtube.com/shorts/IHpcXT5m8eA
(※音が出ます。音量にご注意ください)
(本作10万PV達成記念のショート動画です)

◆スピンオフ短編公開中!◆
 『わたくしの推しは筆頭公爵令嬢──あなたを王妃の座にお連れします』
(クラリスとレティシアの“はじまり”を描いた物語です)

◆オリジナル短編公開中!◆
 『毎日プロポーズしてくる魔導師様から逃げたいのに、転移先がまた彼の隣です』
(社畜OLと美形魔導師様の、逃げられない溺愛ラブコメです)

 『異世界居酒屋を開いたら、常連が全員攻略対象でした  〜恋愛相談、受け付けます〜』
(異世界居酒屋『あかね食堂』シリーズ1作目)

 『異世界居酒屋を開いたら、常連が全員攻略対象でした  〜ついにヒロインも来ました〜』
(異世界居酒屋『あかね食堂』シリーズ2作目)

更新告知やAIイラストをXで発信しています。
フォローしていただけると励みになります!
 ▶ Xはこちら:https://x.com/kan_poko_novel

 完全無欠の悪役令嬢はポンコツヒロインをほうっておけない
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ