第一話 橘 明日香①
ぜひ呼んでください
どこか寂しい部室で、少年は本を読んでいた。その顔は、一人で小説を楽しんでいるようにも、寂しそうにも見えた。
ーーガシャン!ーー
窓ガラスが割れる音が響き渡った瞬間、橘 明日香の心臓がドキリと止まった。部室の静寂を一瞬で打ち破る音に、彼は驚きの表情を浮かべた。その直後、彼の目の前に窓ガラスが砕け散る光景が広がった。
明日香はしゃがんで、割れたガラスへと手を伸ばした。
部室の外から、廊下を走る音と共にソフトボール部の未来がボールを取りにやって来た。彼女の元気な声が部室に響く。
「ごめんなさい。ソフトボール部の桃野です。ボール飛んできませんでしたか?」
未来の声はややぎこちなく、しかし真摯な謝罪の意を示していた。明日香は彼女の様子をじっと見つめながら、どこか違和感を覚えた。
「ここには来ていない。壁にでも当たったのではないか?」
窓の方を見ると、割れていないことに気付いた。おかしいな、確かにこの部屋のはずなんだけど……そんな疑問が彼の心をかすめた。
「すみません、失礼しました。」
おかしいな、確かにガラスが割れた音がしたのに……
「まあ、割れていないならいいか!」
嵐のように去っていった彼女を尻目に、明日香は再び本の世界に戻り、新しいページに指を掛けた。
ーーこれは取り戻す物語……失われた星をーー
偶然か必然か、この奇妙な出会いから始まる……
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数日後
「う〜〜ん、暇だなぁ。何しようか」
暇を持て余して廊下をぼーっと歩いていると、
『文芸部』
「ここは、確か……」
先日ガラスを割ってしまって取りに来た部室……いや、窓が割れていなかった……うん、気になる。よし、
ガラガラッ
「ねぇ、文芸部!入りたいんだけど!」
「はあ?」
明日香は驚きを隠せない表情で彼女を見つめた。
自分だけの静かな空間に、彼女のような活気溢れる存在が加わることに…嫌だな
「部活に入りたいのはわかったが、随分急だな、君を見るにあまり文学的な感じじゃあ無さそうだが?それにこんなあるかないかも怪しそうな部活に…」
ここ風見高校文芸部はほとんど活動というものをしていない僕以外の部員は不登校だったり幽霊部員だったりで部員勧誘のポスターも掲載していないし新入生に向けた部活動紹介にも参加していない…
「えっと、いや別に私本好きだよ。夏目赤石とか」
未来は焦りながら話す
ー赤石じゃなくて漱石…
「それに他に部活入ってたんじゃないのか?」
「それはそうだけど、えっと、その…」
「まぁ入るのに拒否はしないが」
こうして文芸部はに新しい部員が増えた。
第2話頑張ります