むしば こわい
けんくんは はを みがき おえました。
あとは ねるだけ。
そんなとき けんくんの おとうさんが、
「けん、しゅーくりーむ たべよう」
と さそって きました。
けんくんは おかあさんの ことばを おもいだします。
「はを みがいたあとは なにも たべないこと」
めのまえには おおきな しゅーくりーむ。
けんくんは ゆうわくに まけました。
「おいしー!」
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
けんくんは あっというまに、
しゅーくりーむを たべおわりました。
「うーん」
けんくんは もういちど はをみがこうと しました。
でも ちょっと めんどうです。
けんくんは そのまま ねむることに しました。
すやすや。
けんくんは すぐに ゆめのなかに はいって いきました。
「わぁ!」
けんくんは あたりを みわたします。
おおきな ほーるのけーき くっきー ぜりー……。
あまぁい おかし だらけです。
「みんな ぼくのだ!」
わたがしの ぼうしを かぶって おかしを、
もぐもぐ。
もぐもぐ。
おかしは たべても たべても なくなりません。
けんくんは それが うれしくて、
もっと もっと たべました。
がぶり。
がぶり。
くちの なかが あまく なってきます。
けんくんが おかしを たべている よこで、
みみの とんがった うちゅうじん が いました。
うちゅうじんは けんくんに はなしかけます。
「ちょいと、そこの おまえさん たいへんだよ」
「なぁに?」
「このままじゃ むしばに なってしまうよ」
けんくんは おかあさんのことばを おもいだしました。
「あまいものを たべたあとは かならず はをみがくこと。
じゃないと むしばに なっちゃうよ!」
けんくんは いちども むしばに なったことが ありません。
でも はいしゃの おとは しっています。
おとうさんの ちりょうに ついていったことが あるからです。
きゅいーん。
がががが。
なかで なにが おこなわれて いるのかは わかりません。
でも きっと おそろしいことだ。
けんくんは こわくなって きました。
けんくんは ふるえながら、
めのまえの うちゅうじんに ききます。
「むしば に なっちゃったら どうなる?」
「はが かってに うごきだすよ」
「えっ!?」
けんくんは じぶんの はを おさえました。
こころなしか 『うごいている』 きがします。
もにょもにょ。
もにょもにょ。
(ぼくの はが むしばに なっちゃう)
こわくなって、
けんくんは めをさましました。
(ぼくの は あった!)
でも すこしだけ うぞうぞ うごいている きがします。
けんくんは せんめんだいに いって、
はを みがきました。
それからというもの。
けんくんは おとうさん からの、
よるの あまい さそいも ことわりました。
もし たべてしまったとき は はを みがきます。
ゆめのなかの うちゅうじん と、
おかあさんの ことばの おかげで、
けんくんは ようちえんで ひょうしょう されました。
よいこの みんなも はが うごいているな と おもったら、
はを みがこうね!
おしまい。