ストーカー
「学校の授業サボるなんて考えられない!」蘭は朝から腹立たしい事ばかり起こって、不機嫌であった。始まりは、あの転校生が現れてからであった。クラスメートの女子からも、ほっといていいのかと、囃し立てられ、少しの焦りも感じていた。
アパートの階段を踏む足がいつもより力強い。真一の部屋のドアノブを回す。鍵は掛かっていない。
「真一君!どうして授業をサボって……?!」胸を露わにしている転校生の胸元を真一が押さえている。
「蘭!だから急に入るなって……!」真一は、そこまで言ってから今の状況を再確認した。少し血の気が引いてきた。それに反比例するように蘭の顔が真っ赤に染まり爆発寸前であった。
「な、な、な、な、何やってんのよ!」彼女は靴を履いたまま、部屋に飛び込んで真一の顔面にグーパンチを喰らわせた。
「何の騒ぎ?」無防備に胸をはだけたままの、天星が口を開く。
「貴女!ここで何をしてるのよ!!」蘭の怒りは彼女に向けられる。
「ああ、服を都合としたら眞一に……」
「服を脱ぐ?!」蘭はグッタリとした真一の襟首を掴み上げた。
「い、いや、俺は……」真一は頭が真っ白になっていた。
「私には何もしてくれないのに!」目に涙を溜めながら、ビンタを放った。その手を天星が掴んだ。
「何をそんなに怒っているの?彼は何もしてないわ」天星は、静かに聞く。
「何もしてないって、貴女!服を脱いでいるじゃない!」蘭は彼女の手を振り払った。
「ああ、窮屈だったから私が脱ごうとしたら彼に止められたのだ」胸の開いたブラウスの襟元を掴むと、天星は更に胸元を開いた。その大きさに、蘭は目を見開いた。
「だいたい何故、貴女がこの部屋にいるのよ!今日、初めて真一君にあったのでしょう!図々しいわ!」
「真一と会ったのは強化が初めてではないわ。私はもうずっと真一を見ていたのよ。ずっと昔から……」何故か少し遠くを見るような目をする。
「何?貴女新手のストーカー……なの?」蘭は、天星からたじろぐように少し距離を置いた。