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紅色のオージェ  作者: 上条 樹
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焼きそばパン

昼休み、購買部にパンを買いに行く。

凄い人集りに少しゲンナリとする。

ここの焼きそばパンは人気でいつも争奪戦が繰り広げられている。


「ねえ、真一」急に名前を呼ばれ振り返る。そこには転校生、天星の姿。


「何?俺、忙しいのだけれど!」この時点で焼きそばパンを手にする事は困難であろう。


「一緒に食べない?」ニコリと笑うと紙袋を差し出した。


「えっ?うわっ!」その袋の中には、神々しく輝く焼きそばパンが二つ入っていた。


「これ、人気なんでしょ?」イタズラっぽく笑うと、紙袋を胸に抱くと片手で俺の手をつかみ、ツカツカと歩き出した。


「ちょ、ちょっと、なんで?」彼女が俺に興味を示す理由に心当たりは無かった。そんなに俺って魅力的なのか?


「人気の無い場所に行きましょう」彼女はそう言うと辺りを見回した。俺達の様子を見て、少し時間が止まったように学生達が固まっている。そりゃ、こんな綺麗な女子と典型的なモテない君が手をつないで歩いていたら、驚くわな。もちろん、モテない君とは俺の事だけど。


「何処まで行くの?」彼女に手を引かれるまま、俺は着いていく。なぜか、一言も喋らない。


「ここにしましょう」彼女は立ち止まると振り向いた。


「ここって……」それは体育館であった。


天星は、体育館の用具室に入るとマットの上に座ると俺にも座るように、トントンとマットを叩いた。


俺はなぜかゴクリと唾を飲み込んでからそこに座った。決して焼きそばパンのせいではない。


「はい、どうぞ」天星は、焼きそばパンを差し出した。


「あ、ありがとう……」それをぎこちなく受け取ってから、ビニール袋を破り照れ隠しするように、焼きそばパンを口にした。


彼女は、自分の分を食べようとはせず、俺が食べている様子を興味深そうに、まるで観察でもするように見つめている。


「どうして……」俺が聞こうとすると、唐突に彼女は俺に覆い被さるように体重をかけてきた。「えっ……?」何が起こっているのか理解できなかった。


「静かにして、今から確かめるから……」そう言うと、彼女は俺の口を優しく、その唇でふさいだ。



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