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紅色のオージェ  作者: 上条 樹
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蘭爆発

転校生の天星は壇上を降りると、まるで担任教師を無視するように、ゆっくりとモデルのような歩き方で俺の席に近づいてくる。


「お、おい……、天星さん……」その様子を見て担任教師は少し驚いたようであった。


「君の名前は?」彼女は唐突に口を開く。


「えっ……?」俺は彼女が何を言っているのか理解できなかった。


「ちょっと!一体なんなのよ!?」何故か、蘭が飛び出してきた。その顔が真っ赤に紅潮している。なぜコイツがこんなに怒っているのか理解できない。


「私は、彼と話しているの、邪魔しないで」天星は長い髪をかき上げた。


「邪魔って……!真一君と話すなら、私を通しなさい!」天星の言葉は蘭の怒りに油を注いだようであった。蘭は今にも爆発しそうな勢いである。


「そうか、君の名前は真一というのか」天星は軽く口角を上げて微笑んだ。


「真一って、何を勝手に呼び捨てしてるのよ!私も、まだしてないのに!!」何を?と俺の頭の中をクッションマークが踊っている。


「お前達!今、ホームルーム中だと、解っるのか!?」唐突に存在を忘れられていた担任教師が割り込んできた。


「えっ!?」蘭は我に返ったようで、目を見開いている。対する天星の表情は変わらぬままであった。この途端、静まり返っていた生徒達が爆笑した。


「なんだ痴話げんかか!」今度は蘭の顔が、羞恥心で真っ赤に染まったようである。


「二人とも席に着いて、天星は窓際のあの席に座りなさい」担任が指差した席に、彼女は足を組み両肘を突いて座った。朝の陽の光を浴びて輝く天星の姿に、男子達は目を奪われた。それは、まるで天使のようであった。


ふと、俺と目が合い彼女は軽く微笑みながら、手を振った。釣られて俺も手を上げてしまったが慌てて、その手を下ろした。


その様子を見て男子達からの激しい嫉妬のような視線と、蘭からも憎悪のような目を向けられた。

蘭が女の子を好きになるなんて……、そんな趣味があったのかと、新たな発見をした。


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