「……」と「・・・」について語りたい
本当はね、とある戦うエッセイストの言葉を借りれば火炎瓶を投げ込む勇者になりたかったんですよ。あるいは火事の起こる家を建てたかった。世界各地を徘徊して己が正義を貫く――そんな勇者になりたかった。
でもね、たぶん僕には正義の心が――悪を打ち倒そうとする正義の心が足りない。正義を執行しようとしても、どうしてもヴィランのことが頭によぎる。
――彼らにも彼らなりの事情があったんじゃないか。僕が間違っているんじゃないか。
こんなことを考えてしまう。そう考える時点で、正義に妄執的に囚われる勇者と名乗るにはとてもじゃないが畏れ多い。
だから、火炎瓶とは言われなくとも、せめてタバコの吸い殻……いやタバコの原材料ぐらいにはなれるように頑張っていこうと思う。
僕はスコッパーさんほどではないけど、それなりに「なろう」を読んできたと思っている。最近は書き手にも回ってみたりして「なろう」の厳しさを実感したりもしたけど、それなりに楽しく書いているつもりだ。
でだ。執筆してみてわかったことがある。
確かに、「……」を「・・・」にしたくなる気持ちもわかるのだ。
……「・」を “なかてん” と呼ぶのは初めて知ったけど、それはどうでもいい。
三点リーダーはとにかく出しづらいのだ。特に Windows 勢の仲間たち。Mac 勢はショートカットキーがあるとか聞いたことがあるが、僕を含めた Windows の奴隷は「・・・」とか「。。。」とか「てんてんてん」とかから変換して使ったり、辞書登録を利用したりするしかない。……中には「Zキー」+「。キー(ドットキー)」で三点リーダーを召喚できる裏切者もいるらしいけど、少なくともそこそこ新しいPCを使ってる僕は違う。
……皆さんは何か便利な召喚魔法を知っているだろうか?
それに比べて中点は楽だ。どのキーボードにもあって、そのまま押すだけで一発で出てくる。だから、確かに使ってしまう気持ちもわかるのだ。
……今思ったんだけど、とりあえず「・・・」で執筆して一括変換で「……」に変えればいいのでは? 今度やってみよ。
こほん。とにかく、僕が言いたいのは “「・・・」はやめて欲しいなぁ” ということだ。
そんな文章規則警察みたいなことを言っているが、実際は僕は自分のことをかなり文章規則には緩いほうだと思っている。
段落頭の一文字下げは好みの問題。
「――」が「ーー」になっているのはまあ許容範囲。
あるいはダッシュを三つ重ねたり、三点リーダーをひとつしか付けないのも Web では好みの問題ということになっている。
「!」や「?」の後のスペースがなくとも少し読みづらくなる程度だ。
括弧終わりの句点も、全てに付いているなら違和感はそれほどない。
これは僕だが「“”」とか「『』」の使い方も適当。
このように自分は文章規則にルーズだと自覚しているけど、どうしても「・・・」だけはダメだ。
いいあらすじを見て読んでみても、どんなにいい内容でも、「・・・」があっただけで読むのをやめてしまう。それか高い評価をお送りする気になれなくなってしまう。
とはいえ、じゃあ感想で指摘するという勇気もなくブラウザバックするだけ。
……もちろん、僕がおかしいというのはわかっている。
だけど、自分でもなんでそんなに気になってしまうのかわからないんだ。
空間がありすぎて気持ち悪いから?
「……」は二文字分なのに「・・・」で三文字稼いでいるのが気に入らない?
なんか全部ごつい野太い声に脳内変換されるから?
あるいは、ただ “生理的に無理” なだけ?
どれも違うかもしれないし、もしかしたら全部かもしれない。
三点リーダーが表すのは溜め、余韻、時間経過、省略などでそれら全てが「……」や「…………」で示される。
例文を使ってみよう。僕、いぷしろんを題材とした例文だ。
「なんで感想がこないんだ……」
「それは……とても私の口からは言えないね」
「なんで評価されないんだ・・・」
「それは・・・とても私の口からは言えないね」
例文の内容はさておき、先に下の会話を見てもらいたい。
これを読むときにあなたの頭はどうやったか。こうではないか。
――なんで評価されないんだ、てん、てん、てん
――それは、てん、てん、てん、とても私の口からは言えないね
おわかりいただけただろうか。
そう、脳内に「てん、てん、てん」と流れてくるのである!!!
そちらが気になって中身が入ってこない!
これは僕だけか!? いや、そうではないはずだ! 絶対に共感してくれる人がいる!
僕は信じている!
次に上の文はどうか。
――なんで感想がこないんだ( )
――それは とても私の口からは言えないね
どうだ。すんなり入ってきただろう!?
君たちにもわかっただろう!? なんで感想がこないのか察せられるだろ!?
ふぅ。少し興奮してしまったがこういうことだ。
たぶん僕が感じていることを言語化するとこうなる。
……同じことを感じている人はどのくらいいるのだろうか。いたら是非とも仲良くなりたいもんだ。
結局、ごたごたと述べてきたが要は “「・・・」はやめてください” ということだ。
どう考えても「……」のほうが見やすいし、変えて何かが減るわけでもない。むしろ読者の印象は確実に良くなるだろう。
僕だって「・・・」を使っていても高い評価を得ている作品があるのは知っている。そんな作品にこそ物申したいのだ。
――俺も読みてえんだから変えてくれ!
ってな。
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後書きをここに書いていくスタイル。
ぶっちゃけ、三点リーダーをひとつしかつけないのはギリ許容範囲内という感じ。なんで自分が異様に三点リーダーに敏感なのか謎です。
今まで一番驚いたのは「......」ですね。まさかのピリオド六個です。逆に感心しました。
「・」は “なかてん” “なかぐろ” “てん” と打てば出てくるのに、なぜか “ちゅうてん” では出てきません。まじかよ。