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どうやら配信の準備は整ったらしい。

 みるくと配信の準備、確認を開始して約3時間程が経った。

 といってもみるくは寝たり、パソコンでゲームをしたりなどぐーたらするだけ、変に緊張しているのは俺だけのようだ。

 現時刻は1時前、流石にお腹が空いたが緊張しているせいか食べたら戻してしまいそうな気がする。

 確認もほとんど終わり、俺はみるくから配信の仕方を教えてもらう事にした。


 「みるく、配信の仕方教えてくれよ」

 「えー、面倒だけど良いよー」

 「ほんとに大丈夫か?何かこう、緊張感を持てよ」

 「ごめん、なんかスイッチ入らなくてさ。配信までにはちゃんとするから」

 「頼むぞ。それでどうやってやるんだ?」

 

 みるくはパソコンの前のゲーミングチェアに座り込むとVtubeを開きパソコンを器用に操作し始めた。


 「えーと、ここの画面に行ってここのボタンを押すの。それだけで配信開始になる」

 「なるほど、意外と簡単なんだな」

 「一応、電話番号での確認?みたいのがあってそれしてから一日経ったら配信できるようになる」

 「分かった。ありがとう」

 「とりあえず今日の配信は私が演じてる【中野みるく】の立ち絵は出さないで、白背景だけにしてあと他は何も映さずに声だけ入れるって感じね」

 「配信が始まったら何をすれば良いんだ?」

 「私が今回の経緯を軽く説明した後、私がりょーくんの事紹介するから」

 「おっけ、てかさ運営とやり取りとかしてるのか?全然連絡してる素振りとかみないから心配でさ」


 ずっと気になっていた事を俺は聞いた。

 だって何も連絡が無いし、みるくは連絡を取り合っている様子も無いし、心配性と思われるかもしれないが凄く心配だ。

 

 「運営さんと?もちろん随時連絡取り合ってるよ?」


 みるくは何でそんな事聞くのと言わんばかりの顔をしてそう言った。

 少し以外だった、みるくはスマホこそかなりの時間触っているがパソコンを触っていたのはゲームをしている時ぐらいだ。

 そこから考えると連絡はスマホ一本で取り合っていることになる。


 「ちなみにどんな事を連絡してるんだ?」

 

 みるくはポカンとした顔をしながら俺にスマホを渡して来た。

 スマホの画面は丁度だれかとのトーク画面でよく見ると右上に【運営さん】と書かれていた。

 トークの内容を上から順に見てみたが、今日の配信はどんな感じでやるのか、俺は一体何者なのかなどと確認しており今後の対応についても配信後の視聴者の反応で謹慎期間をどれぐらいにするかしっかりと対応していた。

 

 「こんなに話していたとは……」

 「あれ私、りょーくんに運営さんから連絡来てたって言って無かったっけ?」

 「言って無いです」

 「ごめん、私が伝えるの忘れてた」

 「良いよ、それで運営さんの文を読む限り【可能であれば、Ryo.さんをみるくさんのそばに置いて公式カップル枠を作る。】ってあるけど……?」


 俺は微笑みながらみるくに近づいていく。

 みるくは逃げようとして立ち上がったが、やがて壁際まで追い詰められて観念したのかその場に崩れ落ちた。

 

 「お前、話盛ったな?」

 「違うの、嘘じゃないの!」

 「いや別に怒ってないから、まぁ嘘つかれて信頼度は少し――」

 「違うの!その……幼馴染だったら仲が良いだけになるからちょっとスキンシップ激しくても大丈夫!みたいな事運営さんに言われてさ、でも全然そんなつもりないから……ほらここ!書いてあるでしょ?」


 みるくが指した場所には「いくら幼馴染だからと言っても視聴者さんが離れていくかもしれません。だから私的には別にカップル枠としてりょーくんを勧誘しても良いですけど、一番は視聴者さんがどう思うかじゃないですか?」という文をみるくは運営に対して送っていた。

 意外としっかりしているなと思いつつ、運営の対応はいかがなものかとも思った。

 

 「だけどさ、最近りょーくんと絡みが無かったって言うか寂しくてさ。だからよくよく考えたら逆にチャンスじゃないかなって思って嘘ついた。ごめん」

 

 みるくの声は微かに震えていて、また涙をこらえているように見えた。

 また泣かせてしまうとあたふたしていると、みるくは目を擦り「ごめん、今日泣いてばかりだ。やっぱり私とカップル枠とか嫌だよね。いくら幼馴染だからって言われても流石にできないよね」と声を震わせて言った。

 正直ずるい。

 こんな言葉、しかも女の子に目の前で言われて断れる人間はいるのだろうか。

 俺は居ないと思う、それにみるくは本人に直接言えないが普通に可愛いと思う。

 童顔できっと学校にいったら宮下さんや五十嵐さんと肩を並べるぐらい可愛いと言われるだろう。

 みるくを奪われたくない、そんな衝動に駆られてしまった。


 「安心しろみるく。俺はお前のカップル枠になってやる」

 

 恥ずかしいながらも俺は高らかに宣言した。


 「ほんとに?嘘じゃない?」

 「あぁ、嘘じゃない。てか何回同じようなやりとりをするんだぁ?俺たちは」

 「そうだね、もう三回ぐらいしてない?」

 「あはは、そうだな。でも、俺はカップル枠になっても良いよ。みるくと居るのやっぱり楽しいし」


 今日と昨日で俺は分かった。

 プリントを届けに来たあの日、カラオケに行けなくてみるくに対して凄くイライラした。

 でも、あの日カラオケに行けなかったからこそ、またみるくと話すことが出来て、それでいて凄く楽しい。

 それでいてずっと一緒に居たいと思ってしまう。

 だから、このカップル枠の件は全然苦にならなくてむしろ好都合だ。

 

 「よし、今日の配信は絶対成功させるぞ!」

 「うん!」

 

 俺はこれから起こる事に胸を少しだけ躍らせながら配信まで待つことにした。


 ~~~


 そして現時刻は5時30分。

 配信開始30分前まで来た。

 あれからというものの、流石にみるくも緊張してきたようだったので二人で話したりゲームをして少しでも気を落ち着かせようとしたが無理だった、胸なんて躍らすべきじゃなかったと後悔している。

 

 「私、今すっごくドキドキしてる」

 「俺も、プリント届けただけこんな事になるなんて思いもしなかった」

 「ねぇ。もし失敗したら私、どうなっちゃうのかな……?」

 「余計な事は考えるな、それより運営さんから何か来てないか?」


 みるくはスマホを取り出して素早く指を動かしながら運営からの連絡が無いか確認しているようだ。

 「あ!」という声と共にみるくがスマホをこちらに向けて来た。


 「運営さんから来てた!【見守ってます、何か不測の事態が起きたら援護はします。】だって!」

 「そうか、それは心強いな」

 

 スマホを取り出して時間を確認すると5時49分となっていた。

 配信まで残り約10分。


 「もう10分前だ、準備するか」

 「うん、マイクとかちょっとセットするね」


 みるくはマイク端子をパソコンに繋いだり、配信機器のチェックなどを行っているようだ。

 俺にも手伝えることはないかとも思ったが気づいたときには一通り終わっているようだった。

 

 「残り2分だね」

 「あぁ、ほんとに凄い緊張してる」

 「私もだよぉ、でもりょーくんがいるならなんだか大丈夫な気がする」

 「俺も、みるくとなら頑張れる気がする」

 「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな」

 「そっか、もう1分前だ」

 「そうだね、じゃあもう配信開始するね」


 みるくはマウスを操作して配信開始のボタンを押した。

 これからきっと批判されたり暴言を吐かれたりするのだろう、でも俺の隣にはみるくがいる。

 そう思うと少しだけ気が楽になった。

 

 「みなさん、こんばんは。Staralive(スターアライブ)の中野みるくです」


 そのみるくの一声によって配信はスタートした。



 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、竜田優乃です。

まずはブクマ、評価をしてくださっている皆さん本当にありがとうございます。

この度この小説が現実世界恋愛部門で日間1位を取る事が出来ました。

本当にありがとうございます。

これからも毎日投稿頑張りますのでブクマ、評価の方を是非、お願いします。

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