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どうやら初日は後輩とやるらしい。

 風呂に入り、寝間着に着替えた後、俺は自室に戻りHEROXとDiscordingを起動した。

 大会のお誘いから一週間ほど経ち、各チームのメンバーが決まったため練習カスタムを今日から行う事になった。

 開催時間は9時から11時までで予定などがあり出られない場合は途中退室可能、その他メンバーが欠けている場合は欠けた状態でカスタムを行なっても良いし、補欠として欠けた人と同じぐらいの腕前の人を入れることも可能とのことだった。


 カスタム初日の今日は開会式となるものがあり、エキサイトマジック代表の言葉と解説の人からのルール説明の後、カスタム開始となっていた。

 大会公式Discordingに入り、二人を待つ。

 チームによって番号が決まれており俺たちは6番でチーム名はいつも通りの『みるみなりょー』で登録した。


 各チームのDiscordingを見ると続々と人が集まって来た。

 中には別ゲーだが、世界大会出場経験のあるプロゲーマーの『鮭鳥羽(しゃけとば)』さんや一度コラボしたことのある『秋月楓』先輩の名前もあった。


 カスタムの本配信を自分のスマホで見ながら配信の準備を進めていく。

 配信の準備が整い、二人を待っているが一向に来ない。

 よくよくDiscordingを確認してみると二人から連絡が入っていた。

 

 みるくはstaralive公式生放送に出るため今日は出られなくて、心々音は家の用事で出られないとの事。

 どちらも連絡は昨日の内に来ており、俺の確認不足だった。

 尚運営に連絡済みとのことだったので九死に一生を得た。

 大会で連絡ミスとなったらたまったもんじゃないし、俺のせいで二人の信用に傷がつく。

 危ない危ない。


 でも一人か、少し厳しいな。

 今からでも人を集めようか、そんなことを思っているとみるくからDiscordingで連絡が来た。

 

 『りょーくんごめん! なんか後輩ちゃんが一緒にカスタム出たいって言ってるんだけど良いかな……?』


 後輩……staraliveで一番デビューが遅かったのは俺じゃないのか?

 よくよく調べてみると、俺らが東京旅行に行っている間に二人ほど新人としてデビューした人がいるらしい。

 一人はみるくと同じ白を基調とした子で、髪色は淡い銀髪、瞳は紅眼でみるくと違う点として耳が尖っている。

 服も白く何も模様がついていない物に小枝のようなものが纏わりついていて、何か不思議な感じがする。

 

 名前は『アリア・エスフォールド』というらしい。

 何かのアニメキャラかな? とか思いつつ俺はその人が来ると思いみるくに『ああいいよ』と返信した。


 返信するや否や誰かがサーバー内に入る音がした。


 「うわぁ……! 本物のRYOさんですか……!?」

 

 さっき見たキャラデザからはまるで考えられないほど陽気な声、通話越しでも頭にまで響く高音。

 コイツはリアルでもネットでも陽キャなやつだ。


 「えっと……誰でしょうか……?」

 

 しかし疑問は残るままでこの人は本当にアリアさんなのか分からないため俺は聞き返してしまった。

 するとアリアさんらしき人は「おれ、間違えちゃったかな……?」と少し声量を下げて心配そうにしてしまった。

  

 「あ、えっと、みるくが言ってた後輩さん?」

 「あ、はい」

 「お名前を伺っても?」


 俺がそう聞くと「やだな~先輩、名前ぐらい覚えてくださいよ~!」と図々しく言ってきた。

 俺はこういう誰にでも軽く接するやつは嫌いなんだよ。

 今度コラボでもして、嫌いなことさせまくったるわ。


 「分かった分かった、俺のリサーチ不足だった。それで名前は?」

 「私の名前っすか? 私、讃岐偲(さぬきしのぶ)って言います。RYO先輩の後輩としてこれから頑張っていきますのでチャンネル登録の方をよろしくお願いします!」

 「うん、今配信外な。宣伝しても意味ないから」


 「げげっ、恥ずかしい所を見せてしまいました……」と彼女は気まずそうな声を出した。

 しかしstaraliveの新人を自分なりに調べていたのだが、どのサイトを見ても出てくるのは『アリア・エスフォールド』という人物の記事しか出てこなかった。

 俺がやはり悪いのかそれとも何か他に原因があるのだろうか。


 「俺staraliveに新人入ったの知らなくて、さっき調べてたんだけど偲のことなんてぜんぜん出てこなかったぞ?」


 俺がそう聞くと偲は少し暗そうに話し始めた。


 「いや、これには少し事情がありまして……」

 「ほう」

 「私がデビューしたのが8月1日なんですよ、それでまあ1日に初配信をするじゃないですか」

 「はいはい」

 「それで私以外にもう一人デビューしてて、アリス・エスフォールドっていう子なんですけど、その子がめちゃくちゃ凄いスピードで伸びちゃってもう登録者16万人とかいるんですよね……ハハハ……」


 乾いた声になりながら偲は乾いた笑いをしている。

 同期が爆発的な伸びをしてしまい、今の彼女は登録者というオアシスを求めているのだろうか。

 まあ確かに、先輩後輩とコラボして登録者促進を狙うのは全然アリだ。

 しかし、今日は8月17日。

 デビューから2週間ほど経っているが今の登録者は何人なのだろうか。

 気になってみて俺は調べてみた。


 讃岐偲と検索欄に打ち込み、一番上に出てきたチャンネルを確認する。


 『讃岐偲/Sinobu Sanuki』


 チャンネル登録者は1万人と表示されていた。

 一万と聞くとだいぶ凄いと思うが、やはりアリスさんの16万人と比べてしまうと見劣りしてしまう部分がある。

 だがキャラデザは全然悪い物ではないと思った。

 

 しっかりとした色彩で描かれており、忍者をモチーフにしているのか顔は鼻まで大きな布で覆われていて頭には耳が生えている。

 えっと、ケモ耳ってやつでしょうか。

 しっかりケモ耳を覆う事が出来る頭巾を被り、服装もかなり忍者っぽくなっている。

 

 率直な感想、これは日本ウケというより海外ウケを狙っていると思った。

 一方でアリスさんは日本でも海外でもウケるビジュアル、人気が出るのもおかしい事ではない。


 「まあ、気楽にやっていこう。それで聞きたいのはHEROXの腕前は?」

 「えっと、最高ランクはシーズン6からマスター止まりで、4000ハンマーは全キャラ所持、虐殺者はフォンとプロテクション以外はもってます」


 えっぐ、この人めっちゃやり込んでる。

 このHEROX、シーズン6マスター、エクシャスがめちゃくちゃ強いと言われている。

 理由としては一番チーターが多かったシーズンで、尚且つ突然即死するバグもあったためポイントがかなり盛りづらかったからだ。

 そのシーズンからマスターを維持しているとなるとかなりの実力者だと言える。


 それに全キャラ4000ハンマー所持の虐殺者は2キャラ以外所持、これは強いじゃ済ませないほどの実力だろう。


 「お前強いな。普通にランクとかやろうぜ」

 「えっ、ナンパですか……声は昔からファンですけど中身の人間はちょっと……」

 「どうして毒舌キャラになる」

 「えへへ、冗談です。ランク誘ってくれるのなら全然行きますよ!」

 「おっけ。てかもうカスタム始まるぞ、早く入れ」


 その後カスタムに入るためのパスワードが分からないなどのトラブルがあったものの、何とかカスタムは始まり俺の配信も始まった。


 さて、皆様の実力を見せてもらいましょうか。

 俺は心の中でイキりながら、手を震えさせてマウスを操作した。

遅れました、すみません。

投稿空くと思います、今同時に連載している方を投稿すると思うので。

あと、普通にリアルが忙しいです。

ブクマして待っていただけると幸いです。

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