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どうやら俺はグッズを販売するらしい。

 「あ、えっと……どうも……」


 驚きのあまり変な返しになってしまった。

 彩華さんは俺の戸惑い方が面白かったのか上品に口に手を当てて「ふふっ」と笑った。


 「挨拶も終わった事ですし、本格的な話に入りましょうか」

 

 二宮代表が仕切り、話が進む。

 今回の会議では主に俺のキャラクターデザインの決定、そしてグッズの販売などについて。

 キャラクターデザインについては二通りの案が出された。

 

 まず最初に出されたのは青と白で全身を固めたデザインで、服装は心々音の言っていたゆるふわ系というものに近い。

 上着は黒のテーラードジャケットでドロップショルダーをしている。

 ズボンは少しぶかぶかなベージュのワイドパンツでいかにもフワフワしていそうな雰囲気が感じられる。

 そして髪色は茶髪で顔もイケメンだ。

 

 二つ目の案は体全身を黒で固めていて、上着はプルオーバータイプのTシャツで肩の所に青い切り込み線のようなものが入った物、ズボンは藍色のジーパンを履いている。

 先ほど出た案とは違い、髪色も黒で顔は相変わらずカッコ良い。


 「一応この二つが今出せる案ですかね……」

 「なるほど……」


 輪郭、髪の毛の書き方、目のハイライトの入れ方など宮前さんと描き方が酷似しすぎている。

 確かに目のハイライトも若干違うが、俺の記憶が正確ならがほぼ同じ。

 どういうことなのか分からなくなり、頭がこんがらがって来た。


 「涼真くんはどっちが良いですかね……?」

 「……えーっと、自分的にはこっちですかね」


 考えた末、俺が選んだ方は青と白を基調としたゆるふわ系。

 心々音と遊ぶ時は毎回ゆるふわ系を着て来いと言われていたので、俺は地味にこのゆるふわ系の服を気に入っていた。

 だから、せっかくゆるふわ系の案があるならばそれにしたいなと思い、俺は最初に出た案を選ばせてもらった。


 「分かりました。一応修正とかは出来るけど、どこか気に入らない部分とかある?些細な事でも良いよ」

 「んー、今の案は凄い気に入っているので全然これで大丈夫です」

 「了解しました」


 キャラデザが簡単に決まってしまったため、今度はグッズ展開の話になった。


 「涼真くんは何か販売したいグッズとかあるかい?」

 

 グッズか、グッズって言ったらぬいぐるみとか缶バッチとかマウスパットとかか?

 ギャルゲーのグッズで見た事あると言ったらタペストリーとかもあったか。

 最近マウスパッドが汚れて来て買い換えたいと思っていたから、マウスパッドは作りたいな。


 「マウスパッドとか作れないんですかね」

 「ああ、全然大丈夫だよ。予算的にも大丈夫だ」

 「なるほど、自分で使うマウスパッドが欲しいのでマウスパッドは絶対とは言いませんが、なるべく作りたいですね」

 「了解した、ではマウスパッドのイラストも宮前先生で良いかな?」

 「僕は良いですけど、宮前さんが……」

 「私は大丈夫よ?」

 「じゃあ、お願いします」

 「では、マウスパッドは確定で。そして残りの予算で作れそうなものをこちらで検討という形で大丈夫かい?」

 

 俺は二宮代表の提案に了承した。

 ふっ、面白くなってきたぜ俺の配信生活。

 

 「では会議はこれで終わりとします。各自何かあれば話し合いにこの部屋をお使いください」

 

 二宮代表は「私はみるくさんと夏南さんと話があるのでお先に」と言い会議室から出て行った。

 マネージャーの田口さんも「私も片付いてない仕事があるので、また後日」と言い部屋から出て行った。

 

 宮前さんと二人、何だか気まずい状況になってしまった。

 宮前さんが持ってきていたペットボトルのお茶を一口飲むと、口を開いた。


 「涼真くんで良いかしら?」

 「あ、はい」

 「紗季は学校ではどんな感じなのか分かる?」

 「んー、そうですね。別に孤立はしてないような、何なら明るいのが好印象となってクラス内のカースト的には上位の方にいるような感じですね」

 「そう、それなら良かった」

 

 彩花さんは不意に安心したような表情を見せた。

 姉として、妹の事が心配なのだろうか。 

 彩花さん、心配しないでください、妹さんには沢山友達がいますよ。

 そのように事を教伝えようとしたら、彩花さんが顔を上げて俺に話をし始めた。


 「あの子、昔は私にべったりでね。どこ行くにしても『お姉ちゃん、置いてかないで―!』って言ってたのよ?」

 「は、はあ……」

 「でも、それが原因で小学生の頃は同級生からの印象は良くなかったのよ。【お姉ちゃんにべったりで一人じゃ何も出来ない紗季ちゃん】ってよく言われてたみたい」

 「そうだったんですか……」


 今の彼女の姿を見ていると、そんな風には見えないが昔はそうだったのだろう。

 宮前さんの一番近くに居た人物がそのような事を言っているのだ、嘘なわけがない。


 「それでイジメられちゃってね、毎日私に泣きついてたわ。でも、イジメられたことで紗季の中で何かが変わったのかもしれないわ。イジメられてからというもの、家に帰って来てすぐに自室に私を連れ込んで、絵の練習に付き合わされてたわ」

 「……」

 「まあ別に全然苦じゃなかったし、今こうやって活動できているのはあの子のおかげだから感謝はしているわ」

 「なるほど」

 

 彩花さんは付けていた腕時計で時間を確認すると「あ、じゃあ私もこの辺で。細かいことはTwltterで!」と焦った様子で会議室から出て行ってしまった。

 まだまだお話をしたかったが、相手の都合もある。

 仕方が無い。

 それにしても宮前さんの過去は意外な物だ、人間裏では苦労をしているのだなと感じた。

 あんなにも元気で、今ではクラスカースト上位の人間が過去にはイジメられていて、それを覆すために必死に努力をしていたのだと思うと何だか心が締め付けられる。


 今度宮前さんに会ったら、少し彩花さんの事について聞いてみよう。

 そう思い、俺も会議室から出た。 


 

 

 

皆様にお願いがあります。

明日、ラブコメの新連載を開始するのですが評価をして頂きたいです。

昨今のなろうのラブコメは最初で伸びなかったら終わりとまで言われています。

星一つでも全然良いです、自分が『面白い!』『面白くなりそう!』と思ったらブクマもして頂きたいですが、自分の思った通りの評価をして頂きたいです。

明日の8時か9時に投稿予定ですので、図々しいお願いですがよろしくお願いします。

こちらの小説も不定期になりますが連載していきますのでよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです。 良い物語をありがとうございます。
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