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どうやら俺は夏休みを満喫できるらしい。

 「ぐえ~、涼真~暑くねーか?」

 「あ?暑いに決まってんだろ……」


 7月に入り、学校祭、中間テストと高校の二大イベントが終わった。

 そんな学校は通常授業に戻り、学校の活気がまた無くなり始めた。

 北嶺高校は水泳授業など夏にうってつけの授業は全く無い。

 だから、暑さに悶えながらこのくそ暑い教室で通常授業を受けなければならないのだ。

  

 「なんでこの学校は水泳授業が無いんだよ……」

 「そういうのは、小学校で終わりなんじゃねぇか?」

 「そうか?俺は中学時代も水泳の授業はあったぞ」

 「マジか」


 俺の通っていた緑小学校は水泳の授業はあった、しかし中学に上がるとプールの経年劣化によって俺の年から水泳授業は無くなってしまったのだ。

 今は泳げるか分からないが、とりあえず暑すぎるからプールに行きたい。


 「てか、明日から夏休みか」

 

 黒板の隣に飾られているカレンダーを見ると夏休み期間と称された場所に、赤ペンで線が引かれていた。

 今日は7月25日。

 そして明日から8月20日までが夏休みとなっている。

 北海道は他の県と比べて夏休みが短い分、冬休みが少し長くなっている。

 詳しく説明すると、冬は東京と比べて一週間ほど長くて逆に夏は一週間短いという感じ。


 「まあ今日を乗り切れば、涼しいお部屋でのニート生活が待ってるわ」

 「だな、頑張るか」

 

 ここで担任が入って来て、朝のHRとなった。


 ~~~


 「中も暑いんだから、外がもっと暑いのは当たり前か……」

 

 授業が終わり、駅に向かっていた俺は独り言をぼやいた。

 心々音は担任と話があり、みるくはなぜか休みだった。

 担任に「中山の分のプリント、頼んだぞ」と言われ、俺はあの日と同じ様にみるくの家に向かった。

 

 

 「あっちぃ……」

 駅から歩き、みるくの家の前まで来た。

 今日の最高気温は32度を超えるというのを天気予報で見たが、今の外は32度以上ありそうな暑さ。

 一刻も早く涼しい場所に行きたいと思い、みるくの家のインターホンを鳴らした。

 

 「……」


 反応は無い。

 寝ている可能性もあると思い、一応ドアノブを引いてみた。

 すると扉は簡単に開いてしまった。

 中に入ると世界が変わったような感じになり、涼しい風が俺の体を癒した。

 てか、また鍵かけてないのか。

 そう思いつつ俺は「おじゃまします」と言いみるくの家に入った。

 前に「インターホン鳴らして反応なくても、鍵が開いてたら入っても良いよ」と言われ、一応許可は貰っているから不法侵入ではないと思うのだが。

 なんとも言えない罪悪感が俺を襲った。

 

 階段を上り、みるくの部屋の前に来た。

 扉に耳を当て、中を覗ってみるが何も聞こえない。

 鍵を閉め忘れてどこかに外出したのか、それとも倒れているのか?

 そんなことを考えていると急に「あーもう!」と少し怒り気味なみるくの声が聞こえた。

 とりあえず、倒れてない事を確認できただけ良いとして、俺はノックをした後、扉を開けた。

 

 「ういっす~」

 「あ、りょーくん……もしかして今の聞こえてた……?」

 「あー、怒ってるやつか?」

 「……まあ、いいや。りょーくんだし」

 

 何に怒っているのかと思い、パソコンの画面を覗き見してみるとHEROXのゲーム画面が映っていた。

 どうやら先ほどまでランキングマッチをプレイしていたらしく、丁度死んでしまった所に俺が入って来たらしい。


 「あ、バナー回収されたぞ」

 「もう勝てないよ……」

 「なんで学校サボってHEROXやってんだよ。今日は夏休み前、最後の登校日だったんだぞ?」

 「学校祭の時に話したじゃん。私がミスを恐れている原因のこと」


 みるくは少し重そうな表情をし始めた。

 何かHEROX関連で嫌な事があったのだろうか。


 「それがどうした」

 「私、前に話した先輩とコラボすることになったの」

 「あー、なるほど。迷惑かけたくないから強くなりたいってことか」

 「そう。りょーくんは物分かりが早いね……」

 「まあ、最初は誰でも弱いし、ずっとやってても上手くなれない人は確かにいる」

 「そっか、そうだよね。私、また炎上しちゃうのかな」

 「なんでそんな思い詰めるんだよ」

 「だって……怖いんだもん……」


 みるくはゲーミングなチェアから降りると俺に抱き着いて来た。

 ヨレヨレのパジャマ、起きてから手入れしていないのか髪はボサボサだ。

 きっと、先輩に迷惑を掛けないようにって思って、ずっと朝から一人で練習してたんだろうな。

 俺は仕方ないと思った後、頭をボリボリと掻き、ため息をついた。


 「はぁ~、じゃあ一緒にやるか?HEROX」

 「……良いの?」

 「まあ、みるくが上手くなりたいなら俺は協力するよ。一応お前は俺の先輩だしな」

 「じゃあ、教えて!」

 

 みるくは嬉しかったのか少し涙を零した。

 ほんとみるくは泣き虫だな。

 そう思いつつ、今日はまたHEROXでコラボをすることになった。

 だが、家に帰った俺は一つ忘れていた。

 そう、みるくにプリントを渡すという用事をすっかり忘れていた。

 俺はまたみるくの家に行き、夏休みの宿題などをみるくに渡した。

 

 ~~~


 「明日から夏休みか」

 

 食卓で父が新聞を読みながら俺に問いかけて来た。


 「ああ、明日から20まで」

 「8月か?」

 「ああ」

 「良いな、俺はずっと仕事だぞ?」

 「ははっ、これが学生特権だ」

 「ふっ、それもそうか。そうだお前、夏休み友達と遊ぶ約束はしたか?」

 

 俺が「してないけど……」と言うと、父は一枚の紙を見せて来た。

 これがデジャヴというものなのだろうか。

 紙に書かれていた内容は一度東京に来てほしいとの事。

 どうやらstaraliveの運営からまた、FAXが送られてきたようで代表者名には「二宮椿」と記載されていた。

 

 「なんじゃこりゃ……」

 「友達だかなんだか知らないけど、三星さんと中野さんと一緒に来いって書いてあったぞ」


 紙に目を通してみると、父の言っていた事と飛行機代やホテル代などの費用は運営持ちで観光もして良いと書いてあった。

 そして費用を持つ代わりに、一度運営本部に来て「二宮椿」と面会してほしいと書いてあった。

 拒否しても良いが、拒否されると今後の運営方針に問題が生じる可能性があるので出来れば来てほしいと書いてあった。

 

 別に悪い話じゃないし、東京というか北海道から一度も出た事の無い俺からしたら美味い話だ。

 俺は父に許可を貰い、FAXを運営に送り返した。

 日時はマネージャーを通して後日連絡するとのこと。

 俺は胸を躍らせ部屋に戻った後、今日の配信の準備に取り掛かった。

 

 

総合6000PT、本当にありがとうございます。

これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。

あと、少しずつですが改稿を行っております。

全て改稿するにはもう少し時間が掛かりそうです、すみません。

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