俺の運転するタクシーの後ろに乗ったお客さん。
俺の仕事はタクシーの運転手。
どんなお客さんでも、俺の運転する車に乗せてあげるよ。
___ただ、酔っ払いのオッサンは嫌だけどね!
女の子の酔っ払いなら、全然いいよ。
___でもさ?
俺! 以前、変なお客さんをタクシーに乗せたんだよね。
___そのお客さんは? 若い女性だったんだ!
20代前半ぐらいの、可愛らしい女の子だったんだよ。
___ただ、夜中の2時に派手な格好で一人で乗り込んできたから。
俺はてっきり、何処かのお店のホステスの女の子だと思っていたんだ。
夜中でも、遠くの方から見ても目立つ赤のドレスを着ていた女の子。
彼女は手を挙げて、俺が運転するタクシーを止めたのさ!
『___お客さん、何処まで行きますか?』
『___取りあえず、出してくれない?』
『___えぇ!?』
『___いいから、出して!』
『・・・あぁ、ははい!』
*
___その女性は、後部座席に座っても黙ったまま
何処に行くのか? 場所を言わないんだよ。
何度も何度も、俺はこの女性に聞いたのに、、、。
『___ねえ、お客さん? 何処まで行くのか行ってくれませんかね?』
『・・・・・・』
『___こっちも、商売だから! こういうの困るんですよねぇ~』
『・・・・・・』
『___お客さん? まさか!? 寝てませんよね?』
『・・・・・・』
『___いい加減にしてくれませんか? ココで降ろしますよ!』
『・・・・・・』
___その女性は、俺が何を聞いても答えてくれないんだ!
『何度も言いますがねぇ~いい加減、降りる場所を言ってもらわないと。』
___俺がその女性にそう言うと?
物凄い低い声で、髪を前にバサッと垂らしてバックミラー越しに俺の眼を見て
こう言ったんだよ。
『・・・場所は、お前を殺す場所だよ。』
『___えぇ!?』
『___お前の肉を切り刻んでやるーーーー!!!』
【ギュユヤーーーーーヤヤヤヤヤ!!!】
・・・後ろから俺に向かって、勢いよく飛びついて俺の首筋に嚙みついて
来やがったんだよ! その後は、長い爪を俺の顔めがけて振りかざして来
やがった!
・・・俺は?
【ギャーーーーーーー!!! 助けてくれーーーー!!!】
大声で叫んだが、夜中の3時を過ぎたところで誰もいない交差点で
信号の赤の点滅だけが俺の眼に映ったんだ!
*
___あっという間の出来事で、俺が叫んだ後タクシーの後ろに乗せた
女性を見たら、既にそこには女性は乗っていなかったんだよ。
後ろのドアは開けてないし! 誰かが出た形跡もないのに、、、。
女性はタクシーに乗っていなかったんだ。
・・・だけど?
___何故か? 俺の首に誰かに首を絞められた跡と顔に切り傷が少し
付いていたんだよ。
【・・・あれは? 一体、何だったんだろう?】
*
___俺は、今でもタクシーの運転をしているけど?
流石に、あの場所を通る時は今でも怖いよ。
___特に、夜中にタクシーを転がしている時は怖くておしっこちび
りそうになるほど、、、俺は恐怖を感じるんだ!
今でも、あの時バックミラー越しに見た! あの女の目が俺の脳裏に
こびりついているんだよ。
人間の目でもない! 爬虫類のような目が俺を睨みつけていた。
・・・もう、あんな怖い目に遭いたくないねぇ~
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