ステータスなんて教えねぇ。(前)
語彙力ぅ…。
華山さん家の紘は考える。
ない頭を絞って考える。
デュラハン? そう意味じゃねぇ。
ステータスがやばい感じになってんのほんとにやばい。
ヤバいがやばくてやばいやばい。
頭が沸騰しそう。
解決策はある。
こういう系の話のテンプレなら偽装とか隠蔽とかしてステータスを見せて難を逃れようとするはずだ。
そして常識知らずで囲まれると。
うん、知ってた。
とりあえず基準を知りたい俺は自分のステータスを偽装することを躊躇っている。
願わくば開示したステータスが俺たちにも見えてくれるのが良い。
そうすれば偽装でもなんでもできるはずだ。
スキル「なんでも」らしいしね。
紘が思案を巡らせ終わるのと丁度いいタイミングで1人目の女の子が水晶に手を触れる。
すると水晶が発光する。
王や側近がおぉと声を上げている。
恐らくステータスを見ているんだろう。
まじで!! 困る!!
それ見せてくんなかったら偽装出来ねぇじゃん!?
なんとか見せてもらわんといかん。
「あの、王様? そのステータスというのは俺達には見えないんですか? 」
堪らず俺は問いかける。
「別に見せても構わんが、一応個人情報であるからな。 あまり見せびらかされるのは好かんだろうと考慮し我々だけの閲覧にさせて貰った」
王様のナイス正論が返ってくる。
その返答に追撃するように5人女子から冷めたで「変態」やら「サイテー」やら聞こえてくる。
それじゃ困るんだがなんも言えねぇ。
「あの、俺……私からもいいですか?」
紘が黙ると今度は龍弥が敬語で発言を求める。
王から「よい」と返事を貰い、話し出す。
「確かに個人情報ということで大事だとは思うのですが、これから力を合わせていく仲間です。 お互いの力を合わせるためなのですから基本的な情報くらいなら開示出来ませんか? 勿論私も情報の開示をします」
龍弥は俺に助け舟を出してくれた。
あ、ありがてぇ…!
王は顎に手を当て思案顔だ。
「確かに其方の言うことを事実である。 ならばどうだろうか、今回のみでもステータスを見せてくれんか? 」
王様は目の前の女子にそう頼む。
頼むってあれね。 王様意外と頭低いよね?
立場とか大丈夫かしら?
頭を下げられた女子もほかの4人女子も王様に頼まれて仕方なしというように納得したようだ。
「分かりました。 今回だけでいいなら開示してください」
目の前の女子の声で、側近が水晶になにかしている。
仕様変更かな? 手を水晶に翳している。 見た感じ魔力的なものを注ぎ込んでるみたいな。
そうして数分、水晶上部にステータスのスクリーンの大きくなった感じのが映し出された。
名前 四藤 奏絵
種族 人族
職業 黒魔術師
レベル 1
筋力 E 魔力 A 防御 C 魔防 B 敏捷 B
スキル
火系統(中) 水系統(中) 土系統(中)
風系統(中) 闇系統(大)
加護
女神の加護
1人目の女の子、四藤 奏絵のステータスはこんな感じであった。
基準がわからないが、王辺りが驚いていたから意外と性能いいんだろう。
魔法5つですね。 存在感ある闇系統、心に闇抱えてんのか?
女神の加護ってのはきっと俺たちをこっちの世界に送った女神様でしょう。
俺の画面にはない。 なんか、必要ないでしょ? って言われてるような気分。
「ふむ、やはり凄まじいな。 Lv1から魔力A 筋力などで劣っていても、それを補うほどだ。 そして、5つの魔術師において全て中以上。 中級をLv1で習得している状態とは恐るべきだな」
王様の評価がこれ。
周りの側近も「まったくです」 「素晴らしい」 と四藤さんを褒めたたえる。 王様嬉しそうであるな。
「それでは次の者、前に来るが良い」
王様ウキウキである。
それからの女子4人、誤差あれど大抵皆同じような性能だった。
誤差は少しずつあり、それは前言われたこちらの世界の適正の強さなのだろうと察した。
しかしそれぞれが別の特有の魔術を持っているので使い方次第で誰でも強くなれるだろう。
しかしその5人女子の中に、勇者の称号を持つものはいなかった。
つまりは必然的に俺以外の4人男子の誰かが勇者ということになる。
俺はそのステータスを見たあとで、偽装すれば完璧だな。
見せてくれない時は焦ったけど結果オーライである。
楽しい異世界ライフが待ち遠しいぜ。
「では、次、男の方のステータスを確認させてもらう」
ステータス書くと文字数多くなるし大して変わり映えしないんだから要らないよね?って考えたら出さなくていいやって思ってしまった。
正直これからこのステータスが(ノ*ˇ∀ˇ)ノおぉ♪ってなることはないと思うから無くても問題が…