14/17
ぼくのともだち⑮
ふたりだけのじかんがふえても、かいわはへるだけ。
そしてかのんにはわからなくても、ぼくにはわかっていました。
もうおかあさんはかえってこない。びょうきでしんでしまうのだ、と。
だからかのんにおしえてあげました。
「かのん、おかあさんはしんじゃうかもしれないんだ。」
かのんにいったってどうしようもないことはわかっていました。でも、
だれかにきいてもらわないと、むねがくるしかったのです。
のどがヒューヒューなってしまうのです。だれかに、だいじょうぶだよと
いってほしかったのです。
「ケンイチロー。シンジャウ トハ ドウイウ コト デスカ?」
「えっ?」
「オカアサン ガ シンデ シマウ トハ ドウイウ イミ デショウカ?」
「かのん。しんじゃったらね、もう、おうちにかえってこられないんだ。」
「ドコ 二 イケ バ、アエ マス カ?」
「あえないよ。どこにもいなくなっちゃうんだ。もう、あえないんだ。」
ここまでいうと、なみだがポロポロでてきました。