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4/9

色々と確認しないとね

 視界いっぱいの光が晴れて辺りが見えてくる。


「原っぱ・・・か」


 とりあえずいきなり合戦場や空の上や火山や猛獣の巣とかの危険な場所でなかったことに安堵した。

 過去入った本の世界では色々あったんだよ。


 なぜ違うタイトルの文字が頭に入ってきたのだろう?

 まず、カバーの付け違いを疑った。古本屋で購入した本は一度全て読了したことのあるものばかりだ。なので中身を確かめないまま能力を発動してしまったが、もしかしたら古本屋の手違いで違う作品のカバーがついていたのかも知れない。


「しかし困ったな」


 事故の原因の検証も大事なのだがそれよりも気にしなければいけないことがある。

 ひとまず安全なのは助かる。が、事態は結構深刻だ。

 今まで入った本は全て一度読了し、ストーリーやキャラクター、世界観や設定など全て把握していたため場当たり的な危険行動はせずに済んだ。

 なにせルールのせいで身体能力はモブ。その世界の完全平均値なのだ。モブキャラというものはちょっとしたことですぐに死ぬ。

 世界観や設定、キャラクターなどを知らないのは痛いのだが、実はそれだけならなんとかなる。

 一番まずいのはストーリーを知らない事である。

 俺の能力は本の展開に干渉する。その世界で何かしらアクションを起こせば巡り巡って何かとんでもないことになったりもする。

 たとえモブとはいえ、異物の混じり込んだストーリーには微妙な差異が生まれるのだ。

 これを知らず初めに入った本では、よく考えずに主人公達に近づき、その作品の知識を使って活躍しすぎた。そしたら主人公達よりも敵に警戒されてしまい、モブでありながら主人公達と共にラスボスの暗黒将軍と戦わなくてはならなくなった。


 もちろんモブの戦闘力などたかが知れているので必死に鍛えたが、九回は死んでいてもおかしくない戦いであった。勇者達の活躍がなければ即死だっただろう。三途の川で会うおばあちゃんは優しかった。


 他にもある。ストーリー上の重要人物と仲良くなったら、主人公たちとの出会いのイベントが無くなってしまい、このままでは主人公たちが全滅してしまうので、話の大筋に戻すために様々走り回ったあげく、その世界で最強ダンジョン攻略をしなければならなくなったりなどなど、下手に作品世界に介入すると非常にまずいことになったりするのである。

 ちなみに作品の正規エンドから展開が非常に遠い場合、俺の能力か本の世界側の力かはわからないが、修正力が働く。これも厄介な代物で恐ろしく強力な敵役が脈絡もなく出てきて、ストーリー展開に邪魔になる物や人を消してしまったりする。

 過去、全13巻の学園異能バトル物に入った際、本にして2巻目ほどで俺を庇った主人公が死にそうになり、話が終わりかけた。

 すると、唐突に13巻目で出てくるアメリカ編の最強不良アメフト選手が出てきた。あっけにとられた俺をショルダータックルでぶっ飛ばし、俺は全六ヶ月。入院している間にストーリーは進み、学園に戻ることなく帰還となった。

 これは修正力が俺という異物を強制的に排除したのだろう。

 そんな理由もあって本のタイトルしか分かっていない現在の状況は実に深刻なものなのである。


 しかし、本の世界では時間も進むし腹も減る。悩む前にこの世界について調べ、当面生き延びる術を探る必要がある。

 とりあえずわかっているのは本のタイトルだけだが・・・。


「・・・・・・・」

「『オカルトかと思ったらSFで異世界ファンタジーの宇宙戦争』って・・・」

「どういう話?」

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