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ダブルソウル  作者: 夏みかん
序章
1/27

悪夢の前触れ

「いちごいちえ」と「ひとでない≒かみさま」のクロスオーバーにして続編、始動です。

元々2つの作品はどこかで交わるようにしていたこともあって、構想にはありました。


「晴れ」で京也が、笹山が語った事件の全貌がここに!

2つの物語を読んで下さった方はそのままお楽しみください。


未読のかたはまずそれらの作品からお願いします。

目の前に展開されている光景はこの世の地獄と呼ぶにふさわしいものだった。それは長年様々な殺人現場を見てきた笹山でさえも目を覆いたくなる状態である。笹山の部下である武藤でさえもしかめっ面をしつつもこみ上げてくる吐き気を抑えるのに必死だった。


「全部で5人ですが・・・4人はこの状態です」


鑑識員がそう告げ、笹山は血みどろの坂道の脇を歩いた。廃棄された家屋が4軒ほどあるここは20年ほど前に住人がばたばたと謎の死を遂げた曰くありの場所だった。その後、破棄された家を解体し始めたのだが、残り4軒という時点で事故が相次ぎ、土地の保有者もさじを投げたこともあって地元では呪われた廃村と呼ばれ、今ではもっぱら肝試しの場所になっているのが現状だった。もっとも、肝試しに来た者の中にも死者が出ていることもあって、地元の者はまず近づかない場所になっているのだった。笹山は森の中にある立ち入り禁止を意味するフェンスで覆われたこの場所に足を踏み入れて以来、どこか不気味な気配を感じていた。だが、それも目の前の猟奇的な死体を目にしてからは感じなくなっている。いや、死体が凄すぎて感覚が麻痺しているといったほうがいいか。緩い下り坂の対面に崩れた廃屋が並んでいるのだが、その坂は血で赤い。転がっている死体は全部で5つ。うち4つは見るも無残な姿となっていた。血はその死体が垂れ流すものである。4つの死体はほとんど全裸であり、首と四肢がバラバラにされていた。それも報告によれば刃物で切ったのではなく、物凄い力で引きちぎったものというのだ。どれだけの力を込めれば人間の手足や首を引きちぎることが出来るのか。しかも4人全てを同じようにしているのだ、体力的にも化け物すぎると思えた。


「男ばかり4人を引きちぎる・・・異常としか・・・」


武藤はそう言いながら胴体だけの死体を見やった。写真を撮り、シートをかぶせて運ばれる4つの死体。確かに手足の付け根は強引に引きちぎったような感じになっている。


「残り1つがまた・・・異様といいますか・・・」


鑑識員がそう説明しつつ笹山たちを先導した。坂を上りきった場所に倒れている女性の裸体を見た笹山の表情がさらに曇った。こちらは完全なる裸体だがどこにも損傷が見受けられないとのことだった。絞殺された跡も殴られた跡もなく、強姦された形跡すらないものだった。実に綺麗な裸身はまるで眠っているようである。死因としては心臓発作等の急死も考えられるが、何故こんなな所で全裸で綺麗に、まるで眠るような姿勢で横たわっていることが不可解だった。4つの死体の無残さに比べ、こちらは綺麗すぎる。笹山は綺麗な顔立ちをしたその女性の傍らにしゃがみこんでまじまじと体を見やった。美人な顔に豊かな胸、スタイルもいい。外傷は見当たらず、眠るようにして死んでいるその姿は確かにどこか異様と思えた。


「身元を洗うのと、5人の関係を調べてくれ。それとこの場所で最近肝試しをした人間がいないかも」

「肝試し、ですか?」


自分への指示に疑問を持った武藤に小さく微笑んだ笹山は立ち上がると血まみれの坂を見た。


「そうだ」


有無を言わせぬ言葉に武藤は頷き、下の者に指示を出した。


「家系のせいか、霊感が少しあってよかったのか、悪かったのか・・・」


笹山は武藤に聞こえないほどの小声でそう呟くと自嘲気味に微笑んだ。小さい頃から不思議な体験をしては祖母に慰められた記憶が蘇る。ありもしないものが見えたりしたが、成人してからはそういう体験もめっきり減っていた。そんな自分が久しぶりに感じる嫌な気配がこの廃村の奥から溢れ出ている。いや、溢れ出ていたというのが正確なところだ。


「このご時勢に悪霊の仕業とか止めてくれよ」


表情を引き締めた笹山がそう呟くの聞いた武藤が怪訝な顔をしたが、何かを口にすることはなかった。

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