特別な力
集会所の中に入ると先程とは比べ物にならない数の人数で賑わっていた。
「おお…来たか少年。それに、リファラ。まぁ座りなさいな」
村長の呼びかけで俺とリファラは村長と向かい合う様に椅子に座った。
「記憶喪失なんだって?……ワシも結構長い事生きておるが…その様な者に会ったことがないんでな……なんとも言えん」
頼みの綱である村長ですらお手上げとなるとどうしようもない
「その、なんていうか…自分の名前は分かるんです…後、自分には特別な力があるって事も…」
自分がクラフターである事は覚えている。けど、それを言っていいのかわからない……
今は黙っておく事にする。
「特別な……力?んー、何言ってるかわからないや…。あ、カガリも食べなよ!美味しいよこのお肉」
そう言って手渡してきたお肉はまるで漫画に出てくるような骨付きのお肉だった。
一体何の肉なのかは知るのが怖いので、聞きはしないが、味としては結構美味しいものではある
「……そうじゃな。それでは王都に向かうといい。そこで、国王に謁見をしなさい…。何か助けになってくれるやもしれん…」
「…ええっ!?いいなぁ!…私も行ってみたいよ、王都!」
と、駄々を捏ねるリファラ
「ダメじゃ!お前はまだ何かあった時の為の護身の術も完璧に習得しておらん!王都へ向かう事は許さんぞ」
村長の話によると、村から出るとそこは野生の縄張りらしく、危険らしい。
それ故にオレが王都へ向かう際は村の戦士達が護衛をしてくれるという
一人拗ねるリファラ。しかし、村長の気持ちは変わらない。村人である前に大事な孫娘に危険な事は巻き込みたくないというおじいちゃん故の優しさなのだろう
「カガリ…私は一緒に行けないからね……ごめんね」
「大丈夫だよリファラ…。これは俺の事だから…それに危険が伴うって事だからリファラは村に残った方がいい」
「わ、私だって!……私だって弱くはないんだよ…?一生懸命毎日練習してるし…」
「うん……気持ちだけ受け取っておくよ…ありがとうリファラ」
「少年よ、明日には王都へ向かうから…今日はこの村に泊まっていきなさい…遠慮はしなくていい」
どこまでも優しい村長に感激する。
「とは言っても、このイルフ村には宿屋なんてものはないから…。………リファラ、お前の部屋に泊めてやりなさい」
といい、村長は集会所を後にした
「………えっ!?……ぇぇぇええええええっっ!!!??」
「ワハハハ……良かったなぁ少年!村一番の美少女で、村長の孫であるリファラちゃんと一緒に寝れるなんて、羨ましい限りだよ!…くれぐれも変な事は起こすんじゃないぞ?村長がキレるからなぁ…ハハハ」
「い、一緒になんて寝ませんよっ!!もうっ!!」
赤面させて怒るリファラ
……なんか、ごめん。