イルフ村の少女
……助……て!!
……私を……けて!!
頭の中に響く助けを求める声が聞こえてくる。
真っ暗闇の中見える小さな光に手を差し伸べた…。
「…あのぉ…大丈夫、ですか……?」
目を開くとそこには多数の花が美しく咲いているお花畑と、見た事の無い女性が心配そうな顔をしている姿があった。
「…ここは……どこだ…?」
誰かが助けを求める声が聞こえたのを最後に、目が覚める前の記憶が一切なく、覚えているのは自分が白金篝という名前で、自分が世界でたったの5人しか存在が確認されていない"クラフター"であるという事だけだった。
「ここは私の安らぎの場所。……よく来るんだ」
ピンク色の髪をした少女は大きく深呼吸する。
確かにここの景色はとても素晴らしい程に綺麗で、心が安らぐ理由もわかる
「…あぁ、えっと、私はリファラ。イルフ・リファラっていいます!…えっと、あなたは?」
外国の人なのだろうか…それにしては言葉が通じるのもまた変である。
「俺は白金 篝…。よろしく…」
適当に自己紹介を終えた後、行く宛が無い事に気づく。それと同時にお腹が鳴り出した
「…もし、良かったら私をの村に寄って行きますか?丁度この前狩った獲物が調理されてる事だと思うし…たぶんおじいちゃんに言えば大丈夫だと思う」
なんとタイミングのいい出来事か。これも運命だと信じ、リファラの後を付いていく。
自分の身に起きた出来事に頭の整理が追いつかなかったが、段々と心に余裕ができた。
「カガリさんはどうしてあの場所に居たの?」
「わからない…。いつから居たのか、何処から来たのかも全部…。名前は覚えているんだが…」
「記憶喪失って言うんだよね?私のおじいちゃん、結構物知りだから何か分かるかもしれないし、早く村に急ぎましょ!」
リファラは俺の手を取り、走る。
女の子の手ってこんなにも柔らかいものなのだな
村に付くと、そこは賑やかな祭りのようにたくさんの人が騒いでいた。
その中の一人がリファラに気づく
「おお!リファラちゃん、おかえり!ん?どうしたんだ?その子」
一人が気づくと周りに居た人達も一斉に集まってくる。
気が付くと辺りは村人で囲われていた。
余程このリファラは村人に好かれているのだろう
「あの、この人記憶喪失みたいなんです…。だからおじいちゃんに合わせたくて……。お腹も空いてるみたいだし」
村人達に説明をするリファラ。
「ふぉっふぉっふぉっ…人助けかい?リファラ」
人溜まりの合間から笑いながら現れた老人が言う
「おじいちゃん!?」
「そ、村長!?」
「なんじゃ?ワシがここに居たらダメかね?」
「…おじいちゃんが…村長?」
「うん…!私のおじいちゃんはこのイルフ村の村長なんだよ!そして私がその孫のリファラだよ!」
「リファラ、立ち話もなんだ、とりあえず集会所に来なさい、その少年もリファラもお腹が空いてるだろう…」
先に行っていると言い残し、おじいちゃん改め、村長はこの場を後にした…。