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山賊少女と魔法の杖  作者: babie
孤児時代
8/20

疲弊

3話連続投稿の3話目です。

 悪い知らせは早くも翌日の夜にやってきた。扉を荒っぽく叩く音がする。


「おい、開けろ。モルガン首領の使いだ」


 カミーユは子供たちに静かにするように合図をし、恐る恐る扉を開けた。扉の前には目つきの悪い、いかにもマフィアの手下という男が立っており、カミーユを押しのけて部屋を見回す。


「ひい、ふう、みい……5人だな。おい、これから人頭税を5人分払え。月末にまた来るからな」

「そんな! 子供は人頭税いらないだろ!」

「うるせえっ!」


 手下はカミーユを殴りつけた。子供たちは恐れ慄いて身を寄せ合う。カミーユはキッと睨み返したが、追撃の蹴りを食らうばかりだった。


「いいな、5人分、月末だぞ」


 手下は扉を手荒く閉めて去っていった。




 その日からカミーユたちの生活は一変した。マフィアは、月末だけでなく、何くれとなく訪れケチをつけ、金を奪っていった。カミーユたちは、その内、食事にも事欠くようになり、仕事を増やした。


 カミーユは、まず、酒場宿の女将さんに頼んで、夜の給仕の仕事をもらった。ジャンも朝だけでなく夕方の仕込みの仕事をもらった。調理場のジャンはともかく、カミーユが娼婦に混ざって働くのは、客のためによろしくないのだが、頼み込んで世話してもらった。子供だから、娼婦でないから、危ないことはないだろうと思っていたが、幼児の頃とは違って、尻を触られることも多々あり、不快でたまらなかった。


 昼も、商店街の方々を回って必死で頼み込んで、共同倉庫の管理番の職を得ることができた。管理番と言っても、その仕事の多くは荷下ろし荷揚げであり、女子供の筋力ではつらいものがあった。そのうえ半人前とされ、大人の給金の半分しかもらえなかった。


 家に残るクロエも内職の仕事を増やした。仕事は夜にかかることもあったが、ランプの油を買う金も惜しいので、暗い中目を凝らして作業するのであった。トマとシュザンヌの2人も影響を受け、前まではクロエの気分転換も兼ねて時折外でも遊んだのだが、今は大人しく2人で遊ぶようになった。


 周辺の家々も大変なようだった。今までは貧しいながらもお互い助け合いどこかしら余裕があった。近頃では、誰々がスリやかっぱらいに手を出したとか、マフィアに加わったとかの噂も聞いた。界隈がギスギスしてきて、子供たちだけで暮らすカミーユたちは、不安を覚えるようになった。


 こうして、カミーユたちはだんだんと疲弊していった。

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