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山賊少女と魔法の杖  作者: babie
孤児時代
14/20

合否

「おほん。改めて、シルヴァン・ベルナールド、このベルナールド商会を仕切っておる」

「私はジネットよ」


 ミシェルの父、シルヴァンは、気を取り直して自己紹介する。


「先ほどは失礼した。なんでも職を探しておるとか」

「はい」


 カミーユも気を引き締めて答える。


「文字も読み書きできるし、計算もできるとミシェルから聞いておる。しかし、女の子か……」


 カミーユはそこがやはりネックになるかと気落ちした。


「他に何か特技はあるかね?」

「強いて言えば、人の話をよく聞いて覚えておくことができるってことですかね……」

「記憶力か。本当だとすればかなり得難い能力だが、果たして……」

「あら、お父様、本当のことよ。歌詞なんか一発で覚えちゃうんだから」

「ふーむ、では試させてもらうとしよう。次に唱える文句を一字一句間違わずに言ってみなさい」


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 デタラメである。古代の哲学者の古代語の文章が元だが、適当に飛ばし飛ばし言ってみただけだ。覚えられるなどとは毛ほども思っていない。


 だが、すぐさまカミーユは全て一字一句違わずに暗唱してみせた。これにはシルヴァンも驚いた。自分自身でも正確に覚えていないが、時折混ぜた意味のある言葉の流れが一致していた。


「ミシェル、いくつか本を見繕って持ってきてくれないかい」

「ええ、わかったわ、お父様」


 ミシェルが持ってきた本に基づいて、今度は詩、今度は散文と次々に試す。その全てにカミーユは答えて見せた。


「本物だ……」


 シルヴァンは驚きを隠せない。ミシェルはなぜかドヤ顔だ。ジネットはニコニコと微笑んでいる。カミーユはじっと成り行きを見守っている。


「合格!」


 シルヴァンは採用を決めたのだった。


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