職
今日も+1話更新です。
今日もカミーユはミシェルの元に通っていた。
「カミーユ、あなた奉公先を探しているのよね」
「うん」
「文字は書けて?」
「書けるよ」
「計算は?」
「四則演算なら」
「すごいじゃない! なんでそれで見つからないの?」
「貧民街の孤児だから……やっぱりね」
「いけないわ。そういうのはいけない、”食器はテーブルに食物は口に”ってやつよ」
「でも、みんなの気持ちもわかるんだ。信頼できる保証人がいないと……」
「そうだわ! いいこと考えた。あなた明日ウチにいらっしゃい」
「というと、店の方にってこと?」
「そうよ、私がお父様に紹介してあげるわ! 私が保証人よ!」
「ええっ、でも大丈夫?」
「任せなさい!」
カミーユは急遽面接を受けることになった。
翌朝、酒場の女将さんに断ってミシェルの父親の店の前に来ていた。いつも通っている所の表側なので迷わずに来れた。せり出した金属の看板に船の意匠と”ベルナールドの店”という抜き文字があった。大通りに面していながら、間口も広く、上下に開く鎧戸の上に様々な異国からもたらされたであろう商品が載っている。入り口の左右に1人ずつ門衛がいかめしい顔で立っている。カミーユは身震いして、身だしなみを確認する。
「洗濯もした、顔も洗った、手足も洗った。よし」
カミーユは気合いを入れて入り口をくぐった。門衛にはジロリと見られたが、特に注意はされなかった。
「おはようございます、ミシェル様の紹介で参ったカミーユと申す者です」
「「おはようございます」」
返事をしたのは女性と少年だった。女性の方はミシェルとよく似ている。夫人であろう。夫人は少年に何かことづけて向き直った。少年の方はチラリと横目でカミーユを観察し小走りで出て行く。夫人は門衛に一言言ってから、にっこりと微笑みカミーユを促した。
「あなたがミシェルの言っていたカミーユね。ついてらっしゃい。応接間に案内するわ」
「はい、ありがとうございます」
カミーユはおとなしく着いていくのだった。
カミーユが、文字が書け四則演算できる設定ですが、現在改稿中の話で出て来ます。
本当にすいません。改稿をお待ちください。